大昔は身長約0.9mのオウムがいたらしい。ニュージランドで化石発見

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  • author Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
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大昔は身長約0.9mのオウムがいたらしい。ニュージランドで化石発見
Image: Brian Choo, Flinders University

巨大オウムにおしゃべりさせたら、どんな声だろう?

科学者たちが巨大なオウムの存在を示す証拠が見つけました。場所はニュージーランドですが、あそこなら確かに有り得そうです。

もしこれが今存在したならば、欲しがるのはクラッカーではなく食パン丸ごと一斤でしょうね。

体重7kgで身長90cm

ニュージーランドでの鳥の進化に関していえば、地上に人類がやって来る前は島全部が鳥の楽園であり、巨大で、また時として飛ばない種類も生まれていました。そして新たな調査によると、そこにはかつて体重7kgほどで、身長90cmもあるオウムが生息していた可能性が示唆されたのです。

それはどんな鳥だったのでしょうか? オーストラリアのフリンダース大学にいる、トレヴァー・ワーズィー准教授から米Gizmodoに宛てた返信では、こう書かれていました。

現代に生きている親戚を比較して推測するしかありませんが、オウムは賢くて問題解決能力があります。ほとんどの種類は草食動物ですが、そのうちの1種に限っては、主として生息していた森に豊富に実っていた果実や種を食べていたと思われます。

デカいけど、どう見てもオウムだった

科学者たちははじめ、2008年に一対の鳥のスネの一部分である脛足根骨の化石を発見しました。人間の脚は2本の骨しかありませんが、鳥は3本で真ん中にもう一対、スネの骨があるのです。

BIOLOGY LETTERSに掲載された論文によりますと、当時科学者たちは、それらは鷲の骨だと思っていたようですが、その形や比率がかなりオウムっぽく見えたのだそうです。だけども骨はほとんどのオウムの脛足根骨より巨大であることから、この鳥は現存する最も重いオウムである、カカポ(フクロウオウム)2倍の大きさだったのかも? という結論に至ったのでした。

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Image: Paul Scofield, Canterbury Museum

ギリシャ神話から名前を付ける

ということで、科学者たちはこの鳥が予期せぬ発見だったことと、巨大な鳥の大きさにちなみ「Heracles inexpectatus(ヘラクレス・インスペクタス)」と名付けました。

また彼らは以前にも、絶滅したオウムのグループをギリシャ神話の英雄ネーレウスから拝借した「Nelepsittacus(ネレプシタカス)」という名を与えたことがありました。「ネレプシタカス」は、ネレウスの息子ネストールと密接に関係しており、またギリシャ神話では、ヘラクレスはネストール以外ネーレウスの息子をすべて殺した、という伝承があります。

発見された場所

これらの化石は、ニュージーランド南島の中央オタゴにあるセント・バタンズ動物相という堆積層から初めて見つかりました。この場所から大きな骨が見つかるのは珍しいのですが、絶滅したダチョウ目のモアや巨大鷲、ほかのオウムの化石が見つかっています。そして2本の脚の骨は、1600万年前から1900万年前の岩石から見つかったのでした。

オレゴン大学の博士研究員、マーティン・スターヴァンダー氏は、この研究に説得力があると考えており、米Gizmodoにこう返信をくれました。

外部から見ると、骨学の科学は茶葉を読むように見えるかもしれません。ですが、これらの著者は専門家であり、骨の突き出した部分やえぐれたところ、それにくぼみの形を系統的に説明しています。

そうした特徴を、2つの巨大な博物館が所蔵する多数の骨と比較することによって、彼らはすべての主要な鳥類の系統との類似点相違点を指摘することが出来ます。ふたつの骨には、オウムだけが持っている6つの特徴が含まれており、これが身元を証明しているのです

スネだけでは判断材料が足りないけれど

とはいえ、もちろん限界はあります。さすがに一対のスネの骨だけでは、オウムの家系図でどこに位置付けるのかを判断するのは難しいですよね。しかしこの研究は、哺乳類の捕食者のいない大きな島では、ニュージーランドで有名な巨大な鳥を含む、かなり奇妙な野生生物を生み出すことが可能だって事実をさらに強固なものにしてくれます。

オウムというと海賊の肩に乗ってお喋りするってイメージがありますが、今でいうと喋るハシビロコウを肩に乗せるようなイメージになるんでしょうかねぇ?

Source: BIOLOGY LETTERS, Wikipedia