外科医のようにマスクをすることで、空気感染の危険性を少し軽減することはできますが、本当に自分の身を守るのに効果があるのでしょうか?
答えは何とも言えません。その理由をご説明しましょう。
マスクはウィルスを完全にブロックできない
息を吸う時、マスクは外気をフィルターにかけ、特定の大きさの粒子は通過させません。これが、例えばすすや煙が大量に発生している時に、N95マスク(米国労働安全衛生研究所のN95規格をクリアし認可された微粒子用マスク)をピッチリと装着する理由です。
新型コロナウィルスに感染した疑いのある患者の治療にあたる病院の職員も、患者と接する際にN95マスクの装着を推奨されています。
しかし、路上でマスクを装着している人を見かける時は、いわゆる普通のマスクをしています。普通のマスクは細かな粒子をブロックするようにできておらず、すすなどの粒子よりも細かいウィルスはブロックしません。
このようなマスクは、人間の体液の飛沫からはある程度身を守ることはできます。(くしゃみや咳をした時に出る飛沫を想定)
ただし、別の問題もあります。普通のマスクは隙間なく装着はできません。したがって、マスクと肌の間を空気は簡単に通り抜けられ、フィルタリングされていない空気をいくらか吸うことになるのです。
米疾病センターには、いわゆる普通の(外科手術用)マスクと保護系のマスクの違いをわかりやすくまとめた比較表があります。要点としては、他人のウィルスから身を守るには、どちらのマスクもおすすめできないということです。
旅行中の場合は、頻繁に手を洗う、中国への不要な渡航は避けるなど他の方法をすすめています。
マスクよりもまずは手洗いの徹底を
BUSINESS INSIDER JAPANでも、マスクは感染予防というよりも、エチケットの側面が強いと説明しています。
日本では、対策としてまずマスクをつけることが推奨される場合が多い。
マスクによって鼻や口元を触りにくくなったり、くしゃみなどをしたときに飛沫が飛び散ることを防いだりできることは確かだが、マスクはエチケットとしての側面が強い。
(「BUSINESS INSIDER JAPAN」より引用)
まずは、日常生活の中で手に付着したウイルスを体内に取り込まないよう、「石鹸などを使った手洗いの徹底が第一の対策」としています。
※本項目を編集部として追記しました。
マスクは自分のウィルスを撒き散らさないためのもの
実は普通のマスクの正しい用途は、他人のウィルスから身を守ることではなく、自分のウィルスから他人を守ることなのです。
あなたがくしゃみや咳をすると、唾液などの飛沫が自分のマスクの内側に付きます。気持ち悪くなったら、マスクを変えたり、きれいにしたりするでしょう。
こうすることで、あなたの身の回りの人にウィルスを含む可能性のある飛沫を撒き散らす量が減ります。
だから、外科医は手術中にマスクを装着しているのです(比較的健康な人でも、自分の傷口に息を吐きかけられたくはないでしょう)。
また、風邪を引いたり、インフルエンザの症状があったりして病院に行く時は、待合室でマスクをするように求められるのも、こうした理由からです。
マスクは着用したければしてもいい
個人的には、外を出歩く時にマスクをしたくはありません。アメリカではマスクをして出歩いている人はあまり見かけないので、マスクをして怪しい人間だと思われたくないからです。
しかしアジアでは、2003年のSARSの流行をきっかけに一般的になり、マスクは社会的にかなり受け入れられています。
他人のウィルスから身を守りたいのかもしれませんし、風邪を引いていて他人に移したくないのかもしれません。マスクが一般的なものになっていることで、空気感染するウィルスの伝染が少し減っているとしても驚きません。
マスクではウィルスを防ぐことはできないかもしれませんが、害のあるものではありませんし、マスクをすることで少しでも安心できるなら、してもいいと思います。
※本記事は、米Lifehackerの記事をもとに日本国内の事情を追記したものです。
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Photo: Daniel Leal-Olivas / AFP (Getty Images)
Source: Centers for Disease Control and Prevention(1, 2), BUSINESS INSIDER JAPAN
Beth Skwarecki - Lifehacker US[原文]