さまざまな分野に広がるサブスプリクション。最近では、定額制の住居サービスまで登場して話題となっています。その先駆けであり代表格でもあるのが、『HafH(ハフ)』。

『HafH』は住居や旅先での宿泊場所として利用するだけでなく、働く場所としての側面も打ち出しており、世界中を旅しながら働くという新しい働き方を提案しています。そして、『HafH』を起ち上げた大瀬良亮さんも、場所に縛られない働き方を実践する一人。

そんな世界中を飛び回る大瀬良さんに、『HafH』が目指す世界観や世界を旅するように働く秘訣、よく利用するLCC・ジェットスターの活用法などをお伺いしました。

「暮らす・働く・旅をする」の拠点となる『HafH』は世界を旅するように働ける仕組み

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大瀬良亮
株式会社KabuK Style Co-CEO 1983年、長崎県生まれ。2007年に筑波大学を卒業後、電通入社。在京若手県人会「しんかめ」を主宰、原爆の実相を伝える「Nagasaki Archive」発起人として、文化庁メディア芸術祭に出展等。2015年から2018年まで内閣官房 内閣広報室に出向。2018年4月、つくば市まちづくりアドバイザーに就任。2018年11月、「世界を旅して働く。HafH」リリース。2019年9月、電通退社。
Photo: Kenya Chiba

大瀬良さんは大手広告代理店の電通出身。政府への出向経験があり、外遊に同行することも度々あったそうです。

地球を15周以上移動したと思います。例えば、ヨーロッパへの外遊では、朝、ドイツに到着して昼にはベルギー、夜にはフランスにいるなんてこともザラ。インターネット環境さえあれば、どの国にいても同じように仕事ができると自信をつけたのは、このときの経験からです」と大瀬良さん。

さまざまな国を訪れて、新興国がイノベーションにチャレンジしたり、面白いアイデアを実践したりする姿に触れ、「このままでは日本はヤバイのではないか」とも感じたのだとか。

「海外を旅すると、新しい考え方や文化に触れることができます。自分が持っていないものに気づかされて新しいひらめきが生まれたり、行動のモチベーションが湧いてきたりする。そして、それはビジネスチャンスにも繋がります。旅は自分を成長させるうえで重要なメソッドだと気づき、出向が終わった後も、できるだけ、自分で旅先を見つけながら、その場所で仕事をするスタイルを取っていました」

その想いが高じて、世界を旅するように働ける仕組みとして起ち上げたのが、「暮らす・働く・旅をする」拠点となる『HafH』だったそうです。大瀬良さんは、「多様な価値観を、多様なまま許容する社会のインフラを創造するのが私たちのミッション。まずは住居から始めましたが、いずれは移動や食、そして仕事も含めて、今ある常識に囚われない、これからの時代の新しい選択肢をつくっていきたいと考えています」と語ります。

『HafH』の本社が長崎にある理由とは? 現代の「出島」を生み出したい

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Photo: Kenya Chiba

「多様な価値観を、多様なまま許容する社会のインフラを創造する」をミッションに掲げる『HafH』。だからこそ、一極集中が進む東京に本社を構えるのは、なにか違うのではないか。そこで大瀬良さんが選んだのは、生まれ故郷である長崎市でした。

「江戸時代、長崎には出島という外国人居留区がありました。長崎の独自文化は、出島に訪れる外国人、京都や江戸の人々が、地元と交流することで育っていったのです。私たちも、長崎に『HafH』をつくることで、現代の出島を甦らせ、地方活性化の一助になりたいと思っています。そして、その仕組みを、長崎だけに留まらず、世界中の『HafH』で展開していきたい」

ただ、東京から見ると、長崎は西の果て。「移動に対する心理的ハードルも大きい」と言います。そんなとき大瀬良さんは、必ず格安航空会社であるLCC(ローコストキャリア)の話をするそうです。

「長崎にはLCCのひとつである『ジェットスター』が就航していますが、運賃は東京-大阪間の新幹線よりも安い場合もあり、時間も東京-大阪間とそう変わりません。その話をすると、驚く人が多いですね。長崎に限らず、日本中・世界中の『HafH』を活用するためには、必ず移動が必要になります。そういった意味で、『HafH』にとってLCCは欠かせない交通インフラです。LCCは移動の自由度を上げました。私たちは居住の自由度を上げている。親和性が高いと思います」と大瀬良さん。

実際、『HafH』は戦略的にLCCが就航している地域のカバレッジ(網羅率)を高めているそうです。

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Image: ジェットスター

そういった意味で、国内24路線、海外13路線と、国内LCC最大級のネットワーク(※1)を持つジェットスターの存在は、大瀬良さんにとっても大きいもの。特に、『HafH』が多く存在する九州沖縄地方はほぼ全域をカバーしています。

「ジェットスターはLCCという言葉が一般的になる前から日本に進出していた老舗で安心感があります。当初は海外、特にオーストラリア線がメインだったイメージでしたが、ここ1〜2年で国内の就航地が増えた印象です。

『HafH』は47都道府県に拠点があるのですが、長崎に本社があることから特に九州に多い。ジェットスターは九州路線も充実しています。宮崎など陸路では行きにくい場所に、一気に飛べるのはありがたいですね」とジェットスターの印象を語ります。

※1 東京(成田)から国内14路線を運航しており、国内LCC最多。

LCCでは必ず座席指定。お金を払ってでも「1F」の席を予約する理由とは?

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Photo: Kenya Chiba

自らもジェットスターを愛用し、旅をしながらさまざまな土地で仕事をこなす大瀬良さん。ジェットスターが飛び立つ成田空港への移動から、大瀬良流の旅の流儀があるそうです。

「LCCが離着陸する成田空港は遠くてイヤだ、という人がいますが、私は成田空港が大好き。私の場合、成田エクスプレスを使えば、乗り換えなしで到着するのでストレスもありません。LCCは運賃が安い場合が多いので、その分、成田エクスプレスではグリーン席を使います。といっても、新幹線ほど高くなくておトク。電源もあるし、ゆっくりと仕事ができます。ときには、外国人の方と話し込むこともあり、それも楽しい」

座席のこだわりは飛行機でも。必ず予約するのは、最前列にあたる「1F」の席なのだとか。

「最前列のいいところは、足が伸ばせること。LCCは窮屈という印象があるかもしれませんが、最前列なら関係ありません。また、私は外を見るのが好きなので窓側であるF列を選びますが、最前列ならトイレに立つときも座席の間を抜けなくてよいので、隣の人に気を使う必要がない。それに、F列は非常口側ではないので、座席の下に荷物も置ける場合が多いです」と大瀬良さん。かなり旅慣れた人のテクニックです。

最前列は追加料金が必要ですが、LCCはもともとの運賃が安い場合が多いので、気になりません。LCCは格安だからとにかく安く乗りたい、と思う人が多いみたいで、1Fは意外に空いていることが多い。むしろ、安いからこそアップグレードしたほうがいいと思いますけどね」

さらに、最前列なら最後に搭乗して、最初に降りることができて、時間も無駄にならずにいいのだとか。旅慣れているので、二泊三日くらいなら荷物も機内持ち込みにまとめて、着陸したらすぐに街に出られるそうです。

「荷物はかなりオーガナイズされていて、洋服は日別に圧縮袋に収納。そのまま取り出して着られるようにしています。旅用のトイレタリーも一つの袋にまとめていて、その袋を持っていくだけで良い。あとは、機内持ち込み重量をオーバーしないように、携帯用計量器を持っています」

到着したら、海外ならすぐに現地のSIMカードを入手して通信手段を確保、次にUberやGrabなどで移動手段を確保する大瀬良さん。Instagramで美味しいモノを探したり、事前に調べてGoogleMapにチェックを入れておいた場所を訪れたりするそうです。

通信手段と交通手段の二つを抑えれば、どこでも仕事ができます。とはいえ、すでに自分のなかでは、仕事とプライベートの垣根はなくて、昼は仕事をして夜は街歩き、そしてHafHに泊まるといった感じです。今は、出張と観光を組み合わせたブレジャー(Business+Leisure)や仕事と休暇を組み合わせたワーケーション(Work+Vacation)という考えも生まれており、今後広がるのではないでしょうか。『HafH』の利用者にも、仕事で宮崎を訪れたついでに、長崎に足を伸ばして観光するという人がいました」

大瀬良さんの旅をより快適でおトクに手助けする「Club Jetstar」

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Image: Club Jetstar

取材日の前日は韓国に、取材後のあとも海外に赴くという大瀬良さん。とにかく、移動が多いので、ジェットスターをよりおトクに使うため「Club Jetstar」(年会費3,980円)の会員になっているそうです。

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Image: Club Jetstar

Club Jetstar」には、①会員特別価格②セールの先行予約・購入(※2)、③手荷物追加料金と座席指定料金の20%OFF④最大5名まで特典を利用可能⑤ホテル5%OFF、レンタカー最大10%OFFなどのパートナー特典といった5つの特典があります。なかでも大瀬良さんが重宝しているのは、会員特別価格と手荷物追加料金(+7kgまで追加可能)&座席指定料金の20%OFF。

「特に、座席指定料金の20%OFFは嬉しい。常に1Fを予約していますからね(笑)。手荷物は規定重量内に収まるようにしているので追加料金はあまり発生しませんが、同行者がオーバーしたときなども、私が会員なら特典が利用できるので助かります。今後狙っているのは、セールの利用。なかなかタイミングが合わず、まだ未経験なんです」

ジェットスターのセールでは、サンキューセールと銘打って国内全24路線を39円で売り出すなど、大胆なものもあります(※3)。『HafH』の利用者のなかには、セールで購入できた路線に合わせて、就航先にある『HafH』に宿泊する人もいるそうです。

また、『HafH』を利用するノマドワーカーの多くは、働く場所だけでなく時間の融通もきくので、価格が安い時期などを狙ってチケットを抑えることも多いのだとか。特別料金やセールを上手く活用すれば、推しのアーティストのコンサートを追っかけることなどもできそうです。

また、1名が会員になっていれば最大5名まで特典を利用できるのもポイント。家族や友人たちとの旅行、同僚との出張などでおトクに活用できます。

リーズナブルに航空券を手に入れて、オケージョンに合わせて必要なオプションを追加できるのがLCCの魅力といえますね。

※2 Club Jetstar先行予約は、セール運賃での購入を保証するものではありません。

※3 一部のセールのみ(不定期開催)

『HafH』×『ジェットスター』。住居と移動が自由になれば、夢が広がる

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Photo: Kenya Chiba

「都会と地方、人的交流が生まれれば、そこに仕事が発生する」と語る大瀬良さん。「『HafH』はただの宿泊施設ではありません。例えば、人手不足で悩んでいる地方の企業と『HafH』の利用者を結びつけることで、そこに仕事を生み出すこともできる」と続けます。実際、『HafH』利用者を募った農業体験ツアーで農作業の手伝いを行ったこともあるそうです。

「農家は人手不足の助けになるし、参加者は新しい気づきやひらめきのきっかけになり、それがビジネスチャンスに繋がるかもしれません。こういったツアーをジェットスターさんと組んでやれたら、いろいろと面白いことができそうです」

『HafH』の目的は、住居だけでなく、移動や食、そして仕事も含めて、今ある常識に囚われない、これからの時代の新しい選択肢をつくっていくこと。最後に大瀬良さんは「ジェットスターにはLCCの新たな可能性を広げてくれるのを期待しています」と笑って答えてくれました。


「HafH」は2020年1月現在、18の国と地域、139都市(国内97都市/海外42都市)、201拠点にある宿泊施設に、光熱費・ネット費用・敷金・礼金・保証金込みで、利用頻度に合わせて1カ月ごとの支払いで利用可能。


Source: ジェットスター , Club Jetstar

Reference: HafH

Image: ジェットスター , Club Jetstar

Photo: Kenya Chiba