エアコンがボールを投げるわけじゃあない。
うん、まずはこれをお断りしておきますね。でも、その機能をたとえるなら「キャッチボール」が適してると思ったんです。
三菱ルームエアコンの新モデル「霧ヶ峰FZ・Zシリーズ」は、キャッチボールによって、エアコンをさらに快適な空調機器として1ランク引き上げたような気がします。
まずエアコンがキャッチボール?なんのこっちゃ。って思うよね。そこから解説していきます。
AIとセンサーによって、情報のキャッチボールができるようになった
霧ヶ峰は従来モデルでも「ムーブアイmirA.I.(ミライ)」という高精度赤外線センサーが搭載されていて、人の場所や窓などの場所、室温の変化を察知、先読みして風を送る。といったアプローチはしていました。
これによって、部屋の形状に合わせて快適な空間を作る、といったことができていたのですが、2020年度モデルの霧ヶ峰はさらに進化しています。

人工衛生「だいち2号」にも搭載実績のある高解像度・高感度の「サーマルダイオード 赤外線センサー」を搭載し、従来と比べて画素数80倍、感度2.5倍という「ムーブアイmirA.I.+(ミライプラス)」へバージョンアップ。
何ができるようになったか?というと、まさにキャッチボールです。
たとえば、従来のモデルもセンサーで見つけた目標に向かって気流を送っていました。
でも、その間に障害物があると、人に向かって風を送っても、きちんと届かずなかなか涼しさや暖かさが感じられないということも。つまり、気流が実際に人へ届いているかどうか? ってのがわかってなかったんですよね。いわゆる投げっぱなし状態。
一方でムーブアイmirA.I.+になった新モデルでは、狙った場所に実際に気流が届いているのか? 障害物や外部からの冷気で邪魔されていないか? など、到達地点の温度変化で気流が届いているのかを判断してくれます。
これまで風を投げっぱなしだったのが、投げてからちゃんと届いたのか?という情報を理解して、補正するようになったんです。ね、キャッチボールでしょ?
直接届かないなら、曲げて届ける

実際に暖房モードで温風を送る様子がこちら。温度変化をどう捉えているのか?というのをサーモで見るとこんな感じになります。
人物の前に障害物が置かれた場合、しばらく経つと「風が足元へ届いていないぞ」というのを理解します。やがて、障害物を迂回するルートを探し、左側にあるパーテーションに気流を反射させる。という魔球じみたミラクル角度で、僕の足元へと気流を送ってきました。直接届かないなら、曲げて届ける! どんな発想なんだそれ…。と、僕じゃあ思いつかない答えで関心しかありません。

しかも…ですね、これを学習します。次回からは、ちゃんと学んだ迂回ルートで気流を送ってくれるんです。もちろん、レイアウトを変えればそれを判断して、また調整。センシングとAIの両方を活用して、リアルタイムに室内と人物とを見ているんですね。賢い!
エアコンに合わせていた生活から、エアコンが僕らに合わせてくれる暮らしへ
100の家庭があれば100通りの住環境があります。
となれば、最適な暖房・冷房の方法は100通りに異なってきますけど、この「霧ヶ峰」の新モデルは、どの家庭のどの部屋のどんな環境に挑んでも、それぞれに最適な答えを考えて、返してくれるわけです。
これまで、エアコン様に人が合わせる形で、風が届くようにサーキュレーターを導入したり、風が当たらないように風向きを調整するのが当たりだったけど、それを「いや、当たり前じゃないだろう」「エアコンが人に合わせるべきだ」と、センシングとAIによって、人が上位に来るように再設計されたのが、2020年度モデルの「霧ヶ峰」シリーズだと思うんですよね。
その結果、どの部屋でも、どんなレイアウトでも、人間が暮らしやすい環境を自動的に整えてくれる。ある意味、「エアーコンディショナー」の言葉本来の姿へ至ったわけです。
2020年、人類vsエアコンの戦いは、人類側の勝利で始まるでしょう。
Source: 三菱電機