EUの「公共の場での顔認識技術の一時禁止」について、マイクロソフトは納得いってない様子

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EUの「公共の場での顔認識技術の一時禁止」について、マイクロソフトは納得いってない様子
Photo: Shutterstock.com

何かといろんな方向で応用されている顔認証技術ですが、その公共の場での実装に関してヨーロッパ連合(以下EU)が一時禁止を提案。それに対して、Alphabet(Googleの持株会社)とマイクロソフトが、異なる見解を示し話題となりました。

EUの執行機関である欧州委員会が提案したその規制は、ロイターに共有された書類によると5年間の公共の場での顔認識技術の実装を一時禁止するというもの。これはその5年の間に各政府が不正利用に関しての規制を強めるというのが、主な狙いである様子。

ロイターの記事によれば、月曜日にベルギーのブリュッセルで開催されたシンクタンクのBrugel主催のカンファレンスにおいて、GoogleとAlphabetのCEOであるサンダー・ピチャイが「政府や規制当局が規制になるべく早く取りかかり、枠組みを用意するのが重要だと思う」と発言。

さらに「規制はすぐに実施されるかもしれないが、どうやって利用されるかをしっかり検討するまで、多少の待機期間が設けられるかもしれない」とし、公共の場で使われるものでも、医療機器や自動運転車などには別の規制が必要なのではないかと語ったとのこと。

一方、Microsoftの社長であるブラッド・スミスは同じロイターの記事によると、急にブレーキをかけることに対しての懸念を示しつつ、「肉切り包丁ではなく外科用メスで対処する」ために、合理的な代替案を用意すべきだと語ったのだとか。

さらに行方不明の子供の捜索をするNGOが顔認識技術を利用しているという例を挙げ、「家族を再会を手助けできるような技術の使用をやめさせようなんて、言いたくはない」と発言。

スミス社長はさまざまな産業がAIを取り入れていくなかで、さらなる規制が必要になるという点には同意し、(監視社会を生み出すような方向で)悪用される可能性に関してはより積極的なアプローチをすべきとしながら「最終的に技術を改善していく唯一の方法は、その技術を使っていくことしかない」と加えたとのこと。

現状、AIは個人事業から法執行機関にまで広く使われている関係で、その規制に関しては世界中が苦労をしているところ。アメリカは発展途上の技術に関して自由放任主義のアプローチをする一方で、EUは市民の権利とプライバシーを守ることを重要視しています。このあたり、日本政府はどうするつもりなのか気になるところですよね。

顔認証技術といえばSFで描かれたようなすごいテクノロジーで便利になるのは確実だと思いますが、それがきっかけで暗黒の未来へと爆走していくのはもちろん、映画『マイノリティー・リポート』で描かれたうざい広告みたいに迷惑を被るのはとりあえず避けたいので、なんとかいい 塩梅の落としどころを見つけてほしいところですね!