人はなぜか、ときに泣きたい気持ちになるもの。哀しい曲や映画、書籍などが存在するのはそのためです。
リアルライフが充実していても、あえてちょっとした哀しみに触れることで感情が動き、精神的にも肉体的にもリフレッシュできるのです。
アンハッピーバースデーの正しい過ごし方
とりわけ哀しむのに適しているタイミングは、雨の日、深夜、そして誕生日です。最高の誕生日でさえ、哀しみは避けられません。
誕生日が充実しているほど、過去と未来の隔たりを実感したり、時が巻き戻せないことを思い知らされたりしませんか?
そう、あなたは成長しています。年を重ねています。こうしている今も、確実に死が近づいているのです。
今が幸せであるほど、いつしか失うものも大きくなります。そのときが、あなたが死ぬときと同じであれば最高ですね。
ですから私は毎年の誕生日を、音楽をかけたり、散歩したり、静かに座ったり、自分のことを哀れんだりして過ごします。
なぜなら、それが楽しいから。
大学を出てすぐの誕生日、私は恋人にふられ、孤独のあまり自分が哀れでなりませんでした。本当の意味でアンハッピーだったのです。
でもその後、少しずつ人生がよくなっても、自分を哀れむことをやめませんでした。
今年は娘が生まれて育児休暇を楽しんでいる真っ最中ですが、やはり誕生日を哀しむ習慣は続けました。
もしあなたがこのような哀しみに魅力を感じるなら、(そして、いま抱えているメンタルの問題を悪化させる心配がないのなら、)誕生日にはちょっとだけ泣いてみることをお勧めします。
1. 独りになる
自分を哀れむ会は、独りでやるに限ります。
いえ、自ら哀しみに浸る行為は、決して恥ずべきことではありません。
でも、あなたを気にかけてくれている人の前でそれをやるのは、少々気恥しさが伴います。
ですから、知らない人はいいとして(私は近所を散歩しながら自分を哀れむのが好きです)、知人からは距離をおきましょう。
仮にあなたのやっていることが知られても、彼らはきっとあなたの憂鬱なバースデーを邪魔しないはずです。
それに、あなたが目の前で哀しんでいるのを見ると、彼らが責任を感じてしまうかもしれません。それでは彼らに悪いので、独りの時間を作ってください。
トイレでほんの数分だけの独り時間でもいいのです。
ただし、哀しみの時間を終えたら、今度は誰かと一緒に過ごして気分を盛り上げましょう。
誕生日を丸一日哀しい気持ちで過ごすのは、さすがにこたえますから。
ですから自分を哀れむ会は、計画的に行う必要があります。
2. タイミングを考える
まず、哀しい独り時間を終えたあとにどうしたいかを考えてください。
元気になって、仕事を終わらせたいですか? 泣きつかれて、そのまま眠りにつきたいですか? 涙を拭いて、すぐにバースデーパーティに行きたいですか?
誕生日には祝福ムードが欠かせないという人は、哀しみと祝福のギャップを分析する必要があります。
そんなに祝福はいらないという人は、哀しみ過剰で壊れてしまわないように気をつけてくださいね。
去年の誕生日にも泣いたという人は、いろいろな方法を試してみましょう。
私の場合、夜にバーで飲んだあとに酔っぱらって泣いたことがありました。
朝にビールを飲みながらシャワーに入り、お湯を浴びながら長い溜息をついたこともありました。
今年はベビーが昼寝をしている間に、ソファで哀愁の時間を過ごしました。
完璧な環境が用意できないときや、哀しみタイムにお酒を飲めないという人は、音楽でムードを高めるといいでしょう。
3. 音楽を用意する
誰しも、いざというときのために哀しい曲のプレイリストを作っておくべきだと思います。
哀しみに打ちひしがれた状態になってから気分に合う音楽を探しても、落ち着いて探すことなんかできませんから。
Spotifyを検索しまくっているうちに、せっかくの哀しい気持ちが消えてしまうか不満に変わり、カタルシスに到達できません。
ここでは、個人的な好みが重要です。
あなたにとっていちばん親しみのある音楽を頼りにしましょう。映画で使われていた哀しい曲や、過去の特定のイベントを思い出す曲などが最適です。
でも、私のいちばんのオススメはBishop Allenの「The News From Your Bed」。
まさに、孤独な誕生日をテーマにした曲です。
まずは、昔から大好きな歌を2曲。
次に、つなぎの歌(繰り返して聞いてもパワーが擦り減らない程度のもの)をいくつか。
そして、アップビートな歌を3曲ほど聴いて、気分を高めて終わりましょう。
私は、ちょっとだけ哀しいときに流すための「意気消沈」プレイリストを用意しており、気分が落ち込みそうなときはそれをかけるようにしています。
4. スマホは使わない
インスタなどのSNSを見ていると、自分だけ取り残されているかのようなFOMO(fear of missing out)という感情に陥りがち。
哀しい気持ちの今は、ハッピーな何かに出会えるかもしれないという期待よりも、FOMOのリスクのほうが危険です。
そもそもスマホとはそういうもの。ですから、スマホは音楽をかけるだけにとどめておきましょう。
散歩やシャワーもオススメですが、もっといいのがお風呂です。
飲み物と本を持ち込んで、ゆっくりお湯につかってみてはいかがでしょうか(ここでも、気分を壊しかねない雑誌は避けるべきです)。
見たことのある映画を見てもいいでしょう。
哀しいテレビ番組でも結構ですが、たとえ時間がなくて飛ばし飛ばしになるとしても、やはり感情にどっぷり浸れるのは映画です。
映画の世界にのめり込むことで、前回見たときの記憶が鮮明によみがえるでしょう。
5. 哀しい理由を知る
哀しい誕生日は、悪い日だろうと悪い1年だろうと悪い人生だろうと、関係ありません。悪い年なら、具体的なことにフォーカスしましょう。
たとえば、恋人と別れたとか、知人を亡くしたとか、引っ越したばかりで友達がいないとか。
客観的にハッピーなはずの誕生日に哀しみを感じるという行為は、背徳の喜びすら感じられるでしょう。
でも、もっと大事なことは、誕生日についての普遍的な真理を追究すること。
何も生み出していないのに特別な日があるという不思議。
祝うべき理由もないのに、お祝いムードを強制される社会。
それがこの世界の真実であり、どんなに幸運な人でも、その真実のもとに生きるしかありません。私たちはこの世界を生き抜くために、その不都合な真実に従うことに慣れてしまっているのです。
次の誕生日、その真実にどうせ従うなら、まずは哀しい曲を聴いてから始めてもいいじゃないですか。
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Nick Douglas - Lifehacker US[原文:You Should Feel Sad on Your Birthday]