研究開発費を使った企業などの法人税を優遇する「租税特別措置」(租特)の恩恵が、自動車や電機など一部製造業に偏っていることが本紙の集計で分かった。減税額が大きい業界ほど自民党への献金額が多い傾向も判明。献金の「効果」の大きさが浮き彫りになった。3月に関連法が成立し、大半の租特は2021年度も延長される。特定の業種に減税の恩恵が集中する状況が今後も続きそうだ。(大島宏一郎)
本紙は租特に関する財務省の資料を分析。租特のうち本来の納税額から一定額を差し引ける「税額控除」分を抽出し、35業種別の減税額を集計した。
◆政権復帰後 計6.8兆円
その結果、自民党が政権復帰後の13年度以降、19年度までの租特による「政策減税」の減税額は計6・8兆円に上ったことが分かった。業界別では、自動車など「輸送用機械器具製造業」が1兆4000億円で首位。これに8700億円の「化学工業」、5300億円の「電気機械器具製造業」が続いた。
一方、自民党の政治献金の受け皿団体「国民政治協会」への業界別献金額(2000万円超の大口献金のみの合計)をみると、献金が多い業界ほど、租特による減税の恩恵を受けている傾向が浮かび上がる。
13~19年の献金額首位は、日本自動車工業会(自工会)や自動車メーカーなどの「輸送用機器」で計17・3億円。13~19年度の減税額も輸送用機器が首位で、献金の影響力の大きさが表れる形となった。計12・8億円を寄付した献金額2位の「電気機器」も、減税額は3位と多かった。
減税額と献金額の関係について自工会は「政治資金規正法にのっとって適切に行った」とコメント。
ただ、民主党政権で09年9月から約1年間、財務副大臣を務めた峰崎直樹氏は「自公政権になってから一部製造業の意向を背景に減税策が拡充された」と指摘。経済産業省元官僚の古賀茂明氏は「税制改正は業界の要望を基に決まる。献金が多い業種の...
残り 801/1601 文字
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。