サイエンス

金だと思って持ち帰った岩石が超希少な隕石だったと判明


ある日偶然発見した岩に「金が含まれている」と勘違いした男性が、数年間にわたってその岩を所持し続けていました。しかし、実はその岩が金ではなく「46億年前から存在する希少な隕石」であったことが判明したと報じられています。

Meteorite found by gold prospector - The first found in Victoria since 1995 - Comes to Museums Victoria - Museums Victoria
https://museumsvictoria.com.au/media-releases/meteorite-found-by-gold-prospector-the-first-found-in-victoria-since-1995-comes-to-museums-victoria/

Prospector's mystery rock was no nugget, but something much rarer
https://www.smh.com.au/national/prospector-s-mystery-rock-was-no-nugget-but-something-much-rarer-20190716-p527pi.html

Man Keeps Rock For Years Thinking It's Gold. Turns Out It's a Super Rare Meteorite
https://www.sciencealert.com/man-holds-onto-rock-for-years-thinking-it-was-gold-turns-out-it-s-a-super-rare-meteorite


2015年にオーストラリアのメルボルン近郊にあるメアリーバラ広域公園を探索していたデビッド・ホールさん。金属探知機を用いて探索を行っていたところ、黄色い粘土をまとった非常に重くて赤みがかった岩を発見します。

発見した岩が、以下の写真右側。全体的にさびた金属のような赤みがかった色をしており、近くでみると黄色の粘土のようなものも見えます。


ホールさんは発見した岩を自宅へ持ち帰り、岩の中に金の塊が隠れているのではないかと考えていたそうです。その理由は単純で、メアリーバラは1851年にオーストラリア・ビクトリア州で起きたゴールドラッシュの地域に含まれていたから。

メアリーバラはオーストラリアの南東にあるビクトリア州に位置しており、メルボルンから自動車で3時間ちょっとの距離にあります。


ホールさんは自身の発見した岩が金であると証明するために、発見した岩を割ろうとしました。グラインダーやドリル、強力な酸、ハンマーなどを試したそうですが、岩を割ることはできず。


ホールさんはなぜ岩が割れないのかに興味を持ち、これをメルボルン博物館へ持って行きました。メルボルン博物館で働く地質学者のダーモット・ヘンリーさんは、地元メディアのSydney Morning Heraldに対して、「(ホールさんが発見した隕石は)彫刻されたかのようなくぼんだ外観を持っています。これは隕石が大気圏を通り抜ける際に、外側が溶けてできる跡です」と語り、ホールさんが発見した岩が地球外から飛来した隕石であると語っています。

ヘンリーさんたち地質学者は多くの自称隕石を調査しており、「私はこれまで人々が隕石だと疑う多くの岩を調べてきました。そして、大抵の場合はそれが誤りであると伝えなければいけません」と語るように、その大半が隕石ではなくただの岩だそうです。しかし、ホールさんが持ってきた岩は紛れもない隕石で、46億年前のものであることが判明。なお、ヘンリーさんがメルボルン博物館で37年間働いてきた中で、「隕石かもしれない」と持ち込まれた何千もの岩の中で、本当に隕石だったのはホールさんの持ち込んだ岩と別の岩の2例のみだそうです。


同じくメルボルン博物館で働く地質学者のビル・バーチさんは、「地球上の岩を拾っても、(ホールさんの岩のように)重くはないでしょう」と語っています。

ヘンリーさんとバーチさんは、このホールさんの発見した隕石について科学論文を発表しました。この論文によると、ホールさんの発見した隕石は17kgもの重さで、サイズは幅39cm×奥行き14cm×高さ14cm。含有物にはケイ酸塩・鉄・ニッケル・マグネシウムと、少量の炭素および結晶水が含まれます。46億年前から存在する隕石であり、地球に飛来したのは1000年以内と推定されています。分類としてはHコンドライトで、鉄の割合が高い隕石とのこと。


ハンマーやドリルでも割ることができなかった隕石ですが、研究者たちがダイヤモンドのこぎりを用いてカットすることに成功。中にはコンドルールが含まれていることが判明しています。

この隕石がどこから飛来したものなのか、そして地球上にいつ頃来たものなのかという正確な数字は明らかになっていないものの、研究者たちはいくつかの推測を持っています。地球の存在する太陽系はかつてはちりとコンドライトの集まりでしたが、これらが重力によって集まり、複数の惑星が誕生しました。この時に惑星になりそこねたものが、巨大なアステロイドベルトを形成しており、いくつかの隕石はここから飛来したと考えられています。

ヘンリーさんは「特定の隕石は、火星と木星の間に存在するアステロイドベルトからやってきます。これらの隕石は互いに衝突を繰り返し、小惑星により軌道を変えられ、ある日地球に飛来します」と説明しています。なお、放射性炭素年代測定の結果、隕石は100年から1000年もの間地球上に存在したと推測されており、実際、1889年から1951年の間にいくつかの流星が観測されているとのことです。

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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