2013年01月7日公開記事を再編集して再掲しています。
組織変更につきまとうのが転勤。
転勤には住居の移動が必要なものと必要ないものがありますが、一般的に転勤といえば、住居の移動が必要なもの。今回は、転勤にまつわる会社とのやり取りについて考えてみたいと思います。
転勤が本人の希望や栄転のレールに沿ったものならいいのですが、問題は本人の希望と反している場合です。
本人あるいは家族に不利益な場合に転勤の交渉をどこまで進めるのか、会社と対決することにならないかという点は重要なポイント。
本来であればここで法律論を展開するのですが、実際の交渉現場では法律の規定よりも話合いや感情論が優先してしまうのではないでしょうか。
そこでどうせならば、有利な条件で転勤する交渉のポイントを挙げてみます。
単身者で賃貸住宅や実家に居住している人の場合
多くの企業では転居費用を補助するとしていると思いますが、返金されない新居の礼金(西日本の敷引金も含む)は会社負担にする事を交渉すべきでしょう。
新居が会社名義の場合は、敷金も対象にする交渉は必ずしましょう。また現住地の敷金から引かれる損傷分も、転勤がなければ払う必要がなかったと会社負担にさせた猛者もいます。
妻帯者で賃貸住宅や実家に居住している人の場合
最初は、妻を前任地に残した単身赴任になる事を主張するのがよいでしょう。
会社は妻まで転居させる権限はまったくもっていません。この場合、会社の規定で、単身赴任手当が出るのか確認すべきです。
規定がないときは単身赴任手当を出してくれるように交渉するのもひとつの手です。
前任地が賃貸住宅の場合、妻と別居することで家賃が二重払いになる事も交渉材料です。ただしあまり長期間の単身赴任生活は認めない会社も増えてきています。
既に持ち家を買っている人の場合
粘り強い交渉が必要になるパターンです。
まず現有の住居について、会社側はかならず「人に貸せば損はない」と切り返してくるでしょう。
そこでの反論は、「それなら転勤を命じる会社が住宅を借りてくれる人を捜していただけませんか」。このセリフが一番会社側が困るセリフです。
その結果、新居の経費(家賃含む)が全額会社負担になったケースがよくあります。
中には、敷地内に先祖代々の墓があるとして、人に貸せる物件ではないので、不在期間中のローン費用を会社が支払うよう交渉をまとめた人もいます。
幼い子ども・介護の必要な方を扶養している人の場合
よく裁判例として取り上げられますが、こうした場合、よほどの不利益でない限り転勤拒否は認められません。
自分にかかる不利益をよく考えてまとめ、交渉することです。
介護対象の方を転居させるのか。新しい施設を見つけるのかなどをまとめ、できれば会社側も協力してほしいと願い出るのがベストでしょう。
子どもの就学については、卒業時まで、単身赴任(ダブル家賃)を認めてほしいというべきでしょう。
最後に
会社側の対応によって、自分が容認すべき点、会社側に認めさせる点を整理してから、交渉に臨むべき。
また、まだ転勤決定ではなく候補者を捜している段階の話し合いの場合は、自分が転勤するとこれだけ不利益が生じると力説すべきです。
もし会社側が強気な態度に出てきたら、あくまで冷静に、次のように言うと効果的!(実際に私が言われた言葉です)
「この転勤話を家族にしたら、家庭崩壊だねと言われて困っている。説得する材料が欲しい」
「規定外であることはわかるけど、実際にかかっている経費、給与のために働いているのに、これでは食費もでない。労働基準監督署に仲介にはいってもらいたい」
などなど、転勤話は一貫して拒否するよりも、交渉を積み重ねる方がいい結果を生むことが多いものです。転勤話が出ている人は、ぜひともご参考まで!
なお、タイトルにうたった「転勤を断ったらクビ?」の答え合わせです。
こうした場合、会社側が職務命令違反をタテに解雇を迫ってくる可能性がありますが、まず懲戒解雇はできません。普通解雇も難しくなります。
もし会社に残りたいなら、可能な限り穏便にかつ弾力的に交渉をし、会社を去る覚悟があるなら、退職金の割増などを交渉すべきでしょう。
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