平均より1,000倍強いスーパーボルトですって。
新しい研究にて、もっとも強力なクラスの稲妻であるスーパーボルトが、驚くべき時期と場所で発生することが明らかになりました。
強いのは冬の稲妻
科学者たちは、そのスーパーボルトを「平均より1,000倍強い稲妻」と定義しています。
また一般的に強い雷雨は夏場の海岸近くで起こるイメージがありますが、雷の分析データにより、スーパーボルトは11月から2月にかけて外洋で起こりやすいことが判明しました。
8年の分析結果
この研究の主任であり、報告書の筆頭著者でもあるワシントン大学のロバート・ホルツワース教授が率いる研究者たちは、「ワールド・ワイド・ライトニング・ロケーション・ネットワーク」と呼ばれるグローバル・センサー・ネットワークを使い、2010年から2018年までに記録された20億件の落雷を分析しました。
センサーを繋いだネットワークは、雷からの電磁放射を待ち、80局以上のうち少なくとも5つの局を使い、いつどこに落雷が衝突したかを見つける仕組みです。
スーパーボルトは予想外の場所に落ちていた
研究者たちはこの分析のために、平均的な落雷の1,000倍のエネルギーを持つ雷だけを抽出し、誤っている可能性が高いデータを慎重に取り除きました。そこで通常の雷と比較すると、スーパーボルトは予想外のパターンをいくつか示したのでした。
これまでの知見では、雷は水上よりも10倍ほど陸上に落ちる可能性が高く、また通常は熱帯および亜熱帯のアメリカ大陸とアフリカ、および東南アジア諸島にある「3つの煙突」に集中することが知られていました。しかしながら、「ジャーナル・オブ・ジオグラフィック・リサーチ:アトモスフィアー」の掲載文では、それらの地域にはあまりスーパーボルトは落ちていない、とあります。
その代わり、スーパーボルトは主に北大西洋東部、地中海、アンデス山脈で発生し、日本とその周、そして大西洋とインド洋の赤道付近で活発に活動していた地域で発生していたのです。
さらなる研究が必要
研究者たちは、何らかの理由で海が落雷のエネルギーを高めている形跡を挙げました。その理由はわからないものの、更なるスーパーボルトの研究が役に立つかもしれない、と考えられます。
時として予想だにしなかった要因で発生し、変わった放射性の特性を見せる雷。どこでも発生する一方、ミステリアスかつ深く知らなければいけない現象のままでいます。そしてこれほど一般的なものが、今でも魅力的だというのはクールなことですよね。
Source: AGU100