なかなかリケジョが増えない…男女均衡まで200年はかかるかも?

  • author Patrick Howell O'Neill - Gizmodo US
  • [原文]
  • 湯木進悟
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なかなかリケジョが増えない…男女均衡まで200年はかかるかも?

現実は厳しい~。

理系分野では、どうしても男性の割合が高まってしまう。これが世界的な傾向なのは否定できないようです。少しずつ改善されていっているともいわれるのですが……真の均衡が達成されるまでには、どれほどの時が経過しなければならないのでしょうか?

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Image: The Allen Institute for Artificial Intelligence in Seattle

コンピューター科学が課題

このほどNew York Timesが報じたところでは、バイオ生物学などの分野で、最近は女性研究者の台頭も際立っており、男女比が均衡へと向かっているようです。しかしながら、依然として、圧倒的に女性が少ないのはコンピューター科学分野! 1970年から2018年までの、同分野における287万件の論文発表データなどを調査して明らかになったところでは、今世紀に入っても女性研究者の割合は2割を超えたレベルに過ぎず、まだ3割までもほど遠いのが現状のようです。

もっとも楽観的に見積もっても、ようやっと今世紀末に男女の比率が同じレベルに達するとされるものの、現実的に考えるならば、上のグラフのように、改善まで今後200年はかかるとの予測が出されていますよ。近年では、男女混合の研究チームの割合も、この分野では減少傾向にあるんだとか。

不均衡の弊害

なお、現時点で、コンピューター科学研究の世界において、圧倒的多数を占めているのは、白人男性です。すでにその弊害は、さまざまなところで出てきているとも指摘されており、マサチューセッツ工科大学(MIT)のJoy Buolamwini氏およびTimnit Gebru氏は、顔認証技術の例を紹介。白人男性の認証エラーは1%未満と高精度なのに対し、黒人女性の誤認識率は34.7%にまで高まるとした調査事例を挙げています。AIをはじめとするコンピューター技術の恩恵が、性別人種によって偏る形でしかもたらされない事態につながっているとの警鐘が鳴らされていますね。

いま社会に大きな影響を与えているのは、GoogleやFacebook、Microsoftといったテック企業ですけど、たとえば、その技術サービスが、男性の手によってばかり開発されていくならどうでしょうか? 女性の身になって、女性ならではの視線で提供される製品サービスが、全体としてはわずかになれば、利用する側にも格差が生まれてしまうことでしょう。ますますIT技術がカギを握る世の中になっていけばいくほど、この分野での男女不均衡は、思わぬ大きな問題につながっていきかねません。リケジョが珍しくはない社会…。早く現実のものとなっていくよう、さらなる大きな支援が必要となってきそうですよね。

Source: New York Times