「うそやろ」漂流女性を偶然の発見 漁船3隻が連携救助

足立菜摘
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 海上を漂流していた女性を漁船3隻で協力して救助したとして、松山海上保安部は21日、3人の船長が所属する水産会社「森水産」(松山市)に感謝状を贈った。複数の漁船が一丸となっての救助活動は珍しいという。

 救助したのは、森水産の漁船船長の森洋介さん(44)、いとこの森建太さん(35)、鶴原正人さん(36)。1月18日の午前9時ごろ、松山市睦月(むづき)島の南方沖合で、それぞれの船に乗って漁をしていたところ、仲間の船から「人が流れている」と無線が入った。

 「うそやろ」。当時、海はしけで波が高かった。洋介さんたちも近くを通っていたが、人には気づかなかった。3隻が、操業中で救助できない仲間の船のもとへ駆けつけたところ、波間に高齢の女性が立った状態で浮き沈みしていた。

 船べりの高さが一番低い洋介さんの船に3人がかりで女性を引き上げ、すぐに海保や救急に通報。女性は意識はあったが、水を大量に飲み、衰弱していた。

 船脚が一番速い建太さんの船に女性を移し、陸へ急行。鶴原さんは洋介さんに自分の船を任せ、女性に付き添った。タオルで体をくるんで温めながら、「大丈夫か」と声をかけ続けた。

 岸壁に着くと、あらかじめ手配していた救急車に引き継いだ。女性は約40分漂流していたといい、低体温症肺水腫など重症ながらも一命を取り留めた。

 「沖合で、偶然船が通りかかって助かることはあまりない。非常に的確で迅速な救助だった」と松山海上保安部管理課の岡崎哲也課長。洋介さんは「できることを、できる範囲でしただけ。海に携わる者として励みになる」と話した。(足立菜摘)

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