「誤解」から生ずるイノベーション

知識がズレて伝わることを利用して、イノベーションを起こすことが可能。
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shinshinohara @ShinShinohara

私たちは知識を正確に伝達しなければならないものと捉えていますが、イノベーションのためには、「誤解」を積極的に評価した方がよい場合があります。それを象徴的に示すのが「こんにゃく問答」という落語です。

2020-02-14 21:35:32
shinshinohara @ShinShinohara

働きたくないこんにゃく屋が、無人の廃寺に住み着いてニセ坊主になりすましていました。そこに、修業僧が「問答で対決したい」と訪問。こんにゃく屋はニセ坊主とバレては大変なので、だんまりを決め込みました。 すると修業僧は何を思ってか、身振り手振りをこんにゃく屋にして見せました。

2020-02-14 21:37:58
shinshinohara @ShinShinohara

こんにゃく屋も負けじと身振り手振り。横です見ていて訳の分からないこんにゃく屋の友人。しばらくジェスチャーの応酬が続いていましたが、修業僧が突然「参りました!」と土下座し、そそくさと寺から逃げ出しました。

2020-02-14 21:39:40
shinshinohara @ShinShinohara

訳の分からない友人は修業僧を追いかけ、一体身振り手振りで何をやりとりしていたのか尋ねました。すると「あの方はすごい方です。私が以前から頭を悩ませていた仏法の疑問に、たちどころにお答えくださった。修業が足りません。出直します。」

2020-02-14 21:41:33
shinshinohara @ShinShinohara

あいつ、実はすごい奴なのかな、と考えながら寺に戻ったら、こんにゃく屋はカンカンになって怒っていました。どうした、と尋ねると「あいつ、俺がこんにゃく屋だと気づいて、お前のこんにゃくは小さいんだろとかまけろとか言うから、最後にアッカンベしてやったんだ。」

2020-02-14 21:43:37
shinshinohara @ShinShinohara

この話は通常、こんにゃく屋のデタラメなジェスチャーを立派な教えだと勘違いした修業僧を笑う話だと思われています。しかし内田樹氏は、修業僧は間違いなく仏法の真理を学んだのだ、と考えています。たとえ勘違いでも、学ぶことが可能です。

2020-02-14 21:45:42
shinshinohara @ShinShinohara

「誤解」から生まれたイノベーションが実在します。コンタクトレンズです。 昔、ある眼鏡屋に外国人の女性が訪れました。その女性は、コンタクトレンズを持っていると自慢。かねてからその噂を知っていた眼鏡屋は、ぜひ見せてほしいとお願いしました。でも、見せてもらえませんでした。

2020-02-14 21:53:00
shinshinohara @ShinShinohara

悔しくてならない眼鏡屋は一念発起。自分てコンタクトレンズを作ることを決意しました。何年もかけて作り上げたのは、瞳サイズのレンズ。 実は、眼鏡屋が見せてほしがっていた頃のコンタクトレンズは、眼球全体を覆う大きなもので、装着するのも大変な代物でした。

2020-02-14 21:55:05
shinshinohara @ShinShinohara

もし眼鏡屋がコンタクトレンズの実物を見せてもらえていたとしたら、瞳サイズのコンタクトレンズは生まれなかったかもしれません。コンタクトレンズが小さいとまぶたの裏に入ったして危険だから大きいのだな、と、勝手に納得し、小さなものを作ろうとも思わなかったかもしれません。

2020-02-14 21:56:57
shinshinohara @ShinShinohara

西洋で主流のコンタクトレンズがどんなものか分からず、誤解したことが功を奏して、瞳サイズのコンタクトレンズが生まれたと言えます。 知識は正確に伝達しなくても構わない。むしろ認識のズレ、誤解をイノベーションの契機にするということが可能です。

2020-02-14 21:58:51
shinshinohara @ShinShinohara

「誤解」を利用したイノベーションの手法も本書で紹介しています。 「ひらめかない人のためのイノベーションの技法」 amazon.co.jp/%E3%81%B2%E3%8…

2020-02-14 22:00:00