「得意先が、自分の顔と名前を覚えてくれない」、「能力も実績もあるのに、社内で引き立てられない」といった、自分の印象の乏しさから生じる問題。
ビジネスパーソンの少なからずは、こうした問題に悩んでいます。
人の印象は後天的に改善可能
人の印象は、先天的な要素が大きいイメージがありますね。
ですが、実は後天的に改善できると説くのは、フリーアナウンサーの名和田知加さんです。
名和田さんは、好印象を与えるスキルを1冊の書籍『アナウンサーがやっている! 1分で心に刺さる印象術』(彩図社)にまとめています。
そこには、アナウンサーという、好印象が必須の職業で培われたノウハウが、惜しみなく公開されています。
その全部は紹介しきれませんが、いくつかをピックアップしてみましょう。
9割の情報を捨てて印象づける
異業種交流会などで自己紹介をする時は、「自分をもっとアピールしたい」と力んで、いろいろな情報を盛り込むものです。
ですが、名和田さんがすすめるのは、「情報を絞る」。
まずは「自分は〇〇な人、〇〇の人だと見られる」と印象づけたい軸を決め、それ以外の9割は捨てるくらいで考えるとよいそうです。
例えば、「営業も人材育成も経理も得意です。どこに配置されても大丈夫です。困ったことがあれば何でも私にお任せくださいね」という自己紹介。
短いですが、これでも情報量は多いのです。
名和田さんは、「情報がたくさんあると、そのぶん印象が薄れます」と説明します。
そこで、「営業歴は〇年で一番長いです。中でも〇〇な営業を得意としています」と、中身を絞ります。
9割捨てて、アピールポイントは「最大でも2つ」。この点に留意すれば、第一印象で差をつけることができます。
一文を短く話すが勝ち
影響力のある経営者、政治家、芸能人の話し方には、ある共通点があるそうです。
それは、一文が短いこと。
名和田さんは、自分の話をわかりやすく、印象強く伝えるには、この点を肝に銘じるようにアドバイスします。
目安は70文字くらいまで。そして、主語と述語は1つずつにとどめます。
丁寧に話そうとして「~ですけれども」「~でございますが」といった言葉でつなぎがちになりますが、長くなるほど聞き手は、話がわかりにくいと感じます。
結果、何の印象も残らないままに…。
どうしても長くなってしまう場合も、接続詞は1つまでと覚えておきましょう。
「近寄らないでバリア」を張っていませんか
印象に残りにくい人というより、近寄りがたい印象を持たれ損をしている人も多いと、名和田さんは指摘します。
こうなるのは、周囲との間に「近寄らないでバリア」を張っているからだそう。
以下の3項目以上に該当すれば、そんなバリアを張っている可能性が大きいです。
<近寄りがたい人チェックリスト>
- 無表情でいる人
- わかったフリをする人
- 「凡人ではない」と抵抗感を示す人
- 下品ではないと無言の主張をする人
- 自分の情報を隠しがちな人
- やたら時間をかけて答えを考えている人
- 謙虚過ぎる人
3つ以上当てはまる人はご注意を!
バリアを張ってしまう原因は、自身のなさや劣等感から「素直になれない」ことにあるそうです。
それを隠そうとしても、「周囲にはバレバレ」で、他者との溝が深まります。
バリア解除の第一歩として、名和田さんは「私たちの周囲の人間は想像以上に“頼ってくれてもいいのに”と思っている」ことを知るのが大事だと述べます。
そして、悩みをざっくばらんに打ち明けることも。
例えばこんな風にです。
「こんなことで悩んでいるって言ったら笑われちゃうかもしれないんですが」
「たいしたことじゃないんですが、実は…」
などと切り出して、悩み事の締めくくりは、
「もーホント、自分でも笑っちゃいます」
「いやー、なんか抜けちゃうんですよね」
などさらっと言ってみましょう。 (本書180pより)
「自分は完璧ではない」と素直になることで、バリアは外れていき、人からの印象度もポジティブなものへと変わっていくのです。
本書にはこのほか、アナウンサーならではのコツをふまえた、身だしなみルールや賢く聞き出す質問の仕方など、相手にまた会いたいと思わせる技が網羅されています。
自分の印象を改善したいと思っている方は、読んでみるとよいでしょう。
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Image: Shutterstock.com
Source: 彩図社