近年「食」の分野では、健康志向がますます大きなトレンドになっています。

スーパーやコンビニ、レストランでも手軽に健康的な食事が手に入るようになってきたのは素晴らしいことです。しかし、専門家によるとこの健康志向によって新たな弊害も出てきているのだとか。

いったいどのような現象なのでしょうか?

健康への過度な志向が引き金に

グリーンサラダ
Image: Shutterstock

yahoo!news/AFPによると、健康な食事を摂ることにこだわりすぎてしまい、自分が健康だと感じるもの以外食べられなくなってしまう新たな摂食障害や精神障害(オルトレキシア)にかかる人が出てきているのだそう。

フランスのトゥールーズ・ジャン・ジョレス大学で異文化心理学の教授を務めるPatrick氏がこの障害について以下のように定義しています。

オルトレキシアにかかっている人は、自分自身に課している数多くのルールに縛られてがんじがらめになっている状態にあるのです。

yahoo!news/AFP」より翻訳引用

同記事内で取り上げられているある女性は、当初ベジタリアン(菜食主義)に興味を持ち、その後卵や蜂蜜なども摂取しないより厳格な菜食主義であるヴィーガンへと転向したそう。

さらに自身の食事に課す制限はより厳しくなり、最終的にはフルーツしか口にしないという食生活に。

そんな生活を続けていたある日、大量に髪が抜けはじめたことをきっかけに自身の健康状態の異変に気がつきました。

そう、彼女は健康な食事を追求するあまり、自分でも気付かないうちに、このオルトレキシアと呼ばれる摂食障害に陥ってしまっていたのです。

身体以外にもダメージが

また、記事によれば深刻なのは、この強迫観念にも似たオルトレキシアになってしまった結果、身体的にダメージを受けるだけではなく、精神状態にも乱れが生じたり、社会的な孤立に繋がる可能性も示唆されているとのこと。

このような状態に陥ると、周りが止めようにも耳を貸さず、状況の悪化を止めることがさらに難しくなります。

健康的な食事をするのは、もちろん大切なことです。しかし、行き過ぎてしまい、少し間違った道に外れると自分の身を滅ぼすことになってしまう…というのは、あまりに恐ろしい結果です。

オルトレキシアへの対処法は?

yahoo!newsでは、まだこの症状は医学的に広く認知されているわけではなく、さまざまな解釈がある、としています。

専門医のなかには、この症状を摂食障害というよりも”恐怖症(英語でphobia)”に似たものである、と提唱しているケースもあるとのこと。

恐怖症、として捉えた場合に有効な解決策としては、認知療法が有効なようです。

間違った情報、また過度な思い込み対して、きちんと向き合って一人で決めるのではなく家族や周りと話し合うこと、不安に陥った際の感情のコントロール方法、リラックスするための方法を知っておくことなどで、改善につながると期待されています。

食生活を整えるために気をつけていること

私も普段から食事には気をつけていますが、やり過ぎや偏りは禁物なのだと改めて実感しました。

すべてに絶対的な医学的な根拠がある、というわけではありませんが、バランスよく長く健康的な食事を続けるために私自身が日々実践していることをいくつかご紹介したいと思います。(以下、個人の見解です)

自分の身体の状態や変化を観察する

「健康にはこれを毎日食べると良い」、という情報をよく目にします。

また、スタイルの良いモデルさんや女優さんの食生活を参考にしている人もいるでしょう。もちろんそうしたものを取り入れてみるのも良いのですが、私は必ず自分の体の状態も合わせて観察することを心がけています。

お通じの様子や肌のキメやハリ、身体が軽い、重い、など、その食事が自分の身体に合っているのかどうか、を観察します。

万人に良い食材、というよりも自分に合った食材、食事を見極めるためには大切なことだと感じています。

あとは、いくら身体によくてもおいしく感じられないと継続することは難しいですよね。

健康に良いもののなかでも、自分がおいしく無理なく食べられる食材や食べ方、摂取頻度をうまく見つけられると長続きします。

目の前の食事は思いっきり楽しむ

普段から食事には気をつけている、とは言いましたが、ジャンキーな食べ物やカロリーの高い食べ物も大好きです。普段はあまり食べないように意識していますが、そういったものに手が伸びてしまうこともしばしば…。

そんなときは無理に我慢しすぎず、欲に従うようにして、目の前の食事を楽しんで味わうことにしています。

常に「このカロリーはいくらだろう…」と気にしながら食べていてもおいしさは半減。

また食べてしまった、という罪悪感がさらにストレスになって暴飲暴食を招いてしまうこともありますから、欲が向くままに食べたいときには素直に従う、つまり我慢しない、ということも私にとってはときに有効な方法みたいです。

1週間のなかでバランスをとる

ま外食が続いて自分で食事をコントロールしづらい、ついいつもよりも食べ過ぎてしまった、などといった日が続いてしまったときには、その翌日(外食の予定など予め分かっている場合は前日でも可)の食事の量を減らすようにしています。

もし数日続くようでも、だいたい1週間、または2週間の間でそのバランスがとれたらOK、とし、外食のときには気兼ねなく好きなものを好きな量だけ食べるようにします。

前後の食事の量を減らすのは辛い…と思いがちですが、我慢した分だけ、外食時のごはんをより味わって楽しめるようになりました。

何を食べるか<何も食べない(胃を休ませる)

また健康な食事、というと、「毎日○○を食べると健康に良い」「○○がダイエットに効く」などど、何を食べるかにフォーカスされがちですが、それよりもたまには胃を休ませること、にも意識を向けてみましょう。

お腹が空いていないのに食事の時間がきたから、なんとなく口さみしいから、といった理由で食べ物を胃に詰め込みすぎると胃が疲れてしまい、消化機能も低下します。

適切な空腹感を感じられると食事がより美味しく感じられますし、身体が軽く感じます。もちろん必要な栄養をきちんと補ってこその話なので、無理な絶食は絶対にやめましょう。

食事は、私たちにとって欠かせない大切なもの。だからこそ健康に楽しく続けられる食生活を送りたいものですね。

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Source: yahoo!news/AFP

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