これ、なんだかわかります?
答えはワイヤレスアンテナ。3,000本も並べたスマートな壁紙で、MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)が開発しました。名付けて「RFocus」。
そんなに並べてどうすんの!? って思いますけど、こやつをソフトで遠隔操作すると、電波強度が10倍近く上がってチャンネル容量も2倍になるんです。…すごい!
電波って普通、飛ばす側ががんばるじゃないですか。でもがんばって飛ばしても、壁にぶつかったり、ヘンな角度で弾き飛ばされてターゲット外れたりしているわけですね。そこで「途中の遮蔽物をうまいこと制御して、絶妙な角度で電波をターゲットに飛ばしてやろうじゃないか」ということで生まれたのが、このアンテナくんなのです。
電波を自由自在に制御できるペラペラアンテナ
無線システムでは通常、電波をなるべく遠くまで飛ばして処理量と範囲を高めながら、ほかの発信機との干渉を最小限に抑えます。電波を生む力は無線局のサイズで決まり、大きいほどエネルギーは出ますが、基地局もアクセスポイントも大きな無線局は制御がたいへんです。
でもこのペラペラのアンテナくんたちを間に挟めば、電波を通すのも弾くのも自由自在。ターゲットが受ける電波強度をMAX化できるんです!
しかもアンテナは1本数セントの格安プライス。ペラペラの安い壁紙みたいに作れるので配線工事も要りません。
省エネで電波を非力にしても大丈夫で、受け手はアンテナ増設が要らないし、アクセスポイントの補強も不要です。複数の端末がひとつの電波にアクセスしている空間や、センサーを張り巡らせて動きを監視している倉庫などで大活躍しそうですね。
強い電波を飛ばしたい人は期待していい技術
論文著者のHari Balakrishnanさんは「最小限の電力で、強い電波を飛ばす無線端末が欲しい人にはかなり期待の持てる技術」とVenture Beatに言っています。プリンストン大学が2018年に発表した技術と原理は同じだけど、 RFocusのほうが安価で用途も広いんだそうですよ。
成果は、来月シリコンバレーで開かれるネットワークシステム設計運用(NSDI)のUSENIXシンポジウムで発表する予定となっています。