2007年、サラと私が初めて一軒家に住み始めたとき、電気代を見てびっくりしてしまいました。

以前住んでいた小さなアパートに比べて、あまりにも高かったからです。アパート時代は月80ドル程度だったのが、新しい家では300ドルもかかっていました。

私はただちに電気代のカットに取り組み始めました。窓の隙間を埋め、プログラムできるサーモスタットをつけて、家に誰もいなくなる日中には冷暖房がオフになるように設定しました。

また、家中の電球をLEDに交換しました。このほかにもありとあらゆる節約術を試していきました。そして何年か経ったころ、ここ極寒のアイオア州で電気代をふと見やると...なんということでしょう! 125ドルしかかかっていませんでした。

最近の電気代はだいたいこのくらいに抑えられています。記録を調べると、年間の電気代は、入居当時の50%近くにまで減っていました。小さな積み重ねを何年も続けた結果が、月100ドルの節約につながったのです。

節約と倹約の違いとは?

私の眼から見れば、節約して月100ドル浮かすことは、手取りの収入を月100ドル増やすのと同じことです。どこの家庭でもそうだと思いますが、使えるお金が月100ドルも増えれば、家計は大助かりです。この100ドルはいったいどこから来たのでしょうか?倹約です。

私たちは生活を見直し、さほど重要でないことにはお金を使わないようにしました(無駄な冷暖房をカットするなど)。そして、その努力の報酬を受け取ったというわけです。

ポイントは、倹約生活とはあなたが思っているのとは少し違うということです。多くの人は、倹約について、生活を大きく変えなければならない、嫌なことを我慢しなければならない、その割にたいしたお金を節約できない、といったイメージを抱いているようです。

たしかにそんなことは誰だってやりたくありません。こうしたイメージは完全に間違っています。

本当は家計を改善する強力なツールなのに、「倹約」という言葉を聞くと、多くの人が以下のような5つの恐れを勝手に抱いてしまいます。

恐れ #1:好きなことをすべて諦めなくてはならない

私は自分のことを倹約家だと思っています。とはいえ、どっぷりはまっている趣味をいくつか持っていて、かなりのお金をそうした趣味に注いでいるのも事実です。

もし倹約が、こうした趣味をすべて諦めることを意味するなら、倹約家になりたいなどとは思いません。心から大切にしている趣味まで放棄するのだとしたら、そんな人は倹約家とは到底呼べません。ただのけちん坊です。倹約とは、お金の価値を最大限に引き出すことです。

倹約は、自己を軽視することでもなければ、人生に本当の価値をもたらしてくれるものを放棄することでもありません。倹約とは、自分にとってさほど重要でないものを削ることです。

あるいは、自分にとって重要なことをするための、より安価な方法を探ることなのです。多くの人が倹約に悪いイメージを持っているのは、人から悪い話ばかりを聞いているからです。

たとえば、節約のために朝のカフェラテをやめた、なんて話を聞くと、ああ、倹約とは楽しんでいることを我慢することなんだと、がっかりしてしまうのです。朝のカフェラテが毎日を幸せにしてくれているのに、それをやめなくちゃいけないなんて...。

ポイントは、自分を幸せにしてくれるものをカットしてはいけないということです。とはいえ、何が自分を本当に幸せにするのかについては、よく考えてみる必要があるでしょう。

人が倹約を恐れるもう1つの要因は、何を節約するかと考えた時に、自分にとって大切なものを思い浮かべやすいということがあります。

一番大切にしていることが浮かんで、それをカットするのはどれだけつらいだろうと想像してしまうのです。倹約と聞いて、サーモスタットの設置や、車のタイヤに空気を入れることを思い浮かべる人はめったにいません。

そのかわり、日々の生活の中で楽しんでいること、喜びをもたらしてくれるものを思い浮かべ、そうしたものをやめた生活はどれだけつまらないだろうと勝手に惨めな気分になるのです。

もう一度言いますが、人生に喜びをもたらしてくれるものをカットすべきではありません。

恐れ #2:倹約はすごく大変

多くの人が、倹約と聞くと、ジップロックの中で手を洗うだとか、新聞についてくるクーポン券をちまちまと切り出す、なんてことを想像します。

つまり、正しいかもしれないが、すごく大変なことというイメージです。私だて、そんなことに何時間も費やしたくはありません。もっとも優れた倹約術とは、少しも大変さを感じさせないものです。驚くなかれ、そうした方法はいくらでもあります。

私がよくやるのは、食事をまとめて調理して、冷凍保存することです。たとえば、スロークッカーでメキシコ料理をつくるとします。そのとき、4回分の材料をまとめて買うと安上がりです。4回分を一気に調理して、余った3回分は容器に入れて冷凍しておきます。

料理を手早く済ませたいときに、冷凍してあったものをスロークッカーにかければ、ちゃんとした手料理があっという間に出来上がります。まとめ買いや冷凍保存に少しばかり手間がかかりますが、毎回イチから料理することを考えると、トータルではかなり時間も節約できているはずです。

こうした例はいくらでも挙げられます。電球を換えるときは、エネルギー効率がよくて寿命の長い電球を選んでください。食料を買い出しにいくときは、保存食を作る計画を立て、きちんと買い物リストを用意してから出かけましょう。

そうすれば、スーパーをうろついたあげくに不必要なものを買ってしまうこともなくなり、時間(とお金)を無駄にせずに済みます。

すきま風が吹くドアの下に目詰めをすれば、わずか15分の労働で、その後の電気代を永遠に節約できます。

もちろんなかには、ばかみたいに時間を食う倹約術もありますが、はっきり言って、そうしたものはダメなやり方です。最高の倹約術とは、器具を入れ替えたり、何らかの作業を1回するだけで、その後ずっと節約効果が続くようなものです。

恐れ #3:どうせたいした節約にならない

私は、ホウ砂、洗濯ソーダ、削った石鹸から、洗剤を自作しています。

石鹸を削ったり、ホウ砂と洗濯ソーダと混ぜあわせる作業は、いつもテレビを見ながらやっています。石鹸を削るのに5分ほど、材料を混ぜあわせてランドリーに持っていくのに1分ほどしかかかりません。

これで、洗濯1回あたり0.2ドルの節約になり、一度の作業で50回分の洗剤をつくることができます。多くの人が0.2ドルというところにひっかかります。

たった20セント? そんなの無意味だ! だったら普通に洗剤買うよ。ポイントは、一度洗剤を作ってしまえば、洗濯するたびに0.2ドルが自動的に節約できるところです。

洗濯50回で10ドルの節約になります。たった6分の作業が10ドルを生み出したことになるんです。

しかも、テレビを見ながら楽々こなした作業が、です。石鹸を自分で削る代わりに石鹸フレークを買ってくれば、材料を混ぜてランドリーに運ぶだけで済みます。

この間わずか1分。それでも6〜7ドルの節約にはなります。台所で1分間、混ぜ混ぜするだけで6ドルもらえるなら、やらない手はないですよね。

なかには、労力の割にたいした節約にならない倹約術もあります。しかし、楽にたくさんのお金を節約できる方法だってたくさんあるんです。

とくに、毎日使うもの、繰り返し使うものが狙い目です。エネルギー効率を改善すれば、その成果は毎月の請求書に着実に反映されます。50回分の洗剤をつくるのもそうした倹約術の1つです。

恐れ #4:変な人に見られたくない!

「倹約」と聞くと、リアリティ番組でやっていた極端な人の例をすぐに思い浮かべてしまいます。

『Extreme Cheapskates』(極端な節約生活をしている人を紹介していたテレビ番組)なんかがまんまズバリです。極端な方法で倹約している人ばかりが出てきます。

もう一度言いますが、こうした事例は倹約とは言いません。彼らはケチなだけであり、ケチと倹約はまったく別物です。倹約とはお金の価値を最大限に引き出すことです。

とにかく一番安いものばかりを買うことではありません。友人たちを遠ざけ、ケチの神様とばかり仲良くすることでもありません。他人への最低限の礼儀や、健康への最低限の配慮を無視することでもないのです。

他人の目が気になったり、社会的に問題が生じるような倹約は、やるべきではありません。どうして他人の目が気になるのかは考えてみる価値はありますが、またそれは別の話です。

お金を節約するために、自分を傷つけたり、社会的な問題を抱える必要などありません。それは倹約でもなければ、健全な行為でもありません。

恐れ #5:ストアブランドは品質が悪い

多くの人が、ナショナルブランドの商品(いわゆるメーカー商品)のほうが、ストアブランドの商品(小売業者が独自に作ったブランド)のものよりも品質が良いと思い込んでいます。

この2つの商品が並んでいたら、よく知っているブランド(たくさんCMをやってる)に目が行き、聞いたこともないストアブランドよりも質がいいに違いないと決めつけてしまいます。こうして、ストアブランドは品質が良くないという思い込みがつくられます。

事実は違います。結構な割合で、ストアブランド商品の中身はナショナルブランド商品とまったく同じなのです。まったく同じでなくとも、機能的には同じであることがほとんどです。ときどき違いがわかることもありますが、たいていは区別がつきません。

たとえば、うちの子どもたちは「ゴールデングラハム」(米国で有名なシリアルメーカー)のストアブランド版を食べて、すっかり気に入ってしまいました。このストアブランドのシリアルの箱には、「ゴールデングラハム」とほぼ同じ原料成分が書かれています。

少なくとも最初の10数個の原料はまったく同じで、私自身、食べても違いがまったくわかりません。すぐにわかる違いが1つだけあります。ストアブランドの箱は、ゴールデングラハムの箱よりも大きいのに、ストアブランドのほうが1.5ドル安いということです。

ですので、偏見にとらわれずストアブランドを試してみてください。公平なチャンスを与えてください。きっと自分のニーズに完璧に合っていることがわかるでしょう。

最大の怖れは、変わることへの恐れ

倹約に対してあなたが感じる恐れの多くは事実無根なのです。そうした恐れは、リアリティ番組や、大手メーカーのマーケティングの影響か、大事なものを手放さなければならないという思い込みから来ています。でも、なぜ恐れを感じるのでしょうか?

私たちが人間、すなわち習慣の生き物だからです。人は変化を恐れます。人は習慣を変えない理由ばかりに注目し、習慣を変える理由を無視する傾向があるのです。

恐れに支配されないでください。一度に1つづつ、着実に変化を起こしてください。デメリットよりも明らかにメリットが大きい賢い倹約術を見つけ、それを習慣にしてください。

そうすれば、いずれその効果が現れて、毎月のやりくりが楽になったことを実感するときが来るはずです。幸運を祈ります!

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Image: Lifehacker US

Source: The Simple Dollar

Trent Hamm - Lifehacker US[原文