グーグルの超小型レーダー「Soli」はロマンが詰まった新技術

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  • author 三浦一紀
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グーグルの超小型レーダー「Soli」はロマンが詰まった新技術
Photo: 三浦一紀

まだだ…、まだこんなもんじゃないぜ!

こちらの記事でお知らせしたとおり、昨日Google(グーグル)は、Google Pixel 4の新機能を公開。2月4日より順次配信されています。

ものすごく未来を感じさせてくれる新機能「Motion Sense」(モーションセンス)は、スマホが人の動きを感知して、先回りしていろいろなアクションをしてくれたり、ジェスチャーでいろいろな操作ができるようになります。

画面の中のポケモンに手を振ったり、手をかざすだけでアラーム音が小さくなったり。なんだか、Pixel 4がより人間に近づいた感じがします。

そしてこのMotion Senseには、「Soli」(ソリ)という技術が使われています。このSoli、いったいどんな技術なんでしょうか?

レーダーを使って人の動きを感知する

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Photo: 三浦一紀

Soliは、レーダーを使ったセンシング技術。60GHzという電波帯を使って、人体の動きなどを認識するものです。Pixel 4のMotion Senseも、スマホ上部に埋め込まれた小さなSoliレーダーにより、周囲の動きを感知しています。

この技術を開発したのは、Googleの研究部門であるAdvanced Technology and Projects(通称ATAP)のチームです。開発期間は約5年。

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Photo: 三浦一紀

この5年の間に、大きかったセンサーはどんどん小型化され、Pixel 4に収まるサイズまで小さくなりました。

ミリ単位の小さな動きも感知できる

今回、Motion Senseでは手をかざしたり手を左右に振ったりといった、比較的大きな動作を感知していますが、実はもっと細かい動きの感知も可能とのこと。

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Photo: 三浦一紀

たとえば、腕時計の竜頭を回すような、ミリ単位の動きの感知も行なえます。一方で、部屋のなかで動いている人間のような、大きな動きも感知できます。奥行きのあるものの動きを感知する3D追跡も可能です。

優れているのは、これらを温度や明るさの変化に関係なく安定して感知できるところ。電波を使うレーダーセンサーは、周囲のセンシングにうってつけなのです。

Pixel 4では補完的な機能を実現

Soliは、いわゆるモーションセンサーの一種とも言えます。これまでのモーションセンサーというと、人間の全身レベルでの大きな動きを感知するものでした。

しかしSoliはミリ単位での感知も可能なため、より細かいニュアンスをデバイスに伝えることができます。たとえば開発の初期では、指先を細かく動かすことでダイヤルを動かすといった実験が行なわれていました。まぁ、こんなに細かい動作は現在のスマホではあまり使いどころがないとは思うんですが、いろいろな可能性を感じてしまいますね。たとえば音量を竜頭回しのジェスチャーでコントロールできるようになるなど。

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Photo: 三浦一紀

このほかにも、センサーの上で指を動かすことでテレビに映っているキャラクターを走らせたり、飛んだりといった実験も行なっていたようです。

今回のPixel 4搭載にあたっては、「スマホ操作の補完的な機能」を持たせたとのこと。元々Pixel 4は大きなタッチスクリーンとGoogleアシスタントという、快適なタッチ操作と音声操作をがありますが、それらが使えないときに活躍できるのが、Soliを使ったMotion Senseなのです。

たとえば手が汚れていて画面を触りたくない時や、うるさい/静かな施設といった音声コマンドが使いづらい時。Motion Senseなら手を大まかに振るだけで操作できるので、ありがたいですよね。

Soliはまだ始まったばかり。今後に期待!

Googleによれば、SoliにとってPixel 4はあくまでも始まりとのこと。上で紹介したように、Pixel 4以外のスマホや、その他のデバイスに今後Soliを使った機能が搭載される可能性は多くあります。

スマートウォッチなら画面上に表示する情報を切り替えたり、音楽再生時に曲送りをするということがジェスチャーで行なえるようになるかもしれませんし、スマートテレビなら、画面に向かって手を動かしてチャンネルを変えたり音量をコントロールできるようになるかもしれません。

また、人のセンシングだけでなく物質の認識にも使えます。コップに注がれた液体が水かミルクか見分けたり、近くに置かれた板がプラスチック製か金属製か識別したりなんかも可能。しかもただ「金属」というだけでなく、鋼鉄とアルミの違いもわかるのです。

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Photo: 三浦一紀
発表会では、Soliを使って空中で音楽コントロールをするイメージ映像が流れた。こういう未来、待ってる。APIの公開も期待。

ゲーム機なんかに搭載されたら、どんなゲームが生まれるのか、考えただけでワクワクしてしまいます。

Soliは、Googleから生まれたテクノロジープラットフォーム。今回のPixel 4を皮切りに、もしかしたら今後Googleから発表されるハードウェアに搭載されてくることでしょう。楽しみですね。

とにかく、今回のPixel 4アップデートにより、タッチ、音声、そしてジェスチャーという3種類の操作体系が使えるようになりました。これからのスマホは、これがスタンダードになるかも知れませんよ。

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