大統領選挙は大丈夫なのか? いまだ多くのシステムがサポート切れ間近なWindows 7と判明

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大統領選挙は大丈夫なのか? いまだ多くのシステムがサポート切れ間近なWindows 7と判明
Image: Drew Angerer/Getty Images

きっと間に合わない…。

いま日本国内でも多くの企業団体が、2020年1月14日サポート切れとなるWindows 7への対応に追われています。ところが、このほどAssociated Press(AP)が明らかにしたところでは、米国の選挙システムのうち、現時点でWindows 7ベースのものが多数残っており、大統領選挙はWindows 7のサポート切れ以降に実施されるため、セキュリティ上の大問題にさらされる危険性があると懸念されていますよ!

4割が危うい

すでに米政府は、来年の大統領選挙が滞りなく実施されるよう、国内の選挙システムのアップグレードを速やかに実施することを、昨年より各関係機関に求めてきました。ところが、現時点でアップグレードされたものは、全体の6割程度に過ぎず、これまで1,415億ドルもの巨額な経費が注ぎこまれたものの、いまだに数多くの選挙システムが更新されていないんだとか。

実は米国内で投票集計などに用いられている選挙システムは、Election Systems and Software(ES&S)とDominion Voting Systems、Hart InterCivicの3社の手になるもので、9割以上が占められていると伝えられています。このうちDominion Voting Systemsの選挙システム以外は、多くがWindows 7ベースのままになっているほか、唯一の新システムとなるDominion Voting Systems製のものも、一部にWindows 7より古い技術が用いられているみたいですね。各社が新システムを次々と開発中ではあるものの、いずれも米連邦政府からの認証を取得するまでに長い期間を要するため、とても来年の大統領選挙までには間に合わないのでは? そんな懸念も強まっているようです。

お金か安心か

MicrosoftによるWindows 7サポートは、確かに半年後には打ち切られてしまいますが、まだ有料プランに加入することで、Windows 7向けのセキュリティパッチの配信を受け続けるという道が残されています。しかしながら、この有料プランのサブスクリプション料金がバカにならず、すべての未アップグレードの選挙システムに適用するならば、だれがその莫大な費用を負担するのかという問題まで出てくるそうですよ。

こうした選挙システムは、基本的にインターネット回線には接続されず、それゆえに大きな危険はないとする見方もあるかもしれません。とはいえ、リモートアクセスを許可する形態の選挙システムも存在するとされており、要はサポート切れで、セキュリティパッチが適用されなくなったWindows 7の隙をついて、どのような不正操作がたくらまれるか、その危険性は決して侮られるべきものではないでしょう。いまや他国による投票結果の操作疑惑まで大問題になる米大統領選挙。そこに実施前からシステム上の不備があり、ハッカーの餌食になってしまうという事態だけは、なんとしても避けたいところでしょうか。

Source: AP