ニュース

キヤノン、2,000nitsの業務用31型4Kディスプレイ。コントラスト比200万:1

キヤノンは、全白/ピーク輝度2,000nitsの高輝度表示が可能な、31型の業務用4K液晶ディスプレイ「DP-V3120」を11月より発売する。価格はオープンプライスで、想定売価は420万円前後。

DP-V3120

色や階調、ディテールの確認やカラーグレーディングなど、映像制作の最終工程で必要とされる厳密な調整や画質確認での使用を想定した業務用ディスプレイ。業界トップクラスを謳う高輝度2,000nitsと、200万:1のダイナミックコントラストを実現したのが最大の特徴。またDolby Vision認証を取得しており、Netflix認証も取得予定。

「最大10,000nitsまで規定されているHDR10/PQに加え、放送HDR規格のHLGにおいても、カメラが持つ広いダイナミックレンジを表現するべく、現状の規定(1,000nits)を超えた更なる高輝度化を求める流れがある。またCG/VFX、デザイン制作の分野でも高輝度な映像制作が拡がっている。本機はこれまでにない1,000~2,000nitsの高輝度領域でも、高品質かつ新しい映像制作の表現を提供するべく開発した次世代標準器」という。

画面サイズは31.1型で、アスペクト比17:9のIPS液晶パネルを採用。液晶セルは1枚。解像度は4,096×2,160ドットで、DCI 4Kのフルピクセル表示が可能。上下左右の視野角は89度で、パネル表面はアンチグレアを採用する。

SDR制作での標準輝度100nitsのほか、HDR映像編集の際には、最大2,000nitsの高輝度表示が行なえる。

「2,000nitsは広いダイナミックレンジを持つカメラが捉えた高輝度領域をより忠実に再現できる輝度レベル。HDRコンテンツを規格内に仕上げる際、映像本来のシーンリファード画質を正確に把握した上で編集することで、より肉眼に近い高品質な映像表現ができる」という。

一般的なHDRディスプレイと比べて二重像によるエッジぼやけが無く、1,000nits以上の明部の正確なモニタリングや、画面全域での高輝度表示で、つねに安定した表示を実現。またバックライトやローカルディミング制御の最適化により、従来モデルの全黒輝度0.005nitsから0.001nitsへ暗部性能が改善し、黒浮きとハローを低減している。

パネル輝度の経年変化も考慮した余裕ある2,000nits設計としたことで、HDR制作においても長期運用が可能。購入後にパネル輝度が1,000nits以下に落ちる心配はないとしている。

なお前機種DP-V3010では独自設計の直下型RGB LEDバックライト光源だったが、V3120では白色の直下型LEDバックライトシステムに変更した。

EOTFは、キヤノン独自のCanon Log/2/3や、S-Log2/3、ITU-R BT.2100、SMPTE ST 2084で定義されたハイブリッドログガンマやPQに対応。作成したLUTを最大8個までインポートできる。

プリインストールされているガンマとEOTF
LUTのインポートが可能

Dolby Vision認証(’19年9月発行のVer1.3)を取得。これはDolby Visionコンテンツを制作するにあたり、グレーディングシステムやディスプレイなどの業務用機材に対して、ドルビーが一定水準の仕様を要求・規定した認証システムで、V3120はピーク輝度/黒輝度/コントラスト比/色域/EOTF/ビット深度/サンプリング/グレースケール再現性/加法混色の全9項目において推奨値を達成(Preferred適合)。

「ドルビーが定めた要求仕様に応える機材を導入しなければ、Dolby Vision施設認定を受けられず、ポストプロダクションはNetflixなどのOTTサービスに素材を納品できない。認証取得済みのV3120であれば、そうしたポストプロダクションが安心して購入・使用できる」という。今後はNetflix認証も取得する予定。

映像ファンクションメニュー

HDRのモニタリングアシスト機能として、波形モニター/ベクトルスコープ、ヒストグラム、フレーム輝度モニターといったグラフ表示のほか、同一画面内でのHDR/SDR比較やLUT比較表示、被写体の輝度や色を数値や疑似色で可視化表示するピクセル値チェックやフォルスカラー、2020色域外表示などを搭載する。2画面/4画面表示にも対応する。

波形モニター/ベクトルスコープ
ヒストグラム
フレーム輝度
ピクセル値チェック
フォルスカラー
2020色域外表示

筐体はファンノイズを抑えた静音設計。従来比10~20dBの静音化を実現しており、高輝度表示で使用しても、ファンの音量を気にすること無く編集作業に集中できるよう配慮したという。

DP-V3010では別筐体だった操作盤を、ディスプレイ下部に格納。チャンネル切替え、ファンクション、メニュー操作用の十字キーなどを搭載する。

12G-SDI入力端子を4系統装備。それぞれに4K/60p映像が入力可能で、4系統の4K/60p映像を切替えながら使用できる。背面にはHDMI入力×1(HDCP 2.2)、12G-SDI出力×4、LAN/REMOTE、AC電源入力、前面にはヘッドフォン出力、USB端子を用意する。

消費電力は、工場出荷状態で約175W、最大負荷時は約840W。スタンドを含む外形寸法は、約749×335×492mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約31kg。200×200mmのVESAマウントに取り付けもできる。

側面
背面
端子部