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徒歩または自転車での通勤は労働者の幸福と生産性をアップする

by Ahshea1 Media

近年は自宅や駅近くのレンタルオフィスなどを利用して仕事を行うリモートワークが増加しているものの、未だにほとんどの労働者は自宅から職場まで通勤しています。通勤手段には自動車・電車・バス・自転車・徒歩などさまざまですが、「通勤手段によって労働者の幸福や生産性に違いが出る」ということが研究によって明らかとなりました。

Does daily commuting behavior matter to employee productivity? - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0966692318307269

Walking and cycling to work makes commuters happier and more productive
https://theconversation.com/walking-and-cycling-to-work-makes-commuters-happier-and-more-productive-117819

オーストラリアでは毎日900万人以上が通勤を行っており、フルタイムの労働者は1週間あたり平均で5.75時間を通勤に費やしているそうです。通勤する労働者の4分の1が片道45分以上の通勤を行う「長時間通勤のグループ」に分類できるとのこと。

長時間の通勤は労働者に肉体的・精神的負担となるほか、仕事への出勤度や生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。広大な土地を持つオーストラリアでは自動車通勤の人々が多いものの、自動車は最もストレスの大きい通勤方法であることが研究により明らかになっています。自動車通勤は多くの健康問題や社会的つながりの減少を引き起こし、結果として仕事の生産性に悪影響を及ぼすとのこと。

by Free-Photos

ロイヤルメルボルン工科大学メルボルン大学の研究者らは、仕事日に毎日通勤する1121人の労働者を対象に、通勤時間や手段と幸福や仕事のパフォーマンスなどに関連があるのかどうかを調査しました。調査対象となった労働者はシドニー、メルボルン、ブリスベンといったオーストラリアの大都市に住み、フルタイムの雇用と決まった職場、一定の通勤習慣を所有しているほかは、従事する産業や職業はさまざまでした。

まず研究チームは労働者の通勤距離と、仕事を欠勤する頻度について調査しました。以下のグラフが通勤距離と欠勤頻度について表したもので、グラフの横軸が通勤距離、縦軸が欠勤頻度となっており、実線が健康的な問題で仕事を欠勤した回数を、破線が健康問題以外の理由で欠勤した回数を示しています。グラフを見ると、長距離通勤であればあるほど欠勤する頻度が増えていることがわかります。


この結果を説明する理由は2つあるそうで、まず1つ目が「長距離通勤の労働者は肉体的・精神的負担が大きいため病気になりやすく、欠勤が増える」というもの。2つ目が、「通勤距離の長い労働者は総収入から通勤費が引かれるほか、余暇の時間も通勤時間分少ないため、通勤コストや余分な時間を考慮して仕事を休みがちになる」というものです。

研究チームによるとオーストラリア中心部における平均通勤距離は15kmとなっており、通勤距離が1kmの労働者は通勤距離が15kmの労働者よりも36%欠勤しにくいそうです。反対に通勤距離が50kmの労働者は欠勤する割合が通勤距離15kmの労働者より22%増えたとのこと。

加えて研究チームは通勤手段と労働者の幸福やパフォーマンスについての研究も行っており、35歳~54歳の自転車や徒歩で通勤する労働者は、公共交通機関や自動車で通勤する労働者よりも自己申告による仕事のパフォーマンスが高いことが判明しています。特に短い距離を自転車や徒歩で通勤する労働者は、通勤中にリラックスしており、自分の通勤に満足感を覚えていることも報告されました。

by rawpixel

都市経済理論では、労働者が自宅での余暇時間と仕事に対する努力の間でトレードオフを行っているとされており、通勤時間が長い労働者が仕事に労力を注がない傾向にある理由を説明しています。また、徒歩や自転車といった体を動かす通勤方法に比べ、公共交通機関や自動車での通勤はストレスが多く、運動不足から病気になりやすいために仕事のパフォーマンスを下げている可能性も研究チームは指摘。さらに、身体活動が認知能力を向上させるという研究結果もあることから、通勤で体を動かした労働者は通勤後の数時間にわたって認知能力がアップしている可能性もあるとのこと。

これらの研究結果から研究チームは、従業員のパフォーマンスを向上させたい企業は戦略的に従業員の通勤方法について検討するべきだと主張します。徒歩や自転車での通勤を推奨するほか、できる限り職場に近い場所に住んで通勤時間の短縮を目指すべきであり、研究チームは「職場にシャワー室や更衣室などを設置することで自転車通勤を促す」といった対策を提案していました。

by Snapwire

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in メモ, Posted by log1h_ik

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