YouTubeを見ながらダイソンの掃除機を直したことがあるので、気持ちはよくわかります。直せる自信が、どこからともなくやってくるものなのです。でも、ここで挙げられている例は、いくらなんでも…。
コンピュータはいつか壊れます。なにかをこぼしてしまったり、なにかを落としてしまったり、ときにはただ起動しようとしただけなのに、こいつ動かないぞってなったり。たいていの人はググるなり、プロに頼むなりして修理すると思いますが、たまに自分で直そうとしてぶっ壊してしまってから修理に出す人がいるようです。
米Gizmodoが全米のテックサポートの人たちが経験した「最悪の自己流修理法」について教えてもらったようですよ。良い子は絶対に真似しないでください。
1. バッテリーをLANポートに刺す
パソコンを自分で直そうとする人の中には、心から善意を信じる人がいます。もしもそういう人が電子機器の基礎的知識を持ってなくて、YouTubeの動画を見てなんとかしようとすると、悪ふざけの被害者になってしまいます。ブルックリンでテックサポートをしているPeter Lopezさんは、そんなお客さんからの依頼を受けました。
彼が依頼主の家に到着して目にしたのは、LANポートに刺さった単二電池。なぜそんなことをしたのか尋ねると、依頼主は「LANポートに電池を刺すとインターネットが3倍速くなるから」と答えたのだそうです。あまりにも自信満々な主張に驚いたLopezさんに、依頼主はYouTubeの動画を見せてくれたらしいのですが、これがまるでデタラメなのに出来が秀逸だったために本物だと思い込ませてしまったみたいなのです。
いくら下準備がよくできていて、アイロンのかかったシャツを着て、襟元に高価そうなマイクを着けているからといっても、信頼できるとは限りません。パッとググればLopezさんの依頼主はこんな目に遭わずに済んだはずなんです。
ネットの速度を上げたい人は、上位機器に買い換えたり、電波が届きやすい場所にルーターを移動させたり、速いプロバイダを探したりした方がいいです。
2. 濡れたノートPCをオーブンに入れる
大学の寮でテックサポートをしているので、多くのお客さんが同居人のようなものです。依頼主たちから夜中の2時に部屋をノックされたり、週末に電話がかかってきたりします。気合いを入れて依頼主の部屋に向かうと、そこには焦げ臭いノートPCが…。
食べ物をオーブンに入れて水分が抜けたのを見たからなのか、この依頼主は水をかぶったノートPCをオーブンで乾かそうと思ったみたいなのです。
結局PCは乾くことなく、スクリーンは溶け、筐体には焦げ跡が。そして週末中、寮のキッチンに悪臭が漂うことになってしまったようです。
そして、そんな自己流修理法を編み出す人に出会ったのはわたしだけではなかったんです。
テキサス州のテックサポートは、コンピュータのチップを乾かすためにマザーボードをオーブンに放り込んだ人に遭遇。これはPC修理の方法として良くないだけでなく、リチウムや鉛などの有毒成分が溶け出すとオーブンが使い物にならなくなります。
ハンダゴテを使うのは一般的なDIYのPC修理法ではあるものの、失敗するとマザーボードを焦がすことになってしまいます。うまくいくこともありますが、有毒ガスを出したり、キャパシターを壊したりする可能性が高く、そんなリスクにかけるのは良いアイデアとはいえません。
3. 濡れたノートPCをお米に放り込む
ノートPCを乾かすために使われるのは、オーブンだけではありません。お米の中に入れるという手もあります。水浸しのスマホをお米の中にいれればセーフってこともあるので、いいアイデアなのかも。
I had to put my laptop in rice and now the rice is making demonic sounds. I may have created super rice. Please send help.
— Josh Sharpe (@Josh_Sharpe) January 27, 2020
「ノートPCをお米に入れなきゃいけなくなったんだけど、お米がおぞましい音を立ててる。もしかするとスーパーライスをつくってしまったのかも。助けて。」
Idk if this works like it does with a phone but I do know that I can afford more rice but not a new laptop ??? pic.twitter.com/35VCiFKrU4
— rhubarb queen (@meowing_at_u) February 1, 2017
「スマホと同じように直せるのかはわからないけど、お米は買えても新しいノートPCを買えないことは確か」
Good news: I put my broken laptop in rice and it works again
— Mercedes Mingus (@mercedes_mingus) October 22, 2018
Bad news: I got rice stuck inside the laptop so now whenever it moves it sounds like a rain stick
「朗報:壊れたノートPCをお米に入れておいたら動くようになった。悲報:持ち歩くとノートPCの中に入ったお米がレインスティックみたいな音を立ててる」
オレゴン州ポートランドのテックサポートのウィリアムは「ノートPCをお米に入れないで」と米Gizmodoに語っています。その理由として、お米が詰まったファンやUSBポートを交換しなければならなくなるから、と例を挙げました。
携帯電話にはお米が入り込む隙間がないので大丈夫ですが、ノートPCには換気口やポート、キーボードの間など、お米が入り込む隙間があるとのこと。
テキサス州フォートワースのTechSupport MSに勤めるUmer Perezさんは、そもそもお米を使うのはおかしいと指摘します。大きいサイズのノートPCは内部に隙間もあるため、筐体を開けて手作業で乾かさない限り、水分をすべて取り去るのはほぼ不可能なのだとか。
お米はびしょ濡れのノートPCを乾かすためには不十分なので、もしも水浸しになってしまったら、すぐに電源を切ってコンセント抜いて、可能ならバッテリーを外してください。それから、タオルでできる限り水分を拭き取って、24時間から48時間自然乾燥させてください。すべてうまくいけば、きっとPCはまた動くはずです。うまくいかなければ、修理に出さなければいけませんが、少なくとも修理屋さんがお米と格闘する必要はなくなります。
4. 壊れかけのハードディスクを冷凍庫に入れる
一昔前だったら、ハードドライブを冷凍庫に入れて冷やせば、ご臨終寸前のハードから重要なデータをコピーできる程度には延命できました。これは、冷やすことで円盤状の記録媒体が一時的に回転できるようになるからですが、近頃はハードドライブのデザインも変わってしまったうえに、円盤状の媒体を持たないSSDが普及してきたので、もう冷凍庫に入れるという手段はお蔵入りにした方が良さそうです。
でも、テキサスの修理店によると、そんなことを言っても聞く耳を持たないチャレンジャーがいるようですよ。
恐れ知らずの依頼主は、お金を節約するために、ネットの情報に従って冷凍庫にハードを入れてみたそうです。言うまでもなく失敗に終わって、わたしたちにデータ救出を依頼することになりました。
強者は他にもいるみたい。
||: KK, so I stuck the laptop in the freezer.
— ??-??????? 「 ᴛᴇᴇɴᴀɢᴇʀ 」 (@SunaSuperiority) December 9, 2019
Lets see where that takes us after ten or twenty minutes.
「ノートPCを冷凍庫に入れてみた。10分か20分後にどうなるか様子をみよう」
I was desperate so I stuck my laptop in the freezer and it’s actually working????
— Zuva✨ (@ZuvaSeven) December 18, 2019
「切羽詰まって冷凍庫にノートPCを入れたんだけど、これ本当に大丈夫なの?」
“My laptop froze.” He sighs, putting his backpack down on the lunch table and pulling out his laptop.
— ??????? ????. (@NO__OJ) December 28, 2019
Unfortunately it was actually frozen. Someone must have thrown it in the freezer at home.
“I spent 5 hours writing this stupid assignment and I have to get it back——!” >
「友だちは『僕のノートPCは凍ってるんだ』とため息をつきながら、ランチテーブルにバックパックを置いてノートPCを引っ張り出した。不幸なことに、本当に凍ってた。誰かが彼のノートPCを冷凍庫に放り込んだに違いない。彼はこう言った。『あのしょうもない課題に5時間も費やしたんだ。使えるようにならないと困る!』」
ノートPCは酷暑や極寒には向いていません。キッチンにある電化製品から遠ざけるようにしてください。
5. やっちゃいけないのに自分で直そうとする
わたしたちはみんな電気製品のことならなんでも知っていて、ほんのちょっとの努力とYouTubeの力でなんでも直せると思い込んでいますが、いつもうまくいくとは限りません。
「MacBookの充電器を自分で直そうとしたら、誤って基板からワイヤを引っこ抜いちゃったんだけど、ハンダで元に戻せる?」
New motherboard, RAM, and CPU are all here. Surgery on my computer starts in a few hours
— Ethan Hansen (@BlinkshotTV) February 2, 2017
「新品のマザーボードと、メモリ、CPUはすべて揃った。数時間後にパソコンの手術を始めることにする」
Surgery on the computer is not doing well.
— Ethan Hansen (@BlinkshotTV) February 3, 2017
「手術はうまくいかなかった」
謙虚であることは、なにかを壊してしまうのを避けるために大きな役割を果たします。パソコンの電源を直そうとしてちょっと発火させたわたしが言うのだから間違いありません。
コンピュータの修理はプロに任せるか、時にはそれすらも避けた方がいい場合もあります。ニューヨークのライアン(姓は明かしてくれませんでした)がこんな話を聞かせてくれました。
わたしのリピート客のひとり(わたしたちは彼を"RTFM"と呼んでいます。補足:RTFMはネット用語で、日本語訳は「マニュアルを読め」)はワイヤーを引っこ抜いたり、コネクタを壊したり、とにかくなんとかしようとしていろんなものを壊します。そんな彼からBose Wave Radioのリモコンが故障したと連絡を受けました。彼が持ってきたのは、真っ二つになったリモコンと専用のコネクタケーブルだけ。どうすればいいのかわからなかったと彼は認めたけど、どうしてそんなことになってしまったのやら…。
結論:どうすればいいのかわからないのに、どうしてなんとかしようとするの?
子どもの頃、周りの止める声に聞く耳を持たない父が、映りが悪くなったテレビのブラウン管をいじくり回した挙げ句に、まったく映らない場所をとる箱に変えてしまった思い出がよみがえってきました…。