ザッカーバーグ、今度は「機会」を破壊しにくる

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ザッカーバーグ、今度は「機会」を破壊しにくる
Image: Frederic Legrand - COMEO/Shutterstock

壊して直すならともかく、放置するからタチが悪い。

先日、Facebook(フェイスブック)の魔王、マーク・ザッカーバーグは2020年の抱負リストを公開しました。去年の彼は、テック業界によって提起された様々な問題に関して公共の場で議論する(えぇ、彼はやりましたとも。痛々しいくらい)ことを目標としていました。

しかし、今年の彼の抱負は大きく異なり、非常に多様です。彼がこの先10年でもっとも重要だと思われる技術の進歩などを挙げ、Facebookが自分たちのためにそれらを搾取する計画を仄めかすものでした。

そのひとつが「新しいプライベートなソーシャル・プラットフォーム」というもので、おそらくMessenger(メッセンジャー)アプリの技術的バックエンドを、所有しているInstagram(インスタグラム)やWhatsApp(ワッツアップ)のそれと統合することです。これには、反トラスト法を掻い潜る目的もあるのではと思われます。

他にも「世代的変化」、「テクノロジーとの関係を革新するAR(拡張現実)グラス」、それに「新たな形のガバナンス」などがありました。最後のに関しては「コミュニティが独自に自分たちで運営する新たな方法を導入することで」というのが理想ですが、実際には政府からの介入によってでしょう。

で、リストの最後にはもっともあからさまな一言:「『機会』の分散化」。

すでに世界有数の企業であり、いくつかの国ではインターネットへのゲートウェイとして機能しているFacebookと、その子会社や不気味な仮想通貨Libra」。ザッカーバーグはこれらが世界の商業のエンジンとなる未来を描いているのです。それはFacebookにとってはいいかもしれませんが、途上国において「機会の分散化」をするという野心は、むしろFacebook傘下の元に「機会の中央集権化」を目指しているように感じます。

私たちが今もっとも力を入れているのは、中小企業へのサポートです。すべてのアプリを含めると、1億4千万件の中小企業が私たちのプラットフォームを利用しており、ほぼ無料で顧客とコミュニケーションしています。現在は、Facebook、Instagram、あるいはWhatsAppでアカウントをセットアップし、無料で顧客と対話したり、広告を購入してより幅広くメッセージを広めたりできます。これから先の10年、私たちはeコマースや支払いのツールを開発し、すべての中小企業が、以前は大企業しか持てなかった技術を提供したいと考えています。


たとえば、誰もがInstagramのストアフロントで商品を売り、Messengerでカスタマーサポートや対話を行ない、WhatsAppを使って低コストで外国に送金できたなら、世界中でもっとあらゆる機会を作ることができるでしょう。結局のところ、より多くの人が成功することこそ強固で安定した経済を作るのです。そしてそれを達成するベストな方法は、中小企業がテック企業になれるようにすることなのです。

この彼のビジョンが現実でどうなるか、その片鱗を私たちは既に見ています。Facebookの傘下であるWhatsAppは、ミャンマーで大量虐殺を助長し(しかも決定的な対策はせず)、インドスリランカフィリピンなどでも衝突を煽っています。厳密に言えば、Facebookは意図してこれらを行なっているわけではありませんが、結局彼らのやっていることは、ヅカヅカとやってきて勝手にインターネットの(責務を放棄した)管理人を名乗るようなものです。欲しい時だけ広告収入を集金し、社会の不安定を招いた時は都合よく不在なわけですから。

「分散化された『機会』」 ほしい?

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