ひとりの時間には、「こうしなくちゃいけない」から解放され、「いま、自分はどうしたいのか」を大切にできるもの。

それは本当の自分と仲よくなれるということであり、そんな時間を大切にすることが、自分らしい幸せな生き方へとつながっていくーー。

そう主張しているのは、『本当に必要なことはすべて「ひとりの時間」が教えてくれる』(横田真由子 著、クロスメディア・パブリッシング)の著者。

「上質なものを少しだけ持つ人生」=「ミニマムリッチライフ」を提唱する「ミニマムリッチコンサルタント」です。

とはいえ、忙しい日々のなかで、常にそのように過ごすことは決して簡単ではないはずです。

だからこそ、大切なのは、少しだけでいいので、時間の質を上げていくことです。 何気ない毎日の習慣を、少しだけ丁寧に行ってみる。

10分だけ、ただ自分を向き合うための時間をつくってみる。そうやってほっと一息ついて、本当の自分を解放する時間が、心にゆとりをもたらし、自分らしい生き方へと導いてくれます。(「はじめに」より)

そこで本書において著者は、「ひとりの時間」を中心として時間の質を上げ、毎日をより素敵なものにするためのヒントを提案しているのです。

キーワードは、「ミニマムリッチ」=「上質なものを少しだけ」

あれもこれも求めず、本当に大切なところにだけこだわるということで、それは時間の使い方のみならず、ファッション、インテリア、お金、仕事、人間関係、生活など、生き方のすべてにあてはまるものだといいます。

きょうはchapter 1「ゆとりを取り戻すための丁寧な時間の重ね方」に焦点を当ててみることにしましょう。

情報を集めるのをやめて、時間と自分を取り戻す

現代人の生活に、スマートフォンは不可欠。

「やるべきことがあるのに、スマホを手に取ったら気になることを検索しはじめてしまい、いつの間にか1時間も時間を浪費してしまって後悔した」というような経験は、誰にでもあるはずです。

しかし、スマホに頼らない生活をしてみれば、いろいろなことが変化することでしょう。

著者もあるとき、時間を食い荒らすスマホとの関係を見なおすことにしたのだそうです。

たとえばスポーツジムや、ぶらっと近所に散歩に出かける際には、あえてスマホを持って行かないのだとか。

なぜならスマホを見ない時間には、いろいろなアイデアが湧きやすいから。

また海外にいるときも、宿にスマホを置いて外出することがあるそう。でないと、五感がどんどん鈍くなっていくというのです。

日常生活のなかで疲弊した心をいきいきと蘇らせてくれるのは、新しいもので五感を満たすこと。そのため旅先ではスマホを見ず、五感を磨かなければもったいないという考え方です。

スマホから離れてみると、いつの間にか安易に検索する癖がついてしまっていたということに気づくかもしれません。

また、動画で見ただけの場所に行った気になったり、会ったこともない誰かのクチコミを信じてしまうこともあるでしょう。

しかし、空気感や匂い、実際に見たときの心の動きなどは、経験してみなければわかりません。

そこで大切なのは、あえて「便利さ」を遮断してみること。そうすれば、自分の嗜好や個性がよりはっきりと輪郭を表すわけです。

余計な情報を収集する時間を手放す環境を自らつくることによって、本当に大切な時間と自分軸が取り戻せるということです。(17ページより)

朝10分の優雅な時間で毎日が変わる

時短を実現するために、「ながら」は有効かもしれません。限られた時間のなかで2つのことをするのは、忙しいビジネスパーソンに必須のスキルなのですから。

それに「ながら」でなにかを行うと、得した気分になったりもします。

でも著者は、月曜日の朝だけは「ながら」を封印することにしているのだそうです。「ながら」を封印すれば、優雅な気持ちで一週間がスタートするから。

コーヒーメーカーのスイッチを押し、コーヒーが出来上がるまでに雑事をこなすというようなルーティンをやめてみるのもひとつの手段。

月曜だけは早起きし、コーヒー豆をガリガリと挽いてみる。そして香りを楽しみながらゆっくりお湯を注ぎ、コーヒーをていねいに淹れてみる。

そんなことをしてみればコーヒーの香りがダイレクトに届き、幸せな気分になれるというのです。

たしかに「月曜の朝は憂鬱」だという方も、朝10分早く起きてこうしたことをしてみれば、少しだけ優雅に1日をスタートできるかもしれません。

とはいえ、ときには「きょうは仕事に行きたくない」ということもあるでしょう。

そんな朝には、10分間の朝の瞑想をすれば、ネガティブなモヤモヤを沈めることができるといいます。

ポイントは「呼吸」です。ゆったりとリラックスして座り、目を閉じて呼吸だけに集中します。ストレスを抱えている時、人は呼吸が早くなっています。ゆっくりと10秒くらいかけて息を吐きます。

嫌なものは全部吐き出してしまいます。全部吐き出せば、また自然に吸うことができます。これを繰り返すだけです。(28ページより)

いうまでもなく、呼吸ができているということは生きているということ。

いいかえれば、瞑想によって、朝から生きていることのありがたさを感じることができるわけです。(26ページより)

アナログな時間が癒しをくれる

デジタルに疲れたときは、意識的にアナログな時間をつくってみることも重要

アナログな時間とは、自分の手を使ってていねいに作業をする時間だと著者は表現しています。

販売員時代に出会ったあるお客様は、いつも素敵な手巻き時計を愛用していました。 シルバーグレイの髪をアップにし、赤いリップと赤いマニキュアがトレードマークのマダムでした。

そのお客様は、「儀式のように同じ時間にネジを巻くのよ」と仰っていました。「面倒ではないですか?」と聞いたところ、「自分の時間は自分でコントロールするのよ」と笑って仰いました。(34ページより)

時計の秒針をじっと見ていると、時計が生きているようにも見えます。それを自分の手で動かす感覚は、能動的になれる貴重なものかもしれないということ。

著者も、そんな時計をゆっくりと巻いているお客様の姿を想像して、とても優雅で凛とした気持ちになれたと当時を振り返っています。

手巻きの時計は、忙しい毎日の仕事での使用には向かないかもしれません。

しかし腕時計の問題はさておいても、便利な時代だからこそ、あえて自分の手を使う「アナログな時間」をつくってみることが大切だという考え方です。(32ページより)


著者によれば、ひとりの時間を大切にしている人は、自分の癒し方や感性の磨き方を知っていて、ポテンシャルをキープしている人。

だからこそ、1日10分でいいからスマホをオフにして、ひとりでゆったりと過ごしてみようと提案しているわけです。

そうやって「ひとりの時間」のクオリティをあげると、上質で心豊かな毎日が手に入るのだといいます。

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Photo: 印南敦史

Source: クロスメディア・パブリッシング