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トランプ氏、自己恩赦の検討加速か 議会占拠事件で

(更新)
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【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領が20日の退任を前に、自身や家族の恩赦について検討を急いでいるとの観測が浮上している。連邦検察が連邦議会議事堂の占拠事件を扇動した疑いでトランプ氏の起訴を排除していないからだ。

大統領が本人を恩赦した前例はなく法的効力に関して専門家で見解が分かれ、強行すれば大統領権限を乱用したとの批判が出るのは必至だ。

CNNテレビによると、議会占拠事件後にトランプ氏が家族と恩赦の是非をめぐり協議した。首都ワシントンの司法当局は占拠事件をめぐり「建物に侵入した者だけでなく全ての人物を精査している」と説明し、退任後のトランプ氏の捜査や起訴の可能性を排除していない。

トランプ氏は事件直前の支持者集会で演説し、大統領選の結果を覆すために「もっと激しく闘うべきだ」と呼びかけた。集会にはトランプ氏の長男ジュニア氏も参加し、選挙結果を受け入れる共和党議員に対し「この集会はメッセージを送るべきだ」と強調。両氏とも議会占拠を扇動したとの批判が強まっている。

トランプ氏は不正疑惑が絶えず、退任後の刑事罰を強く恐れているとされる。ロシア政府が2016年の大統領選に介入した疑惑では司法当局の捜査を妨害した疑いがある。16年の大統領選直前、元側近を通じて不倫女性に対して口止め料を支払った件でも起訴される可能性がある。

司法省は1973年の内部指針に現職大統領を原則として起訴しないと明記したが、トランプ氏は政権を去ると指針の適用対象外となる。

トランプ氏が自己恩赦をすれば2つの点で異例だ。一つはトランプ氏がこれまでに起訴や有罪判決を受けておらず、恩赦が予防的な措置になる点だ。恩赦はすでに明らかになっている特定の犯罪行為を帳消しにするのが一般的で、予防的恩赦は対象が「大統領在任中の行為」などのように曖昧になる。

司法省は予防的恩赦について「きわめて珍しいがいくつかの前例はある」と説明する。フォード元大統領はウォーターゲート事件を受けて辞任した前任のニクソン氏を恩赦した。ニクソン氏は同事件をめぐり起訴される可能性が高いとみられていた。

連邦最高裁判所は1866年に「法的手続きが始まる前でも恩赦はあらゆる犯罪に適用できる」との見解を示している。

もう一つは大統領による自己恩赦の前例がない点だ。憲法や法律上の有効性は専門家の間でも見解が割れる。憲法は大統領の恩赦権限について弾劾には適用できないと明示するだけで、自己恩赦を明確には否定していない。憲法を厳格に適用すべきだとする保守派の専門家を中心に自己恩赦は可能だとの見方が目立つ。

一方、司法省は1974年に「当事者が自身の案件を判断しないという原則の下では大統領は自身を恩赦できない」との見解を示した。ニクソン氏はこの見解を踏まえ、自己恩赦を断念したとの見方もある。恩赦は他人に与えるものとの解釈もあり、これに従うと自己恩赦は難しい。

トランプ氏が自己恩赦を強行すれば有効性をめぐり、裁判所の判断に委ねられる公算が大きい。

仮に自己恩赦が有効でも対象は連邦法の違反に限られる。東部ニューヨーク州の司法当局はトランプ氏の脱税や不正な資金取引の疑惑をめぐり捜査を進めている。州法違反による起訴や実刑判決につながっても大統領権限に基づく恩赦は適用されない。

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