「そんなにアメリカが嫌いなら出ていけ」女子W杯の得点王を批判、ソフトバンク選手が弁明

    トランプ政権を批判する発言などで、注目されてきたアメリカ女子サッカーのラピノー選手。過去には、国歌斉唱中にひざまずく運動をめぐって、批判を受けたこともある。

    女子サッカーW杯フランス大会で、アメリカ代表の連覇に貢献し、大会MVPと得点王に輝いたミーガン・ラピノー選手。

    トランプ政権を批判する発言などで注目されてきたラピノー選手に対して、日本のプロ野球で活躍するアメリカとカナダ出身の選手たちが「そんなにアメリカが嫌いなら出て行け」「同感だ」とツイートし、一部で批判の声が上がっている。

    「そんなにアメリカが嫌いなら出て行け」

    Hey @mPinoe if you hate America so much, leave! No one will stop you.

    投稿したのは、アメリカ出身で福岡ソフトバンクホークスに所属しているデニス・サファテ選手と、カナダ出身で読売ジャイアンツのスコット・マシソン選手。

    7月9日午前、サファテ選手がラピノー選手に宛てて「おい @mPinoe(ラピノー選手のTwitter)、そんなにアメリカのことが嫌いなら、出て行け!誰も止めないぞ」とツイートした

    この投稿に対して、マシソン選手が「同感だ。アメリカ以外だったらどうなるか見に行けばいい」と返信した。7月12日午後3時現在、ツイートは削除されている。

    サファテ選手らの投稿には「ラピノー選手の勇気と強さがアメリカを勝利に導いた。あなたの発言はアメリカを貶めている」「女性スポーツ選手の権利向上を求める人に対して、差別的・暴力的な発言する人物は、ソフトバンクホークスにふさわしいとは思えません」などと、批判の声が寄せられた。

    サファテ選手は、「彼女は国旗を侮辱し、国歌斉唱でも起立しなかった」とのちに弁明した。何が起きたのか。

    トランプ政権を批判「ホワイトハウスには行かない」

    両選手がリプライを寄せたラピノー選手は、今年1月のインタビューで、「W杯で優勝してホワイトハウスに行くのが楽しみですか?」と問われ、「くそホワイトハウスなんかに行くわけがない」と答えた

    この発言は話題を呼び、トランプ大統領が大会中に、「スポーツリーグやチームは、ホワイトハウスに来るのが大好きだ」「ミーガンは口を動かす前に勝て!仕事をしろ!」「ミーガンはこの国、ホワイトハウス、または国旗を侮辱するべきではない」などと不満をあらわにする事態となった。

    ....in our Country’s history, and the poverty index is also best number EVER), leagues and teams love coming to the White House. I am a big fan of the American Team, and Women’s Soccer, but Megan should WIN first before she TALKS! Finish the job! We haven’t yet....

    大統領はツイートの中で、チームを招待すると表明したものの、ラピノー選手は「私は行かないし、話をしたチームメートも全員行かないと言っている」「みんなトランプ政権に認められたいとも、汚されたいとも思っていないはずだ」とコメントした

    また、大会後、優勝を喜ぶラピノー選手が「アメリカ国旗を踏みつけた」という情報がネット上で出回り、批判する声が上がっていた。

    ところが、根拠とされる動画を確認すると、ラピノー選手の隣にいた別の選手が国旗を地面に落とし、スタンドに向かってアピールしていたラピノー選手の足に触れる様子のみが映っている。

    アメリカのファクトチェックサイト「Snopes」は、意図的に「踏みつけた」とは言い難いと指摘している。

    You should be disturbed by this unpatriotic narcissistic behavior. @mPinoe is neither a hero or a role model. I rewound and watched the entire celebration on the field. Rapinoe didn’t want anything to do with an #Americanflag before she stomped it. #repulsive

    国歌斉唱でひざまずき連帯

    また、ラピノー選手は、国歌斉唱をめぐり批判を受けたこともある。問題は、2016年まで遡る。

    元NFLのコリン・キャパニック選手が、アメリカで黒人や有色人種を狙った差別的な事件が多発していることに抗議し、試合前の国歌斉唱中にひざまずくムーブメントを始めた。

    ラピノー選手も同年9月に行われた試合で、国歌斉唱中にひざまずき、キャパニック選手への連帯を表明。

    その理由を「同性愛者のアメリカ人として、自分たちの自由を守ってくれない国旗を見上げることがどういうことか、私にはわかります」と話していた

    今大会後のCNNとのインタビューでも、「国歌斉唱中にひざまずいたのは、侮辱的な行為だったと思うか」と問われ、「思わない。抗議することは常に居心地の悪さがあるものだと思います。全ての人に自分の内面を見つめ、今まで知っていると思っていたことを自問自答させるものだから」と語った。

    サファテ選手「差別や無礼を働いた訳ではない」

    一方、サファテ選手は批判を受け、7月12日にTwitterで弁明。3つのツイートで、当初の投稿についてこう説明した。

    I first want to start by saying I was not being racist or rude. The captain of the US Women’s soccer team made some comments about America that I thought were rude and uncalled for. I love America and wanted to let her know if she hated it she could leave.

    「まず、私は差別や無礼をしたわけではないということから、お伝えしたいと思います。女子サッカーアメリカ代表のキャプテン(ラピノー選手)がした発言は、アメリカに対して無礼で、いわれのないものだと感じました。私はアメリカのことを愛していて、彼女がアメリカのことを嫌いなら出ていくことができると伝えたかった」

    「誰かを不快にするつもりはありませんでした。私は日本に暮らしていて、日本で暮らすのが大好きです。私は自分の母国や日本のことを悪く言うようなことは、絶対にしません。スポーツチームのキャプテンは、自分が代表する国に対して敬意を払うべきだと思います。彼女は国旗を侮辱し、国歌斉唱でも起立しなかった」

    「だから何が言いたかったと言うと、もしアメリカが好きじゃないなら、行けるところはたくさんあるし、誰も止めないということです。もしそれで不快に思うなら、すみません。私は私のファンを愛し、プレーすることを愛していますが、常に敬意と誇り、誠実さを持っていたいと思います!」

    【UPDATE】

    BuzzFeed Newsはサファテ選手が所属するソフトバンクと、マシソン選手が所属する読売ジャイアンツに対して、両選手のツイートの意図や球団としての見解を質問した。

    ソフトバンクの広報室は13日「球団としては、本人に対して、『自分の見解や意図を限られた文字数で正確に伝えることが難しいという、ツイッターの性質を理解して投稿するように』とアドバイスいたしました。彼自身に、差別的な意識はないものと考えております」と回答した。

    読売巨人軍広報部は12日、「マシソン選手のツイートについては、球団と本人が協議の上、本人の意思で削除しました」とのみ回答した。