ニュートロジーナの無料スキンケアアプリレビュー：週イチで見ればいいのがGood

美容ヲタク用アプリ。

今年のCESでも、美容分野のさまざまな製品がお披露目されました。高価そうなガジェットが並ぶなかで、スキンケアブランドのNeutrogena（ニュートロジーナ）は、無料アプリのリニューアル版を発表。CESではスキンケアをする間もないほど取材に奔走していたVictoria Song記者によるレビューです。

スキンケアって試行錯誤の連続です。使われている成分を調べ、ユーチューバーの製品レビューを見て、そこで取り上げられていた製品を買うために銀行口座を空にして、ようやくその製品を試すに至る。そんなに労力を注いでも、この投資は効果があったのだろうか、それとも気のせいだろうかと、鏡に映る自分を見て首をかしげることも多々あります。

先日のCES 2020で私はNeutrogenaの方に会い、同社のアプリSkin360について取材しました。前回のCESでお披露目されたMaskIDはまだ日の目を見ていないこともあり、少し懐疑的な気持ちでミーティングに向かったんです。しかし、Skin360アプリを一週間試してみて、Neutrogenaはいい線行ってるなと思いました。

このアプリの背景にある考え方はとてもシンプル。アプリはユーザーが撮ったセルフィーを基に、肌を分析してシワ、小ジワ、クマ、滑らかさとシミの5つの要素において10点満点でのスコアを表示します。小ジワをなくすなど改善したいことをスキンケアのゴールを設定すれば、そのゴールに応じてさまざまなアドバイスをくれます。ゴール設定後には日々のスキンケアの頑張り具合をヒアリングされて、ユーザーに合わせたルーティンを提供されます。この過程はNAIAと言う名のチャットボットを通じて行われ、数日ごとにゴールやストレスレベル、運動頻度や睡眠の質について問われることも。毛穴を小さくする方法やエクスフォリエーションの解説といった、特定の話題についての記事を読むこともできますよ。

Skin360自体は新しいアプリではありません。数年前から出ていましたが、以前はスキャナーを別途購入しなくてはなりませんでした。その価格はたった50ドルですが、それで買うのを思いとどまる人もいたでしょう。どのみち、場所をさらに取るだろうスキンケア製品一式と追加のガジェットの分も払うことになりますからね。同アプリのリニューアルと共に、追加のハードウェアそのものをやめると決断。つまりスマートフォンさえあれば、このアプリを使えるようになったのです。

もうひとつNeutrogenaが利口だったのは、アプリが推奨するスキンケアルーティンにユーザーが持っている製品を入力できるようにしたこと。これまではNeutrogena製品のみに限られていました。資本主義ですから、当然っちゃ当然ですよね。Neutrogenaの担当者は、それは現実的ではなかったとも教えてくれました。

例えばアプリが、朝は洗顔と保湿、そして日焼け止めをするようにと提案するかもしれません。デフォルトの製品レコメンデーションは、ご推察のとおりNeutrogena製品です。とは言え、もう既にお気に入りの洗顔料があるとします。その場合は、手持ちの製品を手動で追加できるようになりました。

Skin360アプリを使ってみてありがたかったことのひとつは、毎日触らないといけないものではなかったという点です。そうしてもいいのですが、義務ではありませんでした。日々の習慣を記録するのが面倒であれば、Skin360アプリには週に一度ログインするだけでOK。NAIAに一週間ごとに新しいセルフィーを撮るように促されて完了。その週、肌に進展があったかどうかを確認できます。通知をオンにすれば、その週の睡眠の質やストレス、運動量を評価するよう促されるかもしれません。あるいは、毎日、朝晩の習慣として顔をスキャンして記録するような人になれるかもしれませんよ。

アプリはよく設計されていましたが、私が望むほど洗練されてはいませんでした。NAIAとやりとりする際に何だか反応が遅かったのです。このボットに一週間を評価しろと言われるのですが、事前にレーティングのスライダーを動かしておかないと回答を投稿できませんでした。NAIAからの返信が遅い時もありましたね。セルフィーを並べて比較する機能は厄介でした。アプリは異なる日にちからの2枚だと言うくせに、デフォルトでは同じ写真が2枚表示されていたのです。画像をリフレッシュするには、メニューから手動で日付を選ぶ必要があると気づくまで少しかかりました。

一番困ったのは、自分が使っている製品をルーティンに追加する際の操作でした。かなりの数のブランドから選べるようになっていますが、市販されているすべてのブランドを網羅しているわけではありません。例えば、私はNature Republicの製品をいくつか使っていますが、このブランドは含まれていませんでした。手動で入力できればよかったのですが、そんな選択肢はなかったのです。ドロップダウンメニューから｢ブランド｣を選ぶ必要があり、その欄を飛ばすことはできませんでした。製品を入力する際には、その製品がどんな肌トラブル向けなのかも書く必要がありました。特に問題ない製品もありましたが、例えばメイク落としなんかは必ずしもこれに当てはまりません。

こういった厄介な点は我慢できないほどではありませんが、Neutrogenaがアプリのアップデートで直すべきことです。

このアプリの対象ユーザーはと言うと、スキンケア沼の人たちでしょう。試したり、記録したり、そしてデータを見たりするのが好きな性格があってこそ、Skin360は価値あるものになります。そういったことが嫌いなら、このアプリは不向きかも。肌のお手入れを楽しめる、もしくは少なくとも肌質を改善したいと思うよう気持ちも大事ですね。朝の洗顔は冷水をぶっかけるだけというタイプであれば、気に入らないだろうと思います。でも、スキンケア関係の掲示板を読んでいたり、必要以上に保湿クリームのサンプルを持っていたりするなら、Skin360はトライ＆エラーの記録をつける便利な手段になります。

ですが神経質的な人は、スコア化するシステムに刺激されるかもしれないとは言っておきます。シミのスコアが改善されたかどうかを見るためにセルフィーを何枚も撮るなんて、虚栄心が強いのでしょうか？ 全くそのとおりなんですが、私はそういう性格なんです。

ですから、自分の外見を過剰に気にするタイプなら、このアプリや同様のものは避けるべきです。確かに肌を改善するうえで肌質の評価は重要な要素です。大らかな人からすれば、スコアはスキンケア会社が人々を助けるために提供する｢測定基準｣というだけ。皮肉なことに、この数値は不安感を高めるようなものなので、ユーザーは企業が売りつける物が何であれ、買ってしまいます。公正を期して言うなら、Skin360がユーザーの肌を悪いと評することはありません。全体平均スコアは1-4.9点が｢まあまあ｣、5-7.9点が｢良い｣、8-10点が｢非常に良い｣に分類されます。それはいいことですが、本当に利他的な企業なんてないし、自己定量化なんて進んでやるようなことじゃないと思い出させてくれます。

私にとっての一番のセールスポイントは、試すのにコストがかからないということ。マイナス面はありません。イヤなら削除すればいいだけ。気に入ったなら、みっけもん！ 役立つリソースとツールをタダで手に入れたんです。この一週間、私は肌の滑らかさの改善に取り組んできました。明確な結果を得るには一週間じゃ足りません。けれども、あらゆる健康的なルーティンをおろそかにしてCESの期間を過ごした後、このアプリを使うことで再び日焼け止めをきちんと塗るようになりました。

私個人として求めていたのは、特定の保湿クリームか美容液に望むような効果があるかどうかを見つけ出すもっと手っ取り早い方法でした。Skin360を使えば、製品が効果的か否かを自分の目で見る以上にトラッキングできるという点は気に入りました。ただ、毎日記録し続けられる自信はありません。何でもかんでも自己定量化なんて疲れてしまいますから（スマート電動歯ブラシ｢Oral-B Genius X（ジーニアスX）｣の記事を読んでください。このレビューした後、早くも毎日の歯磨きにスマホを持ち込むことに疲れました。数週間後にはアプリを消しました）。

とは言うものの、アプリへの参加度に融通が利くので、もうしばらく続けてみようと思っています。美肌を追い求めるうえでの試行錯誤は完全にはなくなりませんが、そのプロセス全体の可視化がめちゃくちゃ楽にはなります。それには大賛成です。

まとめ

・リニューアルしたSkin360アプリはハードウェアが不要になり、無料でダウンロードできる。

・NAIAというチャットボットが、毎週チェックしてくれる

・iOSとAndroidで使える

・セルフィーを撮ってスコア化されて、設定したゴールに基づく推奨のお手入れルーティン

・全体的にはよいアプリですが、遅かったり厄介だったりする

・ズボラなら、アプリの使用は週イチでOK

Source: Neutrogena(1, 2), reddit,