10月1日から、政府主導による「キャッシュレス決済5%ポイント還元策」が実施されます。

政府は中小店を対象にキャッシュレス決済をした人に5%のポイント還元(大手チェーン店は2%)を行う予定です。目前に迫った、ポイント還元の動向などを紹介します。

中小の小売店はキャッシュレスに消極的?

渋谷駅前の人混み
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そもそも、ポイント還元を受けようと思うのなら現金で支払っていては×。クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス決済を利用することが必須。その上で、自分が利用しているお店がポイント還元の対象となっているのかどうかなど、確認することが大切です。

5%のポイント還元が対象となるお店は、資本金5000万円以下、従業員50人以下の企業。しかし、残念ながらこの条件を満たす店舗の参加がまだ少ないのが実情です。

中小の小売店は、全国で200万店あるといわれます。その中でこのキャンペーンに手を挙げているのが、9月5日時点で約58万店と10月のスタート時は全体の3割ほどになる見込みです。

※参照: キャッシュレス・消費者還元事業 事務局審査を通過した加盟店一覧(PDF)

都内の商店街などの中小店は辞退する店が多いといいます。辞退する理由は、商店の経営者にはお年寄りが多く、スマホの扱いが面倒だということ、カードの読み取り機の操作がよくわからないからなどの事情があるようです。

クレジットカードの上限は、月1万5000円まで

クレジットカードを使う
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とはいえ、ポイント還元の対象店舗は、身近にもあるはずなので、実際にどの程度得するのか見ていきましょう。

クレジットカードとデビットカードについては、月に上限1万5000円までの還元を受けられます。

この金額設定は、クレジットカードが高額な商品を買うツールだという共通認識から設定されたもの。この上限いっぱいの金額を受け取るには、カードを月に30万円使う必要があります。

しかし、食費や日用品の購入など日常的にクレジットカードを使っていれば、30万円の支払いはそれほど驚く額ではないはず。むしろ、妥当と言えるでしょう。

カード大手6社は、引き落とし額から割引

さらに、利便性を高めるために、カード大手6社(JCB、三井住友カード、ユーシーカード、クレディセゾン、イオンフィナンシャルサービス、三菱UFJニコスのMUFGカード)はポイントではなく、割引での還元という方針を示しています。

毎月の引き落とし日に利用金額から5%の還元額が値引きされます。

せっかくポイントを貯めても有効期限を過ぎて使わないケースも見受けられるだけに、確実に得ができる割引はよい方法ですね。

電子マネーのポイント還元対応は?

Apple Watchで決済
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一方、電子マネーについては、1回のチャージ金額の5%が上限となります。

Suicaは最大2万円ですから1000円nanaco、WAON、楽天Edyは最大5万円ですから2500円分がポイント還元の上限になります。

交通系電子マネーのポイント還元は、キャッシュレス推進の切り札になる?

交通系電子マネーのポイント還元は、キャッシュレス推進の切り札になる?

QRコード決済は、キャンペーンで還元率アップも

QRコード決済
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QRコード決済については、各事業者で決めるようになっており、現在わかっているキャンペーンについて紹介します。

PayPay

PayPayは、5%の政府の補助に加え、PayPayの用意する5%がたまり、合計10%還元になるのが強みです。

10月1日から11月31日まで、新キャンペーン「まちかどペイペイ 第1弾」として、「キャッシュレス・消費者還元事業」の5%還元対象店舗で、さらに5%を上乗せして合計最大10%を還元します。

還元事業(5%還元):

  • 1回あたりの付与上限は、2万5000円相当(決済金額50万円)
  • 1カ月あたりの付与合計上限は、2万5000円相当(決済金額50万円)

まちかどぺいぺい(5%還元):

  • 1回あたりの付与上限は、1000円相当(決済金額2万円)
  • 1カ月あたりの付与合計上限は、2万5000円相当(決済金額50万円)

※1回あたりの決済金額が2万円を超える場合は、還元事業の5%還元のみが適用される

PayPayで還元される金額の最高は2万6000円。ヤフーカード以外のクレジットカードでの支払いは特典対象外となります。

楽天ペイ(下部に追記あり)

楽天ペイは、中小店で利用すると政府の補助の5%ポイント還元(フランチャイズチェーンなどは2%還元)になります。

一回の上限は2万5000円で、月による上限がないのがメリットです。還元のタイミングは、利用月の翌々月末となります。

PayPayと違い、楽天側からの援助はありませんが、もともと楽天経済圏はネット利用で楽天スーパーポイントがどんどん貯まる仕組みがあります。

つまり、ネットでポイントを貯めて、リアル店舗で5%をプラスするという使い方が理想的!大口の買い物にも最適です。

d払い

d払いは、還元事業のキャンペーンはまだ発表されていません(今後新たなキャンペーンを打ち出す可能性あり)。

それとは別に9月14日から10月14日まで、通常もらえるdポイントに加え、決済金額の20%のdポイントを還元するキャンペーンを実施します。

対象は、全国のd払い加盟店(約10万箇所)と、d払いに対応しているネットショップです。

20%還元されるポイントの上限は1回あたりが1000ポイント、合計3000ポイントで12月16日にポイントを受け取ることができます。

このポイントは期間・用途限定となっており、有効期限は2020年2月16日。店舗やネットでの買い物に使うことができますが、携帯料金の支払いやデータ量の追加などには使用できないのでご注意を。

ポイント還元競争の勝者は、PayPayか楽天ペイか?

Paypay
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1回あたりの還元競争では、PayPayが2万6000円とトップ。

PayPayのポイント還元は、決済金額に制限があるので、どんなに使っても還元事業分の2万5000円とキャンペーン「まちかどペイペイ 第1弾」の1000円との合計2万6000円が上限額になります。

一方、楽天ペイは決済金額に上限金額はありませんが、1回あたりのポイント還元の上限が2万5000円なので、1000円分 PayPayに及びませんでした。

ただし、1カ月のうちに複数回、高額利用をすれば、楽天ペイがトップになる可能性があります。

ポイント還元で気をつけたいこと

洋服店
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増税タイミングが近づくにつれ、ポイント還元の攻防は騒がしくなっていますが、まだ幕を開けたばかり。

PayPayは、10%還元と一歩抜き出た形になっていますが、実はちょっとした改悪も発表されているので注意が必要です。

というのも、10月からの利用特典の変更が実施されます。

9月までは、PayPay残高またはヤフーカードで支払うと3%、ヤフーカード以外のクレジットカードで支払うと0.5%のPayPayボーナスポイントがついていました。

しかし、10月1日以降は、PayPay残高またはヤフーカードで支払うと1.5%のみ。ヤフーカード以外のクレジットカードは対象外となってしまいます。

つまり、PayPay残高にクレジットカードからチャージしてポイントで得したいなら、もうヤフーカードを使うしか、手段がなくなってしまったわけです。

また10月からは、楽天ペイがセブン‐イレブン全店舗で使えるようになるなど、まだまだ動きがあり、このようなキャンペーンは、今後続々と登場してくるはずです。

特に、QRコード決済は、利用する側も一度使い始めたらほったらかしにするのではなく、日々サービスの変更はないのかなど、細かくチェックする必要が求められています。


2019.9.24以下を追記

オリガミペイは、得意の即時割引きでアピール

「キャッシュレス・消費者還元事業」への対応がいよいよ大詰めに入ってきました。9月20日にはオリガミペイ(Origami Pay)が発表しました。同ペイはこれまで即時割引サービスを打ち出して人気を博してきましたが、今回もその方針は変わりません。「いつでもその場で3%OFF」キャンペーン(実施期間は2019年10月1日〜2020年1月31日)として継続します。

その内容は、「キャッシュレス・消費者還元事業」の対象店舗においては、オリガミペイの支払いで、政府の5%ポイント還元(フランチャイズチェーンでは2%ポイント還元)(最大還元2,000ポイント)を獲得できるだけでなく、3%即時割引(最大割引額3,000円)も受けられ、両方で、8%のポイント還元になるというもの。

PayPayの「消費者還元事業」対象店舗の10%ポイント還元には及びませんが、3%の即時割引があるので、ポイントを貯めるのが億劫で、すぐにお得を取りたい人にはおすすめです。

また、新規ユーザーを対象に50%OFFクーポン(上限500円)が抽選でもらえる「Origamiでキャッシュレスデビューを応援キャンペーン」も同時開催されます(キャンペーン期間は2019年10月1日〜2019年10月31日)。

オリガミペイは全国の地銀や信用金庫と組んで銀行系ペイの発行をサポートする戦略でQRコード決済の普及に努めています。その点では地方で広がりを見せる PayPayとの競争が激しくなるかもしれません。

楽天ペイはコンビニ使いがお得!

楽天ペイの対応については、若干状況が変わってきましたので、更新情報(2019.9.24現在)をお知らせします。

楽天ペイの「キャッシュレス・消費者還元事業」での上限は1回当たり2万5,000ポイント。つまり50万円を使えば、2万5,000ポイントの還元です。

しかも、月あたり上限なし。この「条件なし」という部分で注目を浴びました。月に何回でも加算できるから青天井と期待されています。

ただし、後から詳細を出してきたPayPayが「消費者還元事業5%」+「キャンペーン5%」=10%還元という高還元を打ち出したので、それに比べると全体の迫力に欠けると言う声もあり、見直しを迫られました。

その結果出てきたのが【「楽天ペイ」導入全店舗で5%還元となるキャンペーン】(第1弾 2019年10月1日〜2019年12月2日まで)です。

このキャンペーンが画期的なのは、他社はいずれも中小・小規模事業者だけを対象としているのに対して、その枠を取り払い大手を含めた楽天ペイ導入全店を対象としたところです(中小店での還元はエントリー不要ですが、楽天ペイ導入全店還元はエントリーが必要)。

これまで恩恵のなかった大手企業や一部チェーン店、百貨店でも5%還元になりますから見逃せません。

それ以上に魅力なのは、ローソン、セブン-イレブン、ファミリーマートといった大手コンビニでの利用で、コンビニで実施される2%のポイント即時充当に加えて、楽天ペイで「5%還元」がそのまま適用されることです。

つまり、コンビニ各社の2%即時充当が適用された価格に、「楽天ペイ(アプリ決済)」で支払えば「楽天ぺイ(アプリ決済)」利用に伴い5%還元を受けることが可能となります。

「楽天カード」が「楽天ペイ(アプリ決済)」に紐づいていたならば、「楽天カード」利用分の通常のボイント還元(1%)も、受けることができますから、還元率は、2%+5%+1%となり、合計8%のお得を取ることができます。これは高還元率といえるでしょう。

例えば、還元対象商品1000円(税込)をローソンで購入した場合

1000円の2%にあたる20円がローソンのポイント即時充当として適用され、980円支払い。

「楽天ペイ(アプリ決済)」で支払うと、980円の5%分にあたる49円相当の「楽天スーパーポイント」がもらえます。

「楽天カード」が支払元に設定されていれば、980円の1%分にあたり9円相当の「楽天スーパーポイント」も追加されます。

合計すると、現金で支払うよりも78円相当 (58円相当ポイント+20円分値引き) もお得(この場合7.8%分)!となります。

なぜこんなことができるかというと、ローソン、ファミリーマート、セブンイレブンが、「準B型決済事業者※」で登録されていて、国からフランチャイジーである(本部)に直接補助金が支払われるため、還元の対象外となるからです。

したがって、「楽天ペイ(アプリ決済)」全店舗5%還元キャンペーンでは、コンビニ大手は、楽天ペイ(アプリ決済)が5%還元を行う対象となるのです。

少々難解な仕組みですが、楽天ペイは、10月1日からセブンイレブンでも使えるようになるので、タイミングはドンピシャ。コンビニでは強さを発揮しそうです。


※準B型決済事業者とは?

キャッシュレス決済サービスの提供を主たる事業としていないものの、キャッシュレス加盟店支援事業者と連携し、ショッピングモール等の自社の関連商業施設等のテナント等とのみ加盟店契約を締結し、立替払い等を行う事業者であって、キャッシュレス・消費者還元事業に参加を希望する中小・小規模事業者の申請を受け付け、補助金事務局に登録を行う事業者を指します。

キャッシュレス・消費者還元事業 より


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Source: キャッシュレス・消費者還元事業

Reference: キャッシュレス・消費者還元事業 事務局審査を通過した加盟店一覧(PDF)