2019年は空前の “麻辣(マーラー)”ブーム! 2017年「マー活」という言葉が生まれ、もはや「麻辣」がどんな味かは注釈をつけなくても、何となく伝わる時代になったのではないだろうか?

2003年に中国に渡り、麻辣に魅了された私(沢井)としては、嬉しい限り! でもどうして今になってブームになっているのか? そもそも麻辣って何なのさ。

・中国の四川省発祥の “味”

麻辣とは、皆さんご存知のとおり花椒(ホァジャオ)由来の痺れる辛さ「麻:マー」と、唐辛子の辛さ「辣:ラー」が合わさった“味”。中国の四川料理の特徴である。英語で花椒のことを「Sichuan Pepper(四川コショウ)」というくらいだ。

……と、すっかり四川=麻辣のイメージが定着しているが、その歴史自体は比較的新しく、唐辛子が中国に入ってきた17世紀以降だと考えられている。

しかし、355年に編纂された地誌『華陽国志』によると蜀人(四川人)の好みについて「好辛香」という記載がある。ザックリいうと四川エリアでは唐辛子が伝来する以前から花椒やショウガなどの刺激的な味が好まれていたということ。麻(マー)文化には、めちゃくちゃ長い歴史があったようだ。

・なぜ日本でブームに? 「新しい味覚」と「映え」

そんな麻辣、とくに「麻(マー)」の歴史から見たら、2010年代の麻辣ブームはめっちゃ今更かもしれない! 日本では重視されなかった “味” がどうして今になって受け入れられたのだろうか? 

私は、かねてより日本で “リアル中国” の味を探していたのだが、思えば2015年前後から市場がパクチーブームに次ぐ新しい味を探していたように思う。

そこで、消費者の動向にマッチしたのが麻辣だ。ちなみに、ほぼ同時に出現した四川料理の味「怪味(グアイウェイ)」はメディアでも取り上げられたものの、あえなく消えてしまった……。

怪味でなく麻辣が生き残った理由は2つ。日本人がエスニックな味に慣れてきて、シビレという過激な感覚を受け入れる土壌ができていたことだろう。麻婆豆腐ひとつとっても、日本での普及から約50年かけて日本風にアレンジされたものより、いまは本場のものが好まれるくらいだ。

そしてもう1つは強烈なビジュアルではないだろうか。真っ赤な麻辣料理はとにかく写真に映える!

・麻辣は季節を問わない

さらにダメ押しでいうなら、麻辣は季節を問わない。暑い時期に食べると汗をかいてスッキリ、寒いときなら身体がポカポカだ。麻辣ブームは2019年夏が最高の盛り上がりと言われるが、秋以降も展開可能。このままスタンダードになっていくのかもしれない。

参考リンク:四川美食網(中国語)
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.