どんな環境にも、苦手な人は必ずいるもの。

仲良くすることは難しかったとしても、それなりにうまくやっていくことは、生きる上でも大事なスキルです。

『苦手な人を思い通りに動かす』(日経BP)の著者であるグレッチェン・ルービンさんは、人間の本質をテーマにした作品で世間に大きな影響を与えた、ニューヨーク在住のベストセラー作家です。

もともとは、法律家としてキャリアをスタート。

しかし、アメリカ初の女性連邦最高裁判事サンドラ・デイ・オコーナーの書記官を務めていたときに、本当は作家になりたいということに気づいたという彼女が、行動パターンを一瞬で見抜き、相手の心をかしこくつかむ人間関係のシンプルなルールを紹介します。

人には4つの傾向がある

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この人には言いたいことがきちんと伝わったのに、なぜ別の人には同じように伝わらないのだろう? と思ったことはありませんか?

筆者は、人の傾向には4つのパターンがあって、その傾向を知ることが重要といいます。

傾向を考慮すれば、人は自分自身をより深く理解できるようになるのです。(中略)職場の同僚、上司、教師、コーチ、夫、妻、親、子ども、医療関係者、患者など、自分の身近な人の傾向を把握すれば、その人たちとのつきあいや仕事がしやすくなります。

『苦手な人を思い通りに動かす』12〜13ページより引用

人の「性格」は環境が変わったりすることで、だんだん変わってくるものです。

しかし、「傾向」は生まれつき誰もが持っていて、体験等によって変わるものではありません

人は、外からの期待と自分の内なる期待に対してどのような態度を取るかによって、下のような4つの傾向に分かれるといいます。

  1. アップホルダー:優秀だが融通の聞かない“堅物タイプ”
  2. クエスチョナー:いちいち質問してくる“変人タイプ”
  3. オブライジャー:言われたことしかやらない“指示待ちタイプ”
  4. レブル:何でも自分の思い通りにしたい“わがままタイプ”

たとえば、アップホルダーは、内外両方の期待に応えようとする人のことで、クエスチョナーは、あらゆる期待に疑問を抱き、自分が正当だと思う期待にのみ応えようとする人。

オブライジャーは、外からの期待には進んで応じようとしますが、内なる期待には応えられない人。

レブルは、あらゆる期待に反発して、内外どちらに対しても態度が変わらない人。

たしかに、身の回りの人を見渡すと、4つのどこかには当てはまりそうです。

相手の傾向を知れば、ストレスが無くなる

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本著には、4つの傾向を導き出す診断テストが掲載されています。

自分の傾向を知っておくことで、今以上にもっと有効に強みを活かしていけると著者はいいます。

たとえば、楽しめる仕事とそうでない仕事の見極めなど、傾向を深く知ることで成功につながる状況を生み出せるようになるのです。

他者の傾向を知っていると、説得したり、やる気を引き出したりすることが容易になり、衝突を避けることができます。一方で、相手の傾向を考慮しないで言葉をかければ、話が通じないばかりか、逆効果になる恐れすらあるのです。

『苦手な人を思い通りに動かす』24ページより引用

それは、自分だけではなく、他者との関係性についても同じ

たとえば、理解不可能な言動ばかりして、敵意すら感じる苦手な人たちがいたとしても、その傾向を理解すると、もっと相手に対して寛容になることができそうです。

具体的に、各傾向が価値を置いているものとは何なのでしょうか。

アップホルダーの人は「自制とパフォーマンス」で、何かに対する責任を必要とします。

クエスチョナーはの人は「正当性と目的」で、正当な理由を求めることが多いのだとか。

オブライジャーの人は「チームワークと義務」で、何かに対する責任を必要とします。

レブルの人は「自由と自分のアイデンティティ」で、自分のやり方を貫ける自由を求めています。

傾向によって、ものの見方は違って当然。苦手な人の傾向を把握することで、ストレスなく対処できるようになります。

言い方を変えるだけで、人の心はスイスイ動く!

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コミュニケーションを図るうえで、適切な言葉のチョイスは絶対条件に。

聞き手の傾向を知ってから話すことで、自分と違う価値観を持つ相手の心を開くことができそうです。

誰かに何かをさせたいと思うと、人はつい自分に効果のある方法を使おうとしてしまいますが、4つの傾向を思い出せば、相手を動かすのに必要なものを与えられるようになります。

『苦手な人を思い通りに動かす』349ページより引用

大事なことを実行してもらうためには、その人にあった伝え方が必要に。

たとえば、避難を呼びかけるときには、傾向別にこんな方法が考えられます。

アップホルダーの人には、避難することを求められていることを知れば避難する、そのためはっきりと訴えることが大事です。

例:避難が求められています。

クエスチョナーの人には、理由に対して納得すれば避難してくれます

例:危ないから避難が求められています。

オブライジャーの人を避難させるためには、外からの責任が必要なため、自ら手本となって避難することが周囲の人にとって最善の行動であることを伝える

例:危ないから一緒に避難しましょう。

レブルの人には、命令を嫌うものの、避難しないと自由や快適さがなくなりかねないことが理解できれば避難してくれます。

例:避難しないと大変ですよ。

個別に対処するときには、傾向にあった伝え方を考慮。

全体に呼びかけるときには、4つの傾向を鑑みる期待を示すことで、摩擦が起きにくくなるといえるでしょう。

苦手な人を無理に好きになる必要はない。

その人の傾向をつかんだ伝え方を心がけることで、もっと楽に生きやすくなりそうです。


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Image: Shutterstock.com

マイロハスより転載(2019.08.25)