「女性と2人きりはダメ」、米州議員が女性記者の取材拒絶 トラブル回避で妻と約束

A composite image showing Larrison Campbell and Robert Foster

画像提供, Twitter / @RobertFoster4MS / Larrison Campbell

画像説明, 共和党のロバート・フォスターミシシッピ州下院議員(左)は、ラリソン・キャンベル記者(右)の15時間におよぶ「同乗取材」を拒絶した

アメリカ・ミシシッピ州知事選に立候補している、共和党のロバート・フォスター同州下院議員(36)が、選挙活動の同行取材を希望する地元メディアからの申し入れを、担当記者が女性だという理由で拒絶していたことが、9日わかった。妻以外の女性と2人きりにはならないと決めていると言い、男性スタッフを同行させない限り応じられないとしている。

地元メディア「ミシシッピ・トゥデイ」のラリソン・キャンベル記者(40)によると、フォスター議員の選挙活動を同行取材するため、選挙用車両に15時間「同乗」できないか申し入れた。しかし、自分が女性であるとことを理由に拒否されたという。

異性と2人きりにならない

フォスター議員は、自分の結婚生活にいかなる疑惑も生じさせたくないため、用心した上での判断だったと釈明。CNNに対し、「これは私の選挙トラックだ。私の選挙トラックの中では、私のルールに従って我々は行動している」と述べた。さらに、自身の宗教や信仰について語った。

自分の妻ではない女性と2人きりで過ごさないとしていた、アメリカのキリスト教福音伝道師の故ビリー・グレアム氏や、妻以外の女性と2人きりで食事はしないというマイク・ペンス米副大統領を引き合いに、フォスター議員は、異性と2人きりにはならないと妻に誓っていると明かした。

フォスター議員はツイッターで、「妻と私は、我々の結婚生活に疑念を生じさせたり、損なわせる恐れのある、いかなる状況も回避するという、『ビリー・グレアム・ルール』に従うという誓いを立てた。このような考え方をしていないキャンベルさんには申し訳ないが、私の決断は妻への敬意を表してのものだ」と説明した。

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Presentational white space

告発されるような状況に身を置かない

フォスター議員は、「私は、人が物事を見た際に質問をしないでそのまま理解するというような、感覚的な認識や捉え方(perception)を信じていない。真実を見つけ出そうとしないのだから。感覚的な認識や捉え方というものがこの世界では現実とされている。私は、自分がすべきことではないことをしている、というような考えを、誰にもされたくない」と述べた。

さらに、セクハラ被害者を支援する「#MeToo(私も)」運動については、「男性はいつも攻撃にさらされている」と主張。「私は、女性が私を告発できるような状況に自分自身を置くようなことはしない」と述べた。

15時間の同行取材を男性記者が行なうとしたら、取材に応じるかと尋ねられると、フォスター議員は「私は自分の立場を守りぬく」と答えた。

Mike Pence and his wife

画像提供, Getty Images

画像説明, マイク・ペンス米副大統領(左)は、妻キャレン氏以外の女性とは2人きりで食事しないという

記者であることは二の次に

一方、フォスター議員をこれまでに何度も取材してきたキャンベル記者はCNNに対し、今回の判断は性差別主義だと反論。フォスター氏のルールに従うことが求められるのであれば、フォスター氏側が男性の付添い人を用意すべきだと主張した。

フォスター氏は、当時の選挙陣営は、支援を差し伸べるにはあまりに人手が少なかったと主張した。

キャンベル記者はフォスター氏に対し、「あなたがここで主張しているのは、女性はまず性的対象であり、記者であることは二の次だということだ」と述べた。

ドアを開ければ問題なし

さらに、キャンベル記者は、現在のミシシッピ州知事室には大勢の女性スタッフがいることを指摘した上で、女性と部屋の中で2人きりにもなれないのに、自分は良い州知事になれると、有権者に対してどう訴えるつもりかと、フォスター氏を追及した。

フォスター氏は、ドアを開けっ放しにしたり、隣の部屋に人を配置したりすることで解決できると反論。しかし、15時間にわたり車に同乗するのは状況が違うと述べた。

プロ意識か性差別主義か

フォスター議員とキャンベル記者をめぐる議論によって、男性は女性と2人きりになることを居心地悪く感じるかどうかが、再び注目されることとなった。

2017年には、ペンス副大統が2002年に、「妻以外の女性と2人で食事をしないこと、そして妻がそばにいない状況では、アルコールが提供される行事には参加しないこと」を誓っていたことが明らかになり、大きく報じられた。

職場におけるプロ意識の問題だと主張する声がある一方で、性差別主義で女性にとって不公平だとの批判も上がっている。