4D印刷!? 害虫の針のように返しがある極小針は薬を内包し体内で溶ける

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  • author 岡本玄介
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4D印刷!? 害虫の針のように返しがある極小針は薬を内包し体内で溶ける
Image: Riddish Morde via RUTGERS TODAY

4Dプリントとは何ぞや!?

ニュージャージー州のラトガース大学にて、これまでの常識を覆すような注射針が、新しい3D印刷技術で作られています。それは害虫や寄生虫が持つ、“返し”の付いた注射針を、4D印刷で成形するというもの。

NEW ATLASいわく、これはマイクロニードル・パッチの一種だと説明していますが、それも何? って感じですよね。以下でひとつずつ説明していきます。

“返し”の付いた注射針

で、トップ画像の針。自然界では、こうした針は痛みなく獲物の皮下にスルっと刺さるものの、抜けにくいという特性を持ちます。そこに目を付けた研究者たちは、刺した後に皮下にとどまらせる針に応用しました。遅効性の治療を目的としている場合に有効です。

無害な針の中にはが仕込まれており、その針が溶解すると共に少しずつ内容物が放出されます。溶けた薬は、皮膚細胞の周りにある間質液から血液へと流れて行くことになります。

新しい3D印刷技術

RUTGERS TODAYによりますと、これは「成形後に形状を変更するようにプログラムされた、スマート・マテリアルを使用する3D印刷」で、彼らはそれを4D印刷と呼んでいます。どうして4D(4次元)なのかというと、立体である3Dに「時間」という概念が加わり、時が経つに連れて成形したものが変化するからなのです。なるほどって感じですよね。

マイクロニードル・パッチ

ということで、4D印刷して湿布薬のように「パッチ」としてしばらく身体に付着する極小の針は、マイクロニードル・パッチと表現されています。この場合は身体に付着というよりも、体内に埋め込み…ですけどね。まぁ治療するという点では同じかと。

鶏肉で実験

ということで、こちらの動画は、鶏肉に針を射してみたものです。抜くべきではないのに抜いてしまうので、返しに肉の繊維が引っ張られるチョイグロ映像となっています。

Video: Howon Lee/YouTube

うぅ、実際に刺したのをこうして引っこ抜いたら、さぞや痛いのでしょうね。でもコレこそが、皮下に留まって溶解と共に薬を放出してくれる、ラトガーズ大学の新技術なのです。

そして“返し”のある針は、返しのない針より18倍も組織接着が強いというデータが取れたとのこと。すぐ抜けないので、目的に応じた針からの投薬や、何度も行われる採血(ここに普通の注射針を刺す)がより楽になることが期待されています。

何だかラブカの歯を想起させますけども、ぜひとも凝りのヒドい私の肩に、これで長く効く弛緩剤でも打ってほしいモンです。パッチ鍼だけじゃ物足りない!

Source: YouTube, RUTGERS TODAY via NEW ATLAS