たぱぞうの米国株投資

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グローバル3倍3分法ファンドをどう考えるか

グローバル3倍3分法とは何か

 日興アセットマネジメントから、「グローバル3倍3分法ファンド」が発売され、好評です。3倍3分法ファンドでは、株式と債券、不動産の3つの資産に分散投資していくものです。先物を使うことで、レバレッジを効かせるので「3倍」という名前がついています。

 

 信託報酬は年率0.4752%(税抜0.44%)となっており、バランスファンドというくくりで見るならば良心的と言えそうです。しかし、販売手数料はそれなりに乗っており、購入時の基準価額に対し3.24%(税抜3%)以内、消費税率が10%になった場合は、3.3%となっています。これは、販売会社の裁量で決められる部分です。

グローバル3倍3分法ファンドの運用方針

 それでは、日興アセットマネジメントさんの資料を使いながら、どのような商品かみてみましょう。

3倍3分法のイメージ図

3倍3分法のイメージ図

 まず、特徴的なのは先進国の債券比率が非常に高いことです。半分以上を債券が占めるのは非常に珍しいと言って良いでしょう。ちなみに、海外先進国のベンチマークはMSCIコクサイを採用しています。

 

 レバレッジを効かせた、比較的アグレッシブなイメージのわりに値動きが激しくないのは、この資産バランスによります。

 

 面白いネーミングと、運用方針が話題を呼んでおり、運用総額がハイペースで増えています。世界的な債券高や、好調なリートの追い風もあり、アクティブファンドとしては、かなり目立つ存在になっています。

 

 追い風になったのは、数年前まで絶好調だった国内中小型株のアクティブファンドが軒並み苦戦しているというのもあるでしょう。直近の運用成績を見ると、グローバル3倍3分法のほうがよく見える、というのは無理からぬところです。

基準価額の推移と、運用総額の伸び

 順調な基準価額の推移につられるように、運用総額も非常に順調です。初心者さんが仕組みを理解するのは簡単ではない商品です。しかし、「なんだかよくわからないけども、分散されてて3倍の資金での運用ができる」というイメージで、売り手としては非常に訴求しやすいように思えます。

 

 たちまち1500億もの運用総額になっていますから、大ヒットと言って良いでしょう。

増え続ける運用総額

増え続ける運用総額

 世界的な株安だった2018年末でも、さほどの下げ幅になっていないのは、債券部分が大きいグローバル3倍3分法ファンドの特性をよく反映していると言って良いでしょう。

基準価額騰落の要因分析

 基準価額騰落の要因分析を見てみましょう。

騰落の要因分析

騰落の要因分析

 これをみると、2019年は債券が非常に買われている年であるということがわかります。世界的な量的緩和に伴い、株式、債券、金、といったすべてのアセットが値上がりする相場になっています。それを反映したものと言えます。

 

 逆に言うと、通貨はきれいに減価し続けているわけで、何らかのアセットを持っておくのは資産防衛上も非常に大事ですね。また、基本的には長期では株式が最もリターンが大きい、というのは知っておきたいところです。

 

 さて、さらりと基本的なところをおさえた上で、ご質問をご紹介します。

レバレッジをかけたグローバル3倍3分法ファンドに興味があります。

たぱぞう様

 はじめてご質問させて頂きます。まちぞーと申します。


 いつも大変勉強になる内容で楽しく読ませていただいております。

 

 私は20代後半でこれから毎月VTI, VTの積立を始めようかと考えているところです。最近は楽天VTや楽天VTIのような投資信託も良くできた商品でETFと遜色ない状況とのことでどちらにしようかと考えておりました。

 

 そこで投資信託を検討していたところ『グローバル3倍3分法』や『ウルトラバランス世界株式』のようなレバレッジをかけたバランスファンドに目が留まりました。

 

 債券部分やREIT, 金を組み込んだポートフォリオとなっているようで素人目にはレイダリオのオールシーズンズ戦略のように映ります。バックテストでもリーマンショックの時の下落を抑え、ここ10年は順調な利回りで来ているようで魅力的にも見えます。
シャープレシオ、利回りともに優秀なようです。

 

 『ウルトラバランス世界株式』は経費率等、今後実際に稼働してみないとわからない部分もあるかと思いますが『グローバル3倍3分法』については経費率も0.6~0.7%でレバレッジをかけた商品としては許容できる数字なのかと考えております。(『ウルトラバランス世界株式』はもう少し経費が高いようです。)

 

 ぜひ、上記投資信託に関するたぱぞう様のご意見を伺えればと考えております。どうぞよろしくお願い致します。

 

まちぞー

債券を手厚くしたい投資家には訴求力ある商品になる

 結論から言うと、債券を手厚くしたい投資家には訴求力ある商品であるということです。運用先の半分以上が債券になっていますから、当たり前と言えばそうです。

 

 債券ファンドというと、かつて人気を誇ったグローバルソブリンがあります。右肩下がりの毎月分配型ファンドで名を馳せましたが、グロソブでさえも基準価額が上昇していますから、今年はそういう相場だということです。

 

 20年、30年と運用していくならば、やはり株式ファンドのほうが良いでしょう。しかし、短期的な目線でリセッションが気になる、株安に備えたいということならば、説得力はあるかもしれませんね。

 

 私は基本的にペーパーのレバレッジ商品とというのは、短期のCFDを除いてあまりおススメしていません。しかし、世間の耳目を集めている商品ですから、今後の動向には注目してきたいと思っています。

 

 ご質問ありがとうございました。

 

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