慢性的に不足しています。ストレージが。
ある日のこと。ギズモード編集部の綱藤(あみとう)が、何やらブツブツ言っています。
「…もういっぱいだ…。あと20MB…。HDD追加…」
やけに深刻そうな顔をしています。どうやら、仕事で使っているパソコンの保存容量が少なくなり、PCの挙動が遅くなっているようです。
データの保存容量が気になったら「データレスPC」はいかが?
デジタル一眼カメラで撮影したRAWファイルや、記事で使う動画ファイルなどを扱っていると、あっという間にパソコンの保存容量がいっぱいになってしまいます。綱藤は外付けHDDにデータを逃しているようですが、それでも限界があるようです。
「お困りのようですね、綱藤くん」
そこに現れたのは、ギズモード編集部の金本。パソコンの保存容量で悩んでいる綱藤に、何かアドバイスをしに来たようです。
「そんなときは、データレスPCだよ!」
金本が差し出したのは、見た目は普通のノートPC。綱藤が普段使っているノートPCとそれほど違いはなさそうですが...これはなんでしょうか?
「これは、NTT東日本が提供している『おまかせデータレスPC』。データは常にクラウド上にアップロードされて、パソコンの中にはデータはゼロ。クラウドの最大容量は1TBもあるから、実質無制限みたいなものだね!(言いすぎ)」
ファイルは全部クラウド上に保存!
そんな夢のようなパソコンがあるなんて! さっそく使ってみました。
OSはWindows 10。特に変わったところはありません。いつものように動画ファイルや画像ファイル、その他さまざまなファイルをパソコン上に保存していきます。
「おお! どれだけファイルを入れてもサクサク動く!」
綱藤が普段使っているノートPCの保存容量は256GB。これでは全然足りないため、500GBの外付けHDDも併用してやりくりしていました。いつもならそろそろ「内蔵ストレージがいっぱいです」のようなメッセージが出る頃ですが、まったくその気配はなし。
普通のパソコンと違うのは、パソコンの中にデータは保存されず、常にクラウド上にアップロードされるところ。パソコンの中にデータがないと言われるのは何とも不思議な感じですが、特に違和感なく使えます。
Cドライブが非表示になっているとか、管理者アカウントのみアプリのインストールが可能とか、細かいところは違いますが、使い勝手としてはいつも使っているWindows 10のパソコンと変わりありません。そのうえ保存容量が1TBもあるんですから、夢のようなパソコンと言えます。
「これでもう、パソコン本体の容量を気にしすぎなくてよさそうっス!」
綱藤は大満足のよう。データレスPCがあってよかったね!
パソコンなのに「データレス」とはこれいかに?
しかし、パソコンの中にデータを保存しないとは、いったいどういう仕組みになっているのでしょうか。そして、ユーザーはどんなメリットを享受できるのでしょうか。データレスPCについての疑問がいろいろ浮かんできました。
そんなときは、聞くのが一番!ということで、さっそくお話を伺いました。
綱藤の疑問にお答えくださったのは、NTT東日本 ビジネス開発本部 第三部門 サポートサービス担当の鎌田早慧子(かまた さえこ)さんです。
──あの、とても素朴な疑問なんですけど、「データレスPC」って名前が気になって。データを扱うパソコンなのにデータレスって、どういうことなんですか?
鎌田早慧子さん(以下、鎌田):たしかにデータがないってどういうことなの?って感じなんですけど、決してデータが存在しないわけではなくて、端末上にデータを残さないという意味でのデータレスなんです。パソコン内のストレージにはデータを保存せずに、全部クラウド上に保存します。
──アプリやOSそのものもクラウド上に保存されるんですか?
鎌田:いえ、OSやアプリは端末上のハードディスクにインストールされているんですが、アプリで作成したファイルや画像ファイルなど、いわゆるマイドキュメントやデスクトップに保存されるようなデータは、すべてクラウド上にアップロードされます。
通常のパソコンならば、Cドライブがあって中身が見えると思うんですけど、データレスPCではCドライブを見えないようにしています。
──それはなぜですか?
鎌田:データレスPCを使用する方が、自由にアプリなどをインストールできないようにするためです。アプリのインストールなどは、管理者アカウントを持っている方のみができる仕組みです。
データがないから万が一のときも安心
──どうして、データレスPCみたいなサービスを提供しているのでしょうか。
鎌田:昨今は、テレワークとか在宅勤務などのように、ノートPCをオフィスの外に持ち出して作業をする働き方が増えています。これは働く場所が縛られないメリットがありますが、反面、データのセキュリティ面でのリスクは上がります。PCを電車に置き忘れてしまうとか、盗難にあうとかですね。
でも、データレスPCならデータはクラウド上に保管されていて手元のPCには入っていませんから、そういったリスクを回避できます。
Windows 7のサポート終了に伴い、企業でのパソコンの買い替え需要が増しています。そのときに、新しい働き方の仕組み作りやセキュリティ強化といった面で何かお手伝いしたいという想いもあって、データレスPCを提供しています。
──データレスPCごと紛失した場合などはどうなるのでしょうか?
鎌田:万が一、データレスPCを紛失した場合は、センターにご連絡いただければそのストレージのアカウントにロックをかけ、初期化をします。
──もし仮に、この場でこのデータレスPCが盗まれたとして、バラバラに解体されてハードディスクを取り出してデータを読もうと思っても、読み出せないのでしょうか。
鎌田:はい。データレスPCに内蔵されているハードディスクには、データは保存されていません。あるとしてもアプリくらいで、作成したデータはクラウド上なので。
──セキュリティ面、鉄壁じゃないですか…。
データはリアルタイムでクラウドに保存。HDDには残らない!
──データレスPCの基本的な動作の仕組みを教えていただけますか?
鎌田:ハードウェアは、ごく普通のノートPCと一緒です。こちらのノートPCですと、内蔵ハードディスクは500GB。クラウドサービスはMicrosoft(マイクロソフト)のOneDriveですね。そこに「Passage Drive」(パサージュドライブ)というアプリが搭載されています。
アプリなどでデータを作ると、そのデータは一時的に内蔵ハードディスク上に保存されます。Passage Driveは常時ハードディスクを監視しており、一定の間隔でハードディスク上のデータをOneDriveにアップロードします。アップロードが終わって、利用されていないファイルはその場で削除されていくので、ハードディスクにはデータが残らずいつも空きスペースがある、というわけです。
──なるほど。内蔵ハードディスクはあくまでも一時的なファイルの保管場所で、すぐにPassage DriveがOneDriveにアップロードしてくれるわけですね。すごく優秀な秘書がいて、僕が机の上に書類を出したら、すぐにロッカーにしまいにいってくれるみたいな。
鎌田:はい、そのイメージですね。
──データレスPCはネットワークに接続していることが前提だと思うのですが、ネットワークがないところで使った場合はどうなるのでしょう?
鎌田:OSにログインして使うことはできます。ただし、クラウド上にあるデータを読み込むことはできません。
──なるほど。では、データを新規作成することはできますか?
鎌田:最初にネットに接続する必要があるので、新規作成後のクラウド保存はできません。ただし、オフラインでも一時的にハードディスク上にキャッシュとして保存されているので、文書編集等の作業を継続することができます。
たとえば、新幹線で作業をしていて、トンネルに入ってしまってネットが切断されてしまった場合でも、作業内容はキャッシュとしてハードディスクに保持されているので、作業をそのまま続けることは可能です。保存のときにネットに接続されていれば、最新の状態でクラウド上に保存されます。
──そうなると、ファイルを開くときと保存するときだけネットに接続しておいて、作業自体はオフラインの状態で行なうことも可能ですね。
鎌田:はい。ただセキュリティの面では少々不安が残るので、オフラインが長時間続くのはあまりオススメしません。
ビジネスユースなら1TBあれば数年使える
──クラウドは1TBとのことですが、この容量を2TBに増やすことはできますか?
鎌田:現在の仕様ではできません。OneDriveの仕様が1アカウント1TBなので。ただ、ギズモードさんのように動画を大量に扱う場合を除いて、普通のビジネスユースであれば数年は使える容量だと思います。これまでも1TBで足りないというお声はいただいたことはないですね。
──まあ、たしかに編集部員の中には2TBの外付けSSDを常に持ち歩いている猛者もいますけど(笑)。仮に、この1TBの容量が少なくなってきたり、いっぱいになったりした場合はどうなるんでしょうか?
鎌田:空き容量が少なくなると、アラートが表示されます。あとはご自分で、別途外付けHDDやUSBメモリなどにデータを移動していただいて、空き容量を確保していただくことになります。
──そう考えると、僕らが普段使っているパソコンとそれほど変わりなく使えそうですね。データの保存先が外付けストレージなのかクラウドなのかの違いだけで。それ以外は、いたって普通に使えそうです。
パソコンをレンタルするという新しい流れ
──データレスPC欲しいんですけど、こちらはレンタルなんですよね。
鎌田:はい。パソコンは現在B5ノートPC、A4ノートPC、デスクトップの3種類からお選びいただけます。スペックはすべて同じで、CPUはCore i5、メモリ8GB、内蔵ハードディスク500GBとなっています。
OSにはWindows 10、そのほかMicrosoft Office 365、ウイルス対策ソフト、そしてPassage Driveをインストールして、インターネット接続環境があれば月額7700円(税込)/台でご利用いただけます。(最低利用期間・中途解約金あり)*
*Microsoft® Office 365® Business、Passage Drive®(データをクラウドストレージに保存させるためのソフトウェアです)、OneDrive®、ウイルス対策ソフトのインストールおよび初期設定、Office 365®アカウント作成、ライセンス認証、MACアドレス取得などを実施します。
──その他のアプリを追加でインストールするといったオプションはないと。
鎌田:今のところはないですね。あとはお客さまの使用環境に合わせて、ネットワークなどの設定や必要なアプリのインストールをしていただく形になります。
──パソコン本体もついてその価格だと、結構お得感ありますね。
鎌田:そのほか、365日使い放題の専用ヘルプデスクを設置しています。もし使い方で不明な点があれば、ご連絡いただければリモートツールを使って直接お客さまのパソコンの画面上にマークをつけたりしながらご説明することもできます。そのほかにも訪問サポートもこの料金に含まれています。プリンタの設定やメールの設定なども必要であれば、作業員がお伺いして作業を代行することも可能です。*
*訪問設定は最低利用期間内に1回のみご利用いただけます。
──おお、サービスが手厚い。月額7700円(税込)/台でそこまでやってくれるんですか。
鎌田:そうなんです。なので、通常ならば企業の情報システム(社内のIT機器を管理する部門)担当の方がやるようなサポートを、こちらでお引き受けしますよ、というサービスですね。
──なるほど。情報システムのスタッフが稼働するコストを考えると、お手頃そうですね。
鎌田:そういった面でも喜ばれています。ノートPCであれば3年間、デスクトップPCであれば4年間の最低レンタル期間(※中途解約金あり)を設けていますが、それが終わったときに新しいパソコンに借り換えをしたとしても、元のデータはクラウド上に残っているので簡単に引き継ぐことができます。
──パソコンが故障した場合はどうなるんですか?
鎌田:自然故障であれば無償で機器交換をさせていただいています。そこもレンタルのよさかなと。また、リードタイムが短いのも特徴です。たとえば午前中にご連絡をいただいたら、早ければ翌営業日にはお届けできます。壊れたパソコンは、後ほど引き取りに伺います。
──早いですね。やっぱりパソコンがないと仕事できないですもんね。そういう面では、素早い対応は助かります。
レンタルは1台からOK
──正直、オフィスで使うパソコンとしてデータレスPCは申し分ない感じがします。実際、どういった人たちが使っているんですか?
鎌田:元々は、パソコンにあまり詳しくなくて、パソコンの選定も業者にお任せ、情シス担当もいない...みたいな中小企業さんを想定していたのですが、ふたを開けてみると社員数もそれなりにいて、きちんと情シスの方がいる企業さんでも需要があることがわかりました。
なので、今後はもっと高性能なものや軽量なものなど、ノートPCのラインアップを広げていくとともに、お客さまのご要望に合わせてインストールするアプリを決められるようにしたいですね。
──レンタルに際して、最低台数とかあるのでしょうか?
鎌田:1台からご契約いただけますよ。
──え? そうなんですか!
データレスPCは未来のパソコンを一足先に体感できる
データレスPCは、「データはパソコン内に保存するもの」という常識を覆すもの。データは常時クラウドストレージに保存され、インターネットを介してどこからでもアクセス可能。その上、パソコン内にはデータがないためセキュリティ面でも安心。
クラウドが普及し始めて数年経ちますが、ここまでクラウドをがっつりメインにしたサービスはあまり見たことがありません。どちらかといえば、クラウドは「ローカルのバックアップ」のイメージが強かったですからね。
日本全国どこでもインターネットがつながり、モバイルネットワークも普及しつつあるので、これからのパソコンはデータレスが当たり前になるかもしれません。
NTT東日本のおまかせデータレスPCなら、そんな未来のパソコンを先取り体験できるわけですね! 導入を検討するなら、公式ページをチェックするか問い合わせフォーム(または、電話でお問い合わせ:0120-009-070)から相談してみましょう。
Source: NTT東日本