コンデジもダイバーシティ。
例のごとく発表前に情報漏れ漏れで「プレスリリース完成しちゃうレベルじゃん?」なんて編集部で話しをしていたんですけどね。モノみたらまったく想像していなかった方向にいっていたんですよ。
あ、キヤノンのコンデジの話です。
本日キヤノンのおニューなコンデジ「PowerShot G5 X Mark II」と「PowerShot G7 X Mark III」が発表されました。両方似たようなデザインですが、簡単に説明すると、G5 Xのほうがスチル向け、G7 Xがムービー向けと考えてもらえればOKです。
PowerShot G5 X Mark IIは初代からデザインが変わり、かなりコンパクトに。PowerShot G7 X Mark IIIは見た目は前モデルとほとんど変わらずですが、中身は劇的な変化があります。
というのも、PowerShot G7 X Mark IIIにはかなりチャレンジングな動画機能が搭載されているんですよ。
PowerShot G7 X Mark III:まさかのコンデジだけでYouTubeの生配信ができちゃう
PowerShot G7 X Mark IIIは、今回から4K動画に対応しました。しかもクロップなしでの4K30pに対応。フルHDと同等の画角で撮影できます。マイク端子もあるし、USB-Cによる給電にも対応しています。
チルト液晶は自撮りもしやすいよう正面を向くなど、各所に使い勝手の向上が見られます。でもこのあたりはただ時代に追いついてきたという感じ。
注目は、ここから。
配信ユニットがなくても、カメラだけでYouTubeへのライブ配信ができます。手軽に1インチコンデジで生配信できてしまうってかなり画期的! 初期設定にはPCやスマホが必要ですけど、それさえ済んでしまえばG7X Mark IIIだけでライブ配信ができます。ちなみにライブ配信ができるプラットフォームはYouTubeのみ。Instagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)などのSNSには対応していません。YouTubeでのライブ配信はフルHD 30p(NTSC)/25p(PAL)での配信となります。
ライブ配信した映像はSDカードには保存されないので、YouTubeのアーカイブなどからダウンロードする必要があります。少々残念…かと思いきや、です。
カメラを給電さえしていれば、YouTubeをクラウドストレージ的に使って、容量を気にせず動画を撮りためられるようなんです。見せたくない動画はYouTubeの設定を限定公開にすればOK。さすがにWi-Fi環境は必要ですけど、イベントの記録を残しておきたいとか、そういうときには、かなり便利な予感! スマホを使って、YouTubeでプレビューしながら録画するのもありですし。
実際まだG7X Mark IIIからの生配信を試せていないので、使い勝手は不明ですが、ポテンシャルはかなりありそう。この機能は今後ギズでも試す予定です。
今回のモデルは動画特化になったので、一個前のモデル「PowerShot G7 X Mark II」は併売予定とのこと。スチル用途多めのひとはそっちでもよいですねー。
PowerShot G5 X Mark II:あのコンデジにそっくり。だけど中身はしっかりキヤノン
いろいろコンデジを見ているひとは気づくと思うんですけど、 某S社さんのRX100のデザインにクリソツです。
ただ操作周りはキヤノンのEOS感がしっかりあります。代表的なのが露出補正です。カメラ上部にある露出補正ダイヤルだけでなく、背面のコントローラーホイールに露出の設定を割り当てられます。メニュー画面もそうですが、普段キヤノンを使っているひとにはありがたいところ。
レンズ部分にあるコントロールリングは、カリカリしたクリック感があります。ちょっと安っぽいので好みが分かれそう。ちなみに、G7 Xの方のコントロールリングはヌルヌル動くタイプなので、このあたりもスチル向け、ムービー向けとしっかり作り分けられているのがわかります。コントロールリングにはズームやf値などの割り当てが可能です。
G5 Xは前モデルの液晶がバリアングルでしたが、チルト液晶に変更になりました。やっぱりバリアングルがいいなと思いつつ、 バリアングルにするとその機構的にボディサイズに厚みが出てしまうので、 これはしょうがないのかな…。
ファインダーはかなりきれいでびっくりしました。キヤノンのフルサイズミラーレスEOS RPとほとんど遜色ないレベルじゃないかと。コンデジのファインダーもここまできれいになったんだなーと感心するレベルです。
といいつつ、一番残念に感じたのもファインダーです。
ファインダーが収納式になって、カメラのサイズが小さくなったのはグッジョブって感じなんですけど、 作りがいろいろ惜しいところが多いんですよね。ひとつがファインダーのポップアップが2段式のところ。これ、サイドのボタンを下げてポップアップさせたあとに、指で引き出さないと使えません。
ソニーのRX100シリーズもRX100M5までは同様の形式ですが、RX100M6からは一発でファインダーがでるようになりました。これが相当よかったので、今回のファインダーは残念すぎました。あとはファインダーを出したときに自動的に電源をONにする機能もG5 Xにはなく、ファインダー周りの使い勝手はRX100のほうが上。
ソニーRX100と似ているため、どうしてもRX100にはあって、G5 Xにないところが目立ってしまったのはキヤノンにとって誤算かなと。
PowerShot G5 X Mark IIとG7 X Mark IIIのスペックはほぼ同じ
スペックは、ほぼほぼ変わらないので、2つの機種で違いがあるものは太字にしています。
PowerShot G5 X Mark II | PowerShot G7 X Mark III | |
---|---|---|
有効画素数 | 約2,010万画素 | 約2,010万画素 |
センサーサイズ | 1.0型CMOS(積層型) | 1.0型CMOS(積層型) |
焦点距離(35mm換算) | 24-120mm | 24-100mm |
開放F値 | F1.8-F2.8 | F1.8-F2.8 |
撮影距離(レンズ先端より) | オート:5cm〜∞/20cm〜∞ マクロ:5cm〜50cm | オート:5cm〜∞/40cm〜∞ マクロ:5cm〜50cm |
光学手ブレ補正&補正効果 | マルチシーンIS&4.0段(テレ端) | マルチシーンIS&4.0段(テレ端) |
ISO感度 | ISO120〜12800 | ISO120〜12800 |
連続撮影(連続撮影可能枚数) | RAWバーストモード(ワンショットAF)時:最高約30.0コマ/秒(最大約70枚) ドライブモード(ワンショットAF)時:最高約20.0コマ/秒(約118枚) | RAWバーストモード(ワンショットAF)時:最高約30.0コマ/秒(最大約70枚) ドライブモード(ワンショットAF)時:最高約20.0コマ/秒(約118枚) |
記録画素数(動画) | 4K:3840×2160(30fps:約120Mbps) フルHD:1920×1080(120fps:約120Mbps、60fps:約60Mbps、30fps:約30Mbps) | 4K:3840×2160(30fps:約120Mbps) フルHD:1920×1080(120fps:約120Mbps、60fps:約60Mbps、30fps:約30Mbps) |
質量(バッテリー含む) | 約340g | 約304g |
撮影可能枚数の目安 | モニター表示時約230枚、ファインダー表示時:約180枚 | モニター表示時約235枚 |
充電時間 | 約130分 | 約130分 |
ざっくりした違いとしては、
PowerShot G5 X Mark II:ポップアップ式の電子ビューファインダー付き。マイク端子なし
PowerShot G7 X Mark III:ファインダーなし、液晶のみ。マイク端子あり
こんな感じ。
2機種の共通点としては積層型センサーと映像エンジンDIGIC 8搭載して処理速度が早くなったことで、RAWバーストモードが搭載されました。これにより、重いRAWでの撮影も最大約30.0コマ/秒の連続撮影ができます。RAWバーストモードの中でも注目したい機能があって、約0.5秒前から記録される「プリ撮影」の設定ができます。これは簡単にいうとiPhoneのLive Photosですね。
1インチの画質で100mmのズームもできるLive Photosって聞くとなんかスゴい。
そして、両機種ともにズボンのポケットに収まります。これ大事。G5 Xの前モデルはファインダーもついていて、少々デカめでしたから。
PowerShot G5 X Mark II、G7 X Mark IIIの価格や発売日
両機種ともに発売日は8月下旬予定。価格は以下の通り。
PowerShot G5 X Mark II:10万5000円(税別)予定(キヤノンオンラインショップ参考価格)
PowerShot G7 X Mark III:9万2500円(税別)予定(キヤノンオンラインショップ参考価格)
価格は1万円ちょっとの違い。でもめっきりと性格が別れた2機種です。PowerShot G5 X Mark IIとG7 X Mark IIIともに良いカメラだし、一個前のモデルは両方とも売れてるモデルなので、さすがに信頼感は高め。
今回発表された2機種、ギズ的に推したいのは、完全にPowerShot G7 X Mark IIIです。キヤノンのプレミアムコンデジGシリーズは基本的にG○の○の数値が低いほうがスペック高いので、G5 Xを推したいところなんですけど、今回はG7 Xに面白い機能が搭載されちゃったので。YouTubeの生配信機能を盛り込んだのは、かなりの意欲作だなと。
YouTubeに限らず動画カメラとしてはかなり使い勝手も良さそうなので、コンパクトなカメラで動画も撮れるのを探しているひとは、どうでしょう。
PowerShot G5 X Mark IIもスチル向きといいつつ、動画性能に大きな違いはないので、マイクを使わないとか、個人で動画を楽しむだけの人であれば、G5 X Mark IIでも十分満足できそうです。
Source: キヤノン