Starlinkの打ち上げ成功で、SpaceXが最大の商業衛星オペレーターに

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 塚本直樹
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Starlinkの打ち上げ成功で、SpaceXが最大の商業衛星オペレーターに
Image: SpaceX via Gizmodo US

サクッと世界一。

SpaceX(スペースX)は新たに60機の新しいStarlink衛星を打ち上げたことで、世界最大の商業衛星の運用会社となりました。

今回の60機のStarlinkは、フロリダ州ケープ・カナベラルの空軍基地から米国時間1月6日に打ち上げられ、高度180km上空へと投入されました。これは、昨年5月11月に続く3回目の打ち上げの成功となります。その目的は、世界中に商業ブロードバンドインターネットを提供することです。

衛星は正常に動作することが確認されたのち、搭載されたイオンスラスタにて高度約550kmの軌道へと移動します。この展開の段階では、衛星は密集しており、地上からも確認できます。

一方で、打上から15分もたたないうちに、Falcon 9ロケットのブースターがドローン船「Of Course I Still Love You」に着陸しています。なお、回収船 「Ms.Tree」によるフェアリングの回収には失敗しているそうです。

これまでStarlinkは182機(プロトタイプ含む)が打ち上げられましたが、SpaceNewsによれば実際に稼働しているのは172機のようです。どうやら、約10機の衛星は最終的な運用軌道に到達しなかったんだとか。この件に関して、SpaceXは回答していません。

それはともかく、今回の打ち上げによってSpaceXはカリフォルニアのPlanet Labsの150機の地球観測衛星を上回る、世界最大の商業衛星オペレーターになったことになります。さらにSpaceXは、最終的には4万2000機の衛星コンステレーションの構築を計画しています。2020年末には、月2回のペースでまず1,440機を打ち上げる予定です。

一方で、天文学者からはStarlinkが天体観測に与える影響を苦慮しています。SpaceXは、この影響が一時的なものであり、衛星が目標の軌道に到達すれば「地上からはほとんど見えなくなる」と説明しており、今回の打ち上げでは1機の衛星に反射率を抑える「実験的な暗色塗装」が施されています。

また、スペースデブリの発生に関する懸念も存在します。Starlinkの衛星は約25年後に大気圏に落下するように設計されていますが、OneWeb(ワンウェブ)やTelsat、Amazon(アマゾン)などのライバル企業も同様に大規模な衛星コンステレーションを構築しようとしているため、地球低軌道はますます混みあうことになります。

宇宙インフラの整備と、安全性や科学研究への影響など、衛星コンステレーションにはさまざまな議論があります。SpaceXを含む民間企業、そして宇宙機関や科学者は、明確なルールを確立し説明責任を果たす必要がありそうです。