2018年、ニューヨーク市の地下鉄で、何組かのスリグループが乗客の隙を狙ってスリを働き、逮捕されました。盗んだメトロカード3枚と携帯電話4台を所持していた犯人の1人は警察に対し、「カバンを開けて手を入れ、財布を抜き取った」と供述したそうです。「注意散漫な人を狙うんだ」。

スリは、必ずではありませんがたいていはグループで、かつ気づかれないよう行動します。そして、人がスリに遭うことをまったく予期していないときに犯行に及ぶのです。

フランスでは2015年に、エッフェル塔を訪れる観光客を狙ったスリのグループが逮捕されました。NBCニュースによると、彼らは週におよそ3000ドルも稼いでいたそうです。

お得なカード情報を提供するサイト「Million Mile Secrets」では、スリ被害に遭う確率を減らすためのポイントを紹介しています。旅行中に、パスポートや財布を紛失したくないなら、必要最低限のものだけを持ち歩くようにしましょう。たとえ赤ちゃんを押し付けられても、受けとらない心構えが必要です(これについてはあとで説明します)。

旅行者が多い場所を避ける

スリ被害に遭わないようにする一番簡単な方法は、観光客向けの場所をすべて避けることです。フランスにあるアメリカ大使館のウェブサイトでは、エッフェル塔はもちろんのこと、観光客が集まる美術館や史跡、レストラン、ホテル、ビーチなどの周辺では、注意を怠らないよう呼びかけています。

つまり、自撮り棒で撮った写真や混雑情報がレビューサイトに投稿されているような観光名所は避けるべきなのです。以前にも書いたように、観光客でいっぱいのホテルチェーンではなく、より静かな場所にある小さなホテルやAirbnbを選ぶ方がいいでしょう。バーやレストラン、あらゆる公共交通機関など、混雑しがちな場所も十分な注意が必要です。

Redditのユーザー「u/crushhawk」さんは、スペインのマドリッドで電車に乗っていたときにスリに遭った経験を書きこんでいます。

電車で移動中、友だちの1人が、後ろで大声を出している男の人に何度もぶつかられました。そしてふと、こんな場所でスリに遭ったら最悪だと思った彼がポケットに手を入れると、財布がポケットから落ちそうになっていたのです。(中略) 突然、彼のポーチからカメラが落ちました。スリはそれを拾うと、私たちが降りる駅で走って降りていきました。

フェスなどでは、特に気をつけましょう。2019年の「ロラパルーザ」(シカゴで開催されるロック・フェスティバル)では、少なくとも209人が携帯電話を紛失したと届け出ています(Redditに書きこみがあるように、ウエストポーチは悪くないスリ対策のようです)。

スリのイメージ
Image: Shutterstock

スリの手口にご用心

今までも繰り返し書いてきたことですが、旅行に出かける前に、目的地のスリの手口について、必ず調べておきましょう。そうすると、スリには共通の手口があることに気づくかもしれません。

それは、「気をそらすこと」です。スリ(あるいは、スリグループのうちの1人)は、ぶつかってきたり、いまの時間を聞いてきたり、思わず見入ってしまうような滑稽なアクシデントを起こしたりして、注意をそらそうとします。

ワシントン・ポスト紙は、「通りすがりに、液体や調味料、偽物の鳥の糞などをかけてくることがあります」と例を挙げています。「汚れに気を取られている間に、別の仲間がスリを働くのです。(中略)観光客の注意を反らす手口は、ほかにも、お年寄りが転ぶ、女性が赤ちゃんや猫を押し付けてくる、誰かが財布を落とし、それを拾うと、中身を盗ったと難癖をつけてくる、などがあります」

つまり、今度誰かが赤ちゃんを投げてきても、キャッチしてはいけません――というのは冗談ですが、衝動的に何かを受け取る、触る、取り戻すといった動きを、できるだけ抑えてください。自分の周囲に意識を集中させましょう。

「できる限り、見知らぬ怪しい人間があなたの個人的なスペースに入りこまないようにしてください」と「u/hairfarmer」さんはRedditのスレッドでアドバイスしています。「もし誰かがあなたに触ろうとしたり、踊り出したり、ちょっとおかしなことをしたりしたら、おそらく何か理由があってやっているのだということ、そしてそれは良い理由ではないだろうことを理解しましょう」

パスポートは決して持ち歩かない

スリ被害に確実に遭わないようにする方法は、「オトリの財布」を持ち歩くこと以外にはほとんどありません。

まず、携帯電話や財布は、いつでも前のポケットに入れておくこと。「Million Mile Secrets」の記事にあるように、携帯電話をテーブルの上に置きっぱなしにしたり、カバンを椅子の背もたれにかけておいたりしてはいけません。また、パスポートは持ち歩かないことです。ホテルの部屋の金庫に入れておきましょう。

お得な旅情報を提供するサイト「the Points Guy」のライターBrian Birosさんは、必要最低限のものだけを持ち歩くようアドバイスしています。つまり、クレジットカード、キャッシュカード、パスポートのコピー、現地通貨で10~20ドル分の現金です。残りの現金はホテルの部屋に置いておくべきです。

ウエストに巻くマネーベルトを買ってもいいですが、あれをつけていると、見るからに旅行者に見えて、狙われやすくなると思います。Birosさんが薦めるように、携帯電話やカメラに付けて落とさないようにできる手首ストラップを買って、いつでも装着しているのがいいでしょう。そこに現金も入れておきます。あるいは、腕や太ももに巻くランニング用ポーチを使ってみるのも手です。旅行者らしく見えなくなります。

最後に、人がたくさんいる場所では、地図やガイドブックを開かないようにしましょう。そんなことをすれば、スリに狙われる可能性が増えるだけかもしれませんよ。

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Image: Shutterstock

Source: The New York Times, NBC, アメリカ大使館, CWB Chicago, Reddit, ワシントン・ポスト, the Points Guy

Josh Ocampo - Lifehacker US[原文