アメリカ暮らしではいろいろな単位を換算しなければならないのですが、わたしが苦手なのが温度の換算なんです。

平熱37度は150年前の数値だった

華氏を使うアメリカでは、発熱の境は98.6°Fとされています。これは摂氏37.0℃なので、日本でも同じですね。

その数字については何の疑問もなく受け入れていましたが、じつはその数値は1869年にドイツの医師、カール・ヴァンダーリッヒが2万5000人の患者の体温データを集め分析した結果だったそうです。

現代のアメリカ人平均は36.4度

となると、150年前と現代の生活はかなり違い、それによって人の体も変化しているのでは?

その正当性に疑問を呈したのは最近のスタンフォード大学の研究でした。157年におよぶ約19万人の67万件を超える体温データを調べたという大規模なものです。それによって現代アメリカ人の平均体温は36.4℃前後ということが判明しました。

南北戦争開始から1940年代まで、1971年から1974年まで、そして2007年から2017年までの3期間のデータが使われました。いずれも新しいデータのほうが古いものより体温が低かったそうです。

この研究に携わったジュリー・パーソネット医師は、その低下幅が大きかったこと、そして同じペースで下がり続けたことが驚きだったと述べています。

わたしの住むダラスは、夏のキンキン冷房はもちろん、真冬でもTシャツに半パン、冬でも最高気温が15度を超えると冷房のうなる音が聞こえてくるという土地。

体格の良い人たちは冷え性など知らず体温も高いのだろうと思っていましたが、平均が36.4℃というのは意外と低いという印象を受けました。

37℃は発熱とは限らない

このニュースを読んで考えてみたら、体温についてあまりよく知らないことに気づきました。

体温計でおなじみのテルモによると、体温は年齢や測った時の時間、活動の度合い、そして測る部位によっても変化するそうです。37℃はかならずしも発熱とは限らないとか。また、乳幼児は体温調節がまだうまくできないために注意が必要だそうです。

テルモによると、日本人の平均体温は36.89℃とされています。

日本人の7割くらいは、体温が36.6℃から37.2℃の間。10歳から50歳前後の健康な男女3,000人以上の体温の平均値は、36.89℃±0.34℃(ワキ下検温)でした。この調査によると全体の約7割の人が36.6℃から37.2℃の間に入りました。

「平熱」にも個人差があって当然なのです。医学的に正しい測り方をすれば、37℃はむしろ平均的な平熱の範囲内だということがわかっています。

平熱が低いのがなぜ良くないのか

日本では冷え性という概念がありますよね。アメリカでも鍼や漢方の先生なら血流について触れますが、西洋医学の先生にはそういう意識はないのか、冷え性とか血流について言われたことはありません。

400名以上の医師が監修しているWebメディア「Medical Doc(メディカルドキュメント)」に、東京有明医療大学の川嶋朗先生の話がありました。

平熱が低いと血流が滞り、細胞に必要なものが血液ですみずみまで運ばれなくなり細胞の働きが悪化、それによって体調不良や病気につながるそうです。冷え性対策もいくつか挙げられています。

自分の平熱を知るには?

テルモのサイトによると、感染症法では37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」とするそうですが、平熱は人によって違うので、37℃=発熱とは限らず、自分の平熱より高ければ発熱と考えられるそうです。

となると自分の平熱を知らなければなりません。でも体温は1日のうちでも変わるので、テルモでは1日4回測ることをすすめています。

起床時、昼食前(午前10〜12時頃)、夕方(午後4〜6時頃)、就寝前の計4回体温を測り、時間帯ごとの平熱としておぼえておくと、発熱を正しく判断できます。

この場合、食後すぐは体温が上がりますから、食前や食間に検温するのが適切です。また平熱の測定は1日だけでなく、日をおいて何回か測ってみましょう。

冷え性だからおそらく低めだと思うのですが、検診時に体温を測られるぐらいで普段の体温はわかりません。

過去には病気だったのに熱が出なかったこともあったし、他の人の同じような例を見たことも思い出しました。

37℃という数値にこだわらず、自分の平熱を知っておくことは「ボディマネジメント」の一環として大事だと感じました。

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Image: Paket/Shutterstock.com

Source: Wall Street Journal, WebMD, テルモ(1, 2), Medical Doc(メディカルドキュメント)