(ただし、そう思える人には)
4K動画の撮れる数々のカメラの中からコレ!ってものをやっと選んだと思った瞬間、BlackmagicやらPanasonicやらの6K動画カメラが出てきて心が揺らいでる…って方も少なくないんじゃないでしょうか? 何ならいつの間にか6KTVとかも流行ってるの?と不安になっていませんか? 何かしら6K対応する必要があるのかないのか、6Kをどの程度意識すればいいのか、ここでまとめます。
6K動画カメラが気になっちゃう状況です
6Kは、横約6000画素×縦約3000画素(約1900万画素)ほどの解像度を指す言葉です。今主流になりつつある4Kは約800万画素です。
ここで言う「6K動画カメラ」の中で一番新しいのは、Panasonic Lumix S1H(最大解像度6000 x 4000画素)とBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K(同6144 x 3456画素)です。最大6Kで動画が撮れる!とうたうカメラはこれが最初ではないし、最後にもならないと思われます。動画制作に真剣に取り組んでいる人にとっては、今は4K(3840 x 2160画素)よりも6Kのカメラを検討する節目にさしかかりつつあると思います。
現状での6K動画カメラのメリット=柔軟な動画制作が可能に
でもだからといって、もうすぐNetflixで6Kの映画とかTV番組を見られるというわけでもありません。てことは、6Kで撮っても6Kでは見られないってことになりますが、それでも6K動画カメラを買う理由があるんでしょうか?
その理由を短く言うと、画素が増えるってことです。4Kがかつてそうであったように、6Kもまた、画素が多いことで動画制作を柔軟にしてくれるんです。6Kで撮っておけば、編集で小さくクロップしたり、縮小してざらつきを軽減したりといったことがしやすくなります。
「真の4K動画」が撮れる
それに動画の手ぶれ補正では、アルゴリズムが各フレームを分析し、フレーム間のズレをなくすべく動かしています。ということは、フレームが上下左右に微妙にずらされるので、結果的に端の方は使えなくなります。なので4Kをうたうカメラで撮っていても、実際は4Kより若干解像度が低くなるのが普通です。
つまり4Kで動画を撮るということは、手ぶれ補正の過程で解像度がやや下がって、「4K弱」になります。でも6Kで取っていれば、しっかり手ぶれ補正を入れたとしても、真の4K動画を作ることができます。ただしこれをするには、元の動画を本来作りたい映像より広角めの構図で撮っておくといったノウハウが必要になります。
クオリティを保ったまま、より自由に編集できる
画素が多ければいろんなことができる、これは撮影後の編集にもあてはまります。6Kは4Kに比べて動画編集環境に負荷がかかりますが、編集の自由度の高さを考えればさほど問題になりません。何らかのエフェクトをかけるとしても、画素が多い方がやりやすくなります。
元の画素数が多いほどリアリティを高められる
たとえばグリーンスクリーンを使う場合も、解像度が高く画素数が多いほうがよりきれいに合成できます。今どきの映画では編集とかレイヤーが重ねられ、リアルなものがたくさんデジタルに置き換えられていることが多いので、元になる画素が多いほどリアリティを高められるんです。キャンバス上の点がより多いほうが、よりきれいに見えるということです。
クロップやパンがしやすい
それから上にもチラっと書いたんですが、6Kなら十分な解像度を保ちつつクロップしたり(画像の一部を切り出したり)、パンしたり(被写体を追従したり)といった選択肢も手に入ります。たとえばYouTubeに1080pの動画を載せるとしたら、それは6Kに比べたらほんの切れ端程度なので、動画はカメラ固定で6Kで撮っておいて、後から編集でパンさせても画質が下がることはないです。
静止画を抜き出してもきれい
あとは動画から静止画を抜き出す場合にも、6Kは役立ちます。映画のプロモーション用素材であれ、何らかの動画の派生プロジェクトであれ何であれ、(他の条件が全部同じだとすれば)4Kより良いものになるはずです。
要するに6Kは、動画の作り手に対し、単に何ができるかということでなく、クオリティという意味で、より多くの選択肢を与えてくれるということです。なので6Kの動画を見る人が誰もいなかったとしても、6Kのカメラを買うことには十分な意味があります。
デモザイク
もっとテクニカルなレベルでは、6Kは「デモザイク」という処理にも役立ちます。デモザイクとはデジカメで写真を撮ったときの色の処理過程の一部で、内部で予測のアルゴリズムを使っています。元の画像の解像度が高ければ高いほど予測が少なくて済むので、ノイズも少なくなります。
オーバーサンプリング
そして最後に、オーバーサンプリング、つまり高解像度のセンサーで低解像度の画像を撮る場合にも6Kが生きてきます。オーバーサンプリングでできる画像は、大きな画像を画像編集ソフトウェアで小さく縮小するのと同じように、エッジがよりシャープに、エイリアシングはより少なくなります。カメラが、その画像を作るのに必要となる以上のデータを捉えているので、それが可能になります。
プロフェッショナルなユーザーなら6K動画カメラに投資する価値あり
だいたいテクノロジーというのは、大した需要がなくても先へ先へと進んでいってしまいます。それに同じ4K動画を作るとしても、4Kカメラで撮るよりも、6Kカメラで撮って4Kに編集するほうがきれいに仕上がります。かといって8Kほどの膨大なデータでもありません。
こうして6Kの魅力を語れるのは、8Kが普及する前のほんの短い間かもしれません。でもプロユーザーの人たちなら、扱える画素数を最大限増やすべく6Kカメラに投資する価値はあると思います。
でもみんなが今6Kカメラを買うべきかっていうと、別にそういうことじゃありません。我々のほとんどにとっては、引き続きスマホのカメラでも、多分全然問題ないことでしょう。