米ネット&ケーブルTVプロバイダ、ホームセキュリティサービスをやめるってよ。補填もないってさ

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米ネット&ケーブルTVプロバイダ、ホームセキュリティサービスをやめるってよ。補填もないってさ

企業に自由を与えると、こうなる。

米国のインターネットとケーブルTVのプロバイダ、Spectrum(スペクトラム)はホームセキュリティサービスも行なっていたのですが、あと1ヶ月と経たずにサービスが終了します。問題は、場合によっては何百ドルも払ってユーザーが購入したセキュリティデバイスが、完全に無用の長物となってしまうことです。

もろもろのデバイスがガラクタになっちゃう

2月5日以降、Spectrumは同社のSpectrum Home Security用デバイスのサポートを終了します。デバイスにはカメラ、モーションセンサー、スマートサーモスタット、室内用タッチスクリーンなどが含まれますが、これらを他のサービスと接続することができなくなります。つまり、使えないガラクタになるということです。

デバイスには独自に機能するものもありますが、手持ちのモバイル端末からつなげなくなるということは、スマートデバイスとしての存在意義を失ってしまうわけです。

Spectrumからの補填は一切なし!

カリフォルニア州のローカルニュース局であるKSBYは、Spectrumの顧客の一人にインタビューしました。彼はCheviot Hillsの自宅におよそ900ドル(約9万9000円)を払ってカメラやセンサーを取り付けましたが、最悪なのはそれらが使い物にならなくなることではなく、Spectrumが一切補填しないことだと語りました。

彼は何度も同社に連絡し、デバイスに払った料金を電話代やケーブル代のクレジットとして使えないかと交渉しましたが、同社は一切拒否したそうです。

Spetrum社を保有しているのは、米国有数のテレコム企業であるCharter Communications(チャーター・コミュニケーションズ)で、Charterは2016年、Time Warner Cable(タイム・ワーナー・ケーブル)とBright House Networksとの合併の際にホームセキュリティ事業も買収しました。

Charterは合併の直後からホームセキュリティ商品のマーケティングを中止し、サービス自体の中止を長い間示唆してきました。いずれにせよ、Spectrumが顧客にサービスの中止を告知したのは先月でした。

Charterのスポークスパーソンが米Gizmodoに先日語ったところによると、同社は「スムーズな移行」を目指しており、影響を受ける顧客は少数だそうです。

ライバル会社からの特別割引を実施してご機嫌を伺う作戦

Spectrumは他のホームセキュリティ企業からの「特別割引」でユーザーの機嫌を取ろうとしているようで、Amazon(アマゾン)の所有するRing(リング)は無料アラームセキュリティキットをつけるそうです。しかし、Spectrumの顧客は340ドル(約3万7千円)で1年間のプロフェッショナルモニタリング(24時間サポート)を購入する必要があります。

Ringのキットに含まれるのはアラームのベースステーション、キーパッド、コンタクトセンサー3つ、モーションセンサー1つ、レンジ増幅器に、設置料は無料です。割引にセキュリティカメラは含まれませんが、百ドル以上(約1万1千円)のRingカメラや呼び鈴を購入すれば25パーセント割引されます。

他にもSpetrumは、Abode(アボード)を通じて年間179ドル(約1万9千円)の割引を提供しており、こちらはゲートウェイ×1、ドアか窓の小型開閉センサー×3、モーションセンサー×1、リモコン×1、キーパッド×1、ストリーミングカメラ×1、「Secured by Abode」のステッカー×1が付いてくるそうです。

割引を使うにしても、Spectrum Home Securityのユーザーは残り数週間で数百ドルをドブに捨てることになりますが、同サービスのユーザーはSpectrumのインターネットサービスも使い続けるほかないので、同社はユーザーを怒らせても問題ないと考えているようです。

大幅な税額控除やFCCによる規制撤廃で企業はやりたい放題

更に腹立たしいのは、トランプ政権下、2017年の第115回米議会において通過した大幅な税額控除のおかげで、Charterや他の大手インターネットプロバイダは収益が大幅にアップしていたのです。それだけでなく、アジット・パイが委員長を務める米連邦通信委員会(FCC)が様々な規制を撤廃したことで、企業はより好き放題できるようになっています。

2017年以降、前政権が作った消費者保護のための様々な規制を、FCCは撤廃してきました。同委員会は「最低限」の規制が新たな投資、雇用、そして消費者へのコストの軽減を産むと唱えてきましたが、大部分においてこの政策は失敗終わっています。

最大手プロバイダの一つであるAT&Tは、30億ドルの税控除を受けたあと、社員に千ドルのボーナスを支給したことでメディアから賞賛されましたが、その直後に大規模な解雇を行い、米国人の社員は、海外で雇われた彼らの代替社員に自分の仕事の引き継ぎ教育を行なわされています

米GizmodoはFCCにコメントを求めていますが、返答はありませんでした。