SSDってどうやって選べばいいの? 仕組みがわかる完全ガイド(2019年版)

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  • author David Nield - Gizmodo US
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  • 禿頭帽子屋/Word Connection JAPAN
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SSDってどうやって選べばいいの? 仕組みがわかる完全ガイド(2019年版)
Image: Alex Cranz (Gizmodo US)

「コンピューターを買い換えるなら、SSDがおすすめ」―そんな言葉、よく聞きますよね。実際、売り場に並んでいるノートパソコンでも、SSD搭載モデルが主流になってきました。でも、いざSSD搭載のコンピューターを買おうとしても、知らない用語だらけ......。そんなあなたのために、SSDの最新情報をお届けします。


SSD(ソリッドステートドライブ)といえば、かつては高価な贅沢品で、技術に強いパワーユーザーだけのものでしたが、最近ではノートパソコンなどに当たり前に搭載されるようになりました。同時に、SSDまわりでは新しい規格と技術が次々と登場しています。だから、SSDを選ぶのが以前ほど簡単でなくなっているのは当然なんです。でも大丈夫。この記事を読めば、最新の情報にキャッチアップできます。

SSDについて最新の市場動向をお話しする前に、これまでの歴史を振り返っておくといいかもしれません。SSDは、従来のHDD(ハードディスクドライブ)より優れた、ただしそれだけ値も張る次世代の記憶装置として登場しました。可動部分がないため、読み書き速度と信頼性が飛躍的に向上したというのは、ご存じでしょう。

SSDには、同等のHDDよりはるかに小型にできるという特性もあり、広く普及する障害となっていたのは、ひとえに価格だけでした。それでも、時間がたつにつれて、たいていのシステムで投資に見合うと言えるくらいまで、価格はこなれてきています。もちろん、GBあたりの値段で考えれば、HDDのほうがまだ安価な選択肢であることは変わっていませんが。

MacBookで言うと、HDD搭載モデルが出たのは2012年が最後でした。今では、廉価モデルのノートパソコンでさえ高速なSSDを搭載するのが普通になっています。それより低い価格帯のデスクトップ機になると、今でもHDDが主流で、それはパフォーマンスより価格の手頃さが優先される(増設するスペースも広い)からですが、価格の点でもSSDはHDDに迫りつつあります。

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Photo: Samsung
SATA仕様の増設用2.5インチSSD

技術上の大きな違いは、記憶装置として磁気媒体ではなく半導体チップを使っている点にあります。つまり、SSDはRAMに近いと言え、違うのは電源を切ってもデータが保持されることくらいです。磁性体の円盤上をヘッドが動いて読み書きするHDDに対して、SSDでは電荷が受け渡しされるだけなので、データを読み出すときも書き込むときも、大幅に高速になります。

SSDも、完璧な技術ではありません。読み書きのたびにごくわずかずつ劣化していくため、寿命は限られています。寿命といっても、コンピューターを買い換えるスパンよりは長いのが普通でしょう(ドライブにアクセスする頻度によって変わってくることは、言うまでもありません)。

ここ数年で、SSD技術はさらに進化しています。コンシューマー市場に初めて登場したときは、ケーブルとSATA(Serial ATA)コネクタ(外付けの場合はUSBケーブル)が使われていました。SSDドライブが普及しはじめた時点では、マザーボードと接続する規格として最適・最善だったため、HDDからそのまま引き継がれたからです。現在、最新のSATA規格はSATA 3.3で、データ転送速度は600MB/秒です。

ということで、SSDを買いにいくと、M.2とかPCIeとかNVMeという用語に出くわすことになります。どれも、技術とインターフェースの種類を表す言葉ですが、まずNVMe(Non-Volatile Memory Express)から説明しましょう。SSDとコンピューターの間でデータをやりとりする新しい規格で、SATA(厳密に言うと、SATA AHCI)のような速度上のボトルネックが発生しません。

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Photo: Western Digital
NVMe規格とM.2コネクタを採用した最近のSSD

NVMeで、コンピューター本体のプロセッサとの通信に使われるのが、PCIe(PCI Express)技術です。グラフィックカードに使われるのと同じ規格で、高速インターフェースというメリットがあります。転送速度は3,500 MB/秒にも達するという、驚きの速さです。SATA AHCI規格のSSDと比べると、プロセッサへの負荷も軽くなります。

ここまででわかるように、SSDにしたからといって、今お使いのコンピューターの速度が急に6倍になるわけではなく、NVMeドライブがすべて上限の性能を発揮するわけでもありません。それでも、大量のデータを移動するときや、サイズの大きいアプリケーションを読み込むとき、目に見えてスピードアップすることは確かです。たとえば、オペレーティングシステムは特に大きいアプリケーションですから、起動ははるかに高速になります。

SSDが初めて登場したときと同様、NVMe規格の普及を妨げている最大の要因も、今のところ、価格です。マザーボードが古くて、予算も限られているとしたら、今でもまだSATA SSDしか選択の余地はないかもしれません。ひたすらパフォーマンスを追求したいのであれば、今こそNVMeへの移行を考えましょう

ただし、NVMeだけでSSDのフォームファクター(物理的な形状とコネクタのタイプ)が決まるわけではありません。M.2コネクタも関係してきます(M.2そのものは、SATAにもPCIeにも対応しているのですが、PCIeのほうが一般的です)。NVMeとM.2は混同されがちですが、それは同じSSD上で両方が採用されているからです。最高のパフォーマンスを追求するなら、両方が必要になります(両方をサポートするマザーボードも必要)。

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Photo: Western Digital
使えるSSDの種類は、マザーボードで決まる

言い換えれば、SSDの物理的な形状とデータ転送の各種オプション(主にNVMe)を決めるのがM.2です。M.2 SSDは薄く小型で、RAMに近い形なので、スペースが限られるノートパソコンにも向いています。また、デスクトップコンピューターの場合は空きHDDスロットにSSDを差すのが普通ですが、ノートパソコンの場合は普及している2.5インチの標準フォームファクターを置き換えるのが基本です。技術的にはもうちょっと複雑なのですが、コンピューターの自作やアップグレードを考えるのであれば、こう考えておけば十分です。

つまり、NVMeはSSDが他のシステムと通信する規格M.2は物理的な形状と、通信に使われるコネクタの規格ということです。店頭に並んでいるSSDを見ても、この2つは分かちがたく結び付いていますが、古いシステムをアップグレードするときや、自作派としてマザーボードを選ぶときには、この違いをぜひ知っておいてください。

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Image: Alex Cranz (Gizmodo US)
M.2フォームファクターでNVMe規格にも対応しているIntel Optane SSD

とにかく最高クラスのSSDを使いたい、というのであれば、グラフィックカードと同じ標準のPCIeかM.2いずれかのNVMeを探しましょう。たとえば、MacBook Proではしばらく、NVMe(かつM.2)のSSDが採用されていました。古いシステムをアップグレードする場合や、コストを抑えたい場合には、2.5インチSATA SSDも、まだいろいろ出回っています。

技術は日夜進歩するものです。価格の変動やメーカーの方針変更もありますし、規格の改良も続いています。Intel Optaneも、注目しておきたい技術のひとつです。基本的には、SSDのフラッシュメモリーを改良し、M.2フォームファクターを利用してアクセス速度を上げていますが、かつてのSSDと同様、今しばらくは高値止まりで、なかなか手が出そうにないかもしれません。