あなたは、自分が投資したお金に手をつけたくないという気持ちをどのくらい持っていますか。

ボディガードにとっては、「principal」は守るべきクライアントを意味します。一方、お金について言えば、「principal」は元本という意味です。そして、投資した元本は守らなくてはなりません。

それはとても良い心がけです。あなたは苦労して稼いだお金を投資しました。それによってリスクが生じることも承知しています。リターンは変動するでしょうが、せめて自分が預けた元本だけは守りたい、つまり手をつけずにおきたいものです。

事業をはじめるなら、貯金を一旦は切り崩す覚悟を

利益については好きなようにできます。その分を再投資したければ、ぜひそうしてください。儲け分を引き出して車を買ったとしても、元本は残っていますから、さらに利益を上げてくれる可能性があります。

ウォール街で投資家として働いていたKhe Hy氏は自身のサイト「RadReads」で、元本に手をつけずにおくことは、責任ある行動のように「思える」と述べています。

とはいえ、「転職したり、起業したり、投資したりする場合、元本を守るという戦略は自分を縛るものになりかねない」とも語ります。

Hy氏は、有名起業家のイーロン・マスク氏を例に挙げています。マスク氏は自己資金を、自身が経営する自動車会社Teslaと宇宙輸送開発企業SpaceXのどちらに投じるか、決めかねていました。

そして結局、資金を半分に分け、それぞれのプロジェクトに注ぎ込むことにしたそうです。どちらかに肩入れしてもう一方を失敗させるくらいなら、両方にチャンスを与えたかったからです。

投資するのはお金か時間か?

イーロン・マスク氏の例では、あまりピンとこないかもしれませんね。そこでHy氏は、もっと現実的な話に引き戻そうと、自分自身が勤めていた会社を辞めたときのことを引き合いに出しています。

もしHy氏が貯金に手をつけなかったら、起業して会社を成功に導くための準備が十分にできなかっただろうと彼は語っています。

その理由は、自分のビジネスのために、すべての時間を仕事に充てて、手っ取り早く利益が出せるように仕事をする必要があるからです。

ですが、それでは会社を辞めるそもそもの目的に反していました。会社を辞めるのは、まだ幼い子どもたちと過ごす時間を増やすためだったのですから。

そこでHy氏は、より大きなリスクを取りました。家族と計画を立てて、貯金に手をつけることにしたのです。

もちろん、不確定要素はあります。ただしHy氏は、必要とあらばすぐにでも出費を減らせるとわかっていました。子どもたちの大学進学資金についても、問題ないという確信がありました。そうした要素は、計画と立てたときに組み込んであったのです。

「はたから見れば、貯金に手をつけるなんて正気の沙汰ではないと思えるでしょう」とHy氏は認めています。

けれども、長期にわたって自分自身という資本に絶えず再投資するという決断は、ほかのどんなことよりも、大きな経済的見返りをもたらしてくれる可能性があります。

お金をかけることで成長速度を早める

リスクとは、貯蓄と投資を続けるなかで再評価していくべきものです。元本の5%や10%に手をつけると想像しただけで、不安を覚える人もいるでしょう。

けれども、どんな状況や機会だったら、不安を感じることなく元本の5%や10%、さらにはそれより多くに手をつけられるでしょうか?

現時点では、そういった段階ではないかもしれません。けれども、状況や機会に迫られる前に、いまの自分が大切にしている価値についてよく考えておくのは役に立つでしょう。

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Image: jefftakespics2/Shutterstock.com

Source: RadReads, Notion

Lisa Rowan - Lifehacker US[原文