普段意識することは少なくても、確実に生活を支えているモノは多く存在します。

そのひとつが「ねじ」。回して締めるおなじみの仕組みですが、実は「緩まないねじ」が人類2000年の課題であったことをご存知でしょうか。

IBMが運営するWebメディアMugendai(無限大)にて、史上初の「緩まないねじ」を開発した日本人が紹介されていました。

人類史の悲願を「たった数秒」で思いついたひらめきとは。

「不可能だ」と言われ発奮。「緩まないねじ」開発のきっかけとなった出来事

ロングインタビューに登場していたのは、株式会社NejiLaw 代表取締役社長の道脇裕さん。あのG-SHOCKにも採用されているという、決して緩まないL/Rネジを開発された方です。

L/Rネジとは、ボルトに2種類のナットを結合し、それぞれの回転の種類によって互いにぶつかり合う、または引き合うことでねじがロックされる仕組みだそう。

人類初の「緩まないねじ」発明者は「小学校を5年で休学」。その独特な教育理論とは
Image: Mugendai(無限大)

道脇さんがL/Rネジを思いつくきっかけとなったのは、ある日のドライブ中、タイヤが外れてしまったという体験から。

道脇さんは驚くとともに、「ねじって本当に緩むんだ」と実感したそう。

そして後日、道脇さんはふと「緩まないねじの実現は不可能である」と耳にします。

その頃から、何でも自分で確かめなければ気がすまない性分の道脇さん。「不可能を証明するのは可能を証明するより難しい」と、その時のことを回想しています。

「(前略)不可能が証明されていないのであれば、不可能とは言えないだろう。では可能にする構造を考えて、反証しよう」と動き始めたのでした。

その数秒後、僕の脳はそれを可能とする原理と構造を考え出していました。ボルトの構造と同時にナットの構造を考え、緩まないネジの原型は、この時でき上がったのです。 

こうして誕生した「緩まないねじ」ことL/Rネジは、画期的な発明品として数々の賞を獲得。

道脇さんの元には、ベンチャーキャピタルなどから出資の申し出が複数届いたといいます。

人類初の「緩まないねじ」発明者は「小学校を5年で休学」。その独特な教育理論とは
Image: Mugendai(無限大)

L/Rネジの性能を示すエピソードとして、米国航空宇宙規格(NAS)にのっとった振動試験があります。

世界で最も厳しいとされるその試験では、17分間緩まなかったねじが合格とされているのですが、いつまで経っても一向に緩む気配がないL/Rネジ。

結局、3時間後に試験機のネジが緩んで壊れてしまったのだとか。

意味を見失い小学校休学。大学教授だった親の反応とは

何しろ型破りなエピソードを多く持つ道脇さん。そのひとつが、小学校を5年生で「自主休学する」というもの。

ご本人いわく、「1週間で全科目の1年分を理解してしまい、行く意味を見失ったから」だそうですが、大学教授と大手化学メーカーの研究所所長というご両親をお持ちの道脇さん。

自身の思いを、以下のように語り説得したといいます。

自分は、勉強が嫌いではない。むしろ好きな方だ。それでも今はそれをするときではない。他にもっとすることがある。だけれども自分はいつか必ず学問の道に戻ってくる。その日が来るまで見守っていて欲しい

確かに後年のご活躍を見れば納得できますが、「学校に行かない」という我が子の決断を認めるのは容易ではないですよね。

しかし道脇さんの性格をよく知るというご両親は、あくまでその意思を尊重。10年近く見守り続けてくれたのだそうです。

そうしたご自身とご両親の関係を通じ、能力の育て方や教育方法について、道脇さんは以下のように語っています。

個人の能力や興味対象は千差万別で、それに対する万能の処方箋は無いと思っています。あるとすれば、社会全体が愛情を持って子どもに接すること、見守ることが大切なのではないかと。親が子どもに、先生が生徒に、近所の人が子どもたちに接するとき、大切なのはやはり愛情です。それと教育内容や方法は、時代を読みながら時代に合わせて行く必要があると思っています。

他にも、教育の重要性や、「型破りな存在」について考えるきっかけとなるインタビューの続きは、Mugendai(無限大)よりお楽しみください。


Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)