ブクブクと気泡のバリアで川に漂うゴミの流出を防ぐ「グレート・バブル・バリア」

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  • author 岡本玄介
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ブクブクと気泡のバリアで川に漂うゴミの流出を防ぐ「グレート・バブル・バリア」
Image: THE GREAT BUBBLE BARRIER

単なる空気の泡に、こんな作用があったなんて。

オランダにて、川や海の汚染を心配する女性3人が起業し、ブクブクと気泡のバリアで川に漂うプラゴミの流出を防ぐ「グレート・バブル・バリア」というものを作りました。

これは川底に沈めたパイプが空気を発することで気泡の壁を作り、それがバリアとなって川に流れるゴミが流出するのを防ぐという技術です。ありふれた気泡なので魚にも船にも無害。シンプルだけど効果的な環境問題対処法なのです。

Video: The Great Bubble Barrier/YouTube

気泡の使い方

川を流れるゴミは気泡によってせき止めたり、ゴミを回収できるポイントまで流れを作って誘導することができます。それに川底を流れるゴミも、気泡と共に上昇されることで回収しやすくしなります。

この技術は、水上でオイル漏れがあったときに使われることもあるため、実は真新しいものではないのだそうです。ですがオイルではなく浮力のあるプラゴミに応用したのがミソ。今は200mのホースをアイセル川に沈めることに成功し、実験では86%以上の試験用ゴミを防ぎました。

1分ごとに収集車1台分のプラゴミが捨てられている

公式サイトによりますと、海に流されているプラゴミの80%は地上から来ており、1分ごとに収集車1台分年間で80億kgもの量になるとあります。プラゴミは水生生物などに絡みついて傷つけるほか、劣化してマイクロプラスチックになると魚を通じて人間の体内に取り込まれてしまいます。それを少しでも防ごうというのが、この「グレート・バブル・バリア」なのです。

他にもメリットいろいろ

「グレート・バブル・バリア」には、他にも水中の酸素量を増やすことで、生態系を刺激し、有毒な藻類の成長を止めることに役立つ、また気泡が音と波を吸収するので、船が通過するときに緩衝してくれるといった利点があるのだそうです。その他、設置が簡単で、既存のインフラをイジることもありません。

昔の川はもっと汚かった

大昔に筆者が住んでいた家の近くには、さまざまなゴミや家庭の洗濯機から出たであろう洗剤の泡などが流れてくる、とても汚い川がありました。近年では整備されて、水鳥や鯉が泳ぐまでキレイな川になりましたが…当時は子供の目から見てもヒドいものでした。

おそらく全国でもこうして川が綺麗になっているのでしょうけれども、やはりゴミを捨てる人は後を絶たないでしょうし、世界レベルでみればかなりの量のゴミが川を経由して海に流れているのでしょう。

この技術には、ホースの他に空気を送るポンプや電力も必要だろうと思います。決して高いハードルではないと思いますが、着実にそれらをクリアして、世界の川とその先にある海の環境保全に役立って欲しいと思います。

Source: THE GREAT BUBBLE BARRIER, YouTube via Fresh Gadgets