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ウクライナ機、イランがミサイルで撃墜か 米当局分析

(更新)
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【ワシントン=中村亮、モスクワ=小川知世】ウクライナの旅客機がイランの首都テヘラン付近で墜落した事故に関し、米主要メディアは9日、イランがミサイルで撃墜した可能性が高いとの米政府の分析を一斉に報じた。イラン側はミサイルによる撃墜を否定しており、ウクライナ機の墜落事故が米イラン対立の新たな火種になる恐れが浮上してきた。

ロイター通信によると、米国の衛星システムがイランで2発のミサイルが発射されたのをとらえ、その直後にウクライナ機が墜落したという。複数の米メディアは、イランがミサイル防衛システムとして導入している地対空ミサイル(SAM)で誤って撃墜した可能性が高いと報じた。

墜落の数時間前にはイランがイラクの米軍駐留拠点を弾道ミサイルで空爆していた。イランが米軍による反撃に対して警戒を強めるなかでウクライナ機を米国のミサイルなどと誤認して撃墜した可能性も考えられる。

トランプ米大統領は9日、記者団に対し、ウクライナ機の墜落を巡り「誰かが過ちを起こすことはありえる」と語った。技術的トラブルが原因との指摘については「疑問を呈するには値しない」と否定した。

カナダのトルドー首相も同日、記者会見を開き「カナダの情報機関の調査でイランの地対空ミサイルが同旅客機を撃墜したとの報告を受けた」と明らかにした。

事故機はウクライナ国際航空が運航するボーイング737-800型。テヘランの空港からウクライナの首都キエフに向かって離陸した直後に墜落し、乗客と乗員合わせて176人が死亡した。当初エンジンからの出火を空港関係者が目撃したとの情報もあった。ウクライナ外務省によると、乗客の大半はイラン人とカナダ人だった。

ウクライナ政府の事故調査団は9日、現地入りした。同国メディアによると、ミサイルによる撃墜、エンジン不具合、無人機への衝突、テロの可能性について調べる方針。現場近くでロシア製ミサイルの破片が見つかったとする写真がインターネット上に出回っており、撃墜の可能性を排除せずに調査に当たる。自国民が犠牲になったカナダ政府も調査に加わる方針を示している。

一方、イランのタスニム通信によると、イラン航空当局者は9日、「ミサイルによる撃墜はあり得ない」と否定した。イラン当局は事故機から回収したブラックボックスをボーイングや米当局に引き渡すことを拒否しており、原因究明が難航する可能性がある。

緊迫 イラン情勢

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