アイデアを選ぶときは最初のインスピレーションが大事…といった話をよく聞きますが、厳密にはそうとばかりは言えないようです。

スタンフォード大学経営大学院の研究者が発表した研究内容は、本人が直感的に1番良いと感じたアイデアよりも、2番目にランクづけしたアイデアのほうが、最終的な評価が高くなる傾向があることを示しています。

ブレストなどで挙がったあらゆるアイデアの中から、ベストなものを切り捨ててしまわないためのヒントをお伝えします。

1番良いと感じたアイデアは第三者の評価で2番目に

研究では、人は初期段階でのアイデアの選択があまり得意でないことが示されています。

研究の被験者は、まずある課題を与えられました。その課題に対して3つの解決策を挙げ、自分自身が良いと思うものをランクづけしたのです。

ちなみにMedicalXpressによれば、ここで与えられた課題は「革新的なフィットネス機器」や「自動運転車で眠らないようにするメカニズム」といったものだったそう。

参加者は挙げたアイデアのうち1つを掘り下げていき、その後第三者に評価してもらったところ、本人が2番目にランクづけしたアイデアがもっとも高評価となる傾向がありました。

ちなみに、本人のつけたランキングで1番になったアイデアは、第三者の評価では2番目となる傾向があったようです。

アイデアの具体性が評価に影響

なぜ上記のような結果になるのか調べたところ、第三者が1番良いと感じたアイデアは、2番目のもの(=本人の評価では1番だったもの)に比べて、より具体的だったことがわかりました。

具体的な材料の乏しいアイデアに対しては評価がしにくく、このため本人は最良のアイデアを見逃していた可能性があります。

実際、掘り下げる前の段階で第三者にアイデアを評価してもらったところ、本人のランクづけと一致する傾向があったようです。

ベストアイデアを見極めるには?

様々なアイデアを出す人々
Image: Shtonado/Shutterstock.com

では、ブレストなどの場で最良のアイデアを採用するにはどうしたらいいのでしょう? 研究者は、その方法をいくつか提示してくれています。

1. 時間をかけて具体化する

まず、シンプルに3つのアイデアのうち2番目のものを採用する方法です。

ただし、アイデアが無数に挙がったときは、最良のアイデアが何番目にくるかはわかりにくいです。研究者によれば、トップを除外した「ランキングの上半分のどこか」ということになります。

時間が許すのなら、1番目と2番目、どちらのアイデアも少し時間をかけて具体化してみると最良のアイデアを切り捨てるリスクを下げられるでしょう。

もし、アイデアを具体化する時間もなく、すぐに上司にプレゼンしなければならない状況なら、より具体的な形になっている可能性の高い1番目のアイデアを選ぶのがベターです。

2. 抽象的思考を取り入れる

また、研究者は初期段階で潜在的に優れたアイデアを見つけるためのシンプルな方法も提示してくれています。それは、抽象的思考を取り入れること。

研究の参加者に、挙がったアイデアに対して「これが良いアイデアなのはなぜですか?」と質問を投げかけたところ、初期段階から最良のアイデアを見定めることができたといいます。

全体の解釈レベルを抽象化することで、具体性にバラつきのあるアイデアでもより公正に評価できるというわけです。

もちろん、この方法で発掘したアイデアも第三者に伝える前にはちゃんと具体化するほうが、共感が得られやすいでしょう。

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Image: Brian A Jackson, Shtonado/Shutterstock.com

Source: Stanford Graduate School of Business, MedicalXpress