音楽鑑賞の概念が変わります。ゼンハイザー渾身のサウンドバー「AMBEO Soundbar」

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音楽鑑賞の概念が変わります。ゼンハイザー渾身のサウンドバー「AMBEO Soundbar」
Photo:ヤマダユウス型

質感を持った音とは、こういうことをいう。

ゼンハイザーから、同社としては初となるサウンドバー「AMBEO Soundbar」が発表されました。2021年7月27日発売で、価格は税抜32万5000円。さんじゅうにまんえん。

めちゃくちゃ良いお値段しますけど、これは単に良いスピーカーというだけではないんですよね。今までのスピーカーとは全く違う聞こえ方を叶える装置であり、人類のリスニング体験をガラっと変えてしまう魔法のバーでもあるんです。

その要となる機能は、立体音響にアリ。リビングを音の結界で包んでしまう、リスニングの未体験ゾーンを味わってきました。味わってしまいました。

本気オブ本気のサウンドバー

テレビの前に設置して使うサウンドバーは、導入のお手軽さとサウンド体験向上のコスパが良く、ここ数年注目されているガジェット。テレビ体験を良くするもっとも有効な方法は大きなテレビに買い換えることですが、スピーカーを変えるだけでも臨場感はかなり違ってきます。

そのサウンドバーも4桁で買えるエントリー向けだったり、ウーファーと連携できる本格派向けもだったりと、下から上まで揃ってるのが現状。じゃあ今回の「AMBEO Soundbar」はどこに位置するかというと、サウンドバー単体で完結する体験の最上位、そのさらにテッペンに鎮座するモデルです。

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まず出会いからすごいもの。専用の細長いダンボールで来ましたが、梱包重量は約23Kg。かつてこんなに仰々しいサウンドバーがあっただろうか…。本体のみの重量は約18Kgです。おっも!

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キャリブレーション(音場補正)のためのマイクが付属。スピーカーから出る音は、設置場所や部屋のかたち、カーテンの有無によっても聞こえ方が変わります。プロのスタジオなどでは正しい音が聞けるよう工夫がなされていますが、マイクでキャリブレーションすることで部屋に最適なサウンド環境を整えてくれるのです。IK MultimediaのARC Systemのようなものですね。

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サウンドバーを設置したら、マイクを有線で接続。マイクは普段テレビを試聴する位置にセッティングします。

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あとは、アプリ「Sennheiser Smart Control」とサウンドバーを連携させて、アプリの手順に従いながらキャリブレーション開始。キャリブレーションはやり直すことも可能ですが、正しい音を聞くためにここまで準備が必要っていうのがすごいよね。音楽制作のためならわかるけど、リビングスピーカーでこの準備っぷり。

信じられないほど、コンサート

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見ての通り、本体が大きすぎてテレビボードに収まりませんでした。55インチのブラビアと同じほどの横幅で、縦にも奥にもデカい。説明書によるとテレビからはある程度離して設置してねとのこと。背面部分がかなり熱くなって、排熱がすごいんですよ。

苦心しながら設置とキャリブレーションが終わったので、いざ試聴。…あぁ、これはすごい。良い音すぎて笑っちゃう。最大500W出力だなんていう日本の住環境にミスマッチなパワーが、低音も高音も肉声も、完璧に鳴らします。迫力、振動、音量。すべてにおいて、おうちオーディオの域を超えている…!

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リモコンもかっこよくてシンプル。「AMBEO Soundbar」はeARC接続のほか、AUXや光デジタル端子、Bluetoothなど複数の入力ソースを備えています。ソースの切り替えはリモコンでできるので、スマホ音源を鳴らしたい時も簡単に切り替えられて便利でした。ナリはデカいけど、使いやすさも忘れていない。

音質も機能も優秀。でも、「AMBEO Soundbar」の真価は、むしろここからなのです。

リスニングの次元を変えてしまう、魔法のような立体音響技術

「AMBEO Soundbar」は、5.1.4chを一台で実現した世界初のサウンドバーでもあります。5.1.4chはサラウンドシステムの一つで、複数(10台)のスピーカーを立体上に配置する方式のこと。横や後ろ、天井などにスピーカーを配置することで、映画館のように音が立体で聞こえるわけです。

サラウンドを擬似再現するバーチャルサラウンド技術は、今では珍しいものではありません。特に近年は立体音響が盛り上がっていて、VRライブFPSゲームの3Dオーディオ、Appleの空間オーディオやソニーの360 Realty Audioなどなど、技術評価だけに終わらない実用レベルの立体音響が浸透しつつあります。昔はホロフォニクスとかありましたよね。

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「AMBEO Soundbar」も漏れなく、3Dオーディオ再生に対応。リモコンにはAMBEOボタンがあり、これをオンにすると音が立体化します。電源ボタンの下に持ってくるくらいですから、完全に目玉機能です。

して、AMBEOモード時の音はというと……もう、全ッ然違います。今まで前方からで聞こえていた音楽が、上や横など、空間全体から感じられるようになる。これは音質が良くなったというよりも、リスニング体験が変わったと言いたいです。音楽を一方向から浴びるのではなく、音楽そのものの中に入り込むような、ライブのごとき臨場感。聴覚の世界観が変わる、そこまで言って良い。

そも、AMBEOとはヨーロッパ最大の応用研究機関フラウンホーファーとゼンハイザーが共同開発している立体音響プロジェクトの総称を指します。製品名になったおかげでややこしくなったのですが、その研究成果の一つがこのサウンドバーなのですよ。立体音響モノは色々体験してきましたが、このレベルの解像感や臨場感は初体験です。それも用意された部屋ではなく自宅で味わえるなんて!

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魔法のようなサウンドを実現しているのは、13台のドライバー。ロングスローウーファー6基、ハイエンドツイーター5基、トップファイアリングスピーカー2基。そしれこれらを駆動させるのが、500WのCLASS Dアンプです。なんかもうカイジュウ級ですね、スペックも見た目も。

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立体音響といっても、例えば左側から聞こえる音は左側のスピーカーだけで鳴らしてるわけではありません。現実でも左から鳴る音が回り込んで右から聞こえるように、すべてのスピーカーが調和することで音の結界が生まれます。これもゼンハイザーのビームフォーミングテクノロジーの賜物。音場測定をした位置とそうでない位置では確かに聞こえ方に違いがあり、補正による効果も大きいと感じました。

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本体上部には対応している最新の立体音響規格が刻印されています。映画でおなじみのドルビーアトモス、ソニーの360 Reality Audioが採用しているMPEG-Hフォーマット、そしてDTS社が提供しているDTS:X。コンテンツ側がこれらの規格に対応していれば制作意図を反映したサウンドが味わえるし、そうではない地上波やYouTube動画などの場合でもハンパなく立体感のある音が味わえます。AMBEOモード、ほんとに、ほんっとに、すごい!

所有感くすぐりまくる佇まい

最後に、フォトレビューっぽく写真で振り返っていきましょう。このサイズのモノが家に届くことってそうそうないので。

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テレビよりも存在感があるサウンドバーis何。別売のオプションパーツがあれば壁掛けできますが、その場合はテレビも壁掛け前提でしょうね。

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こんな風に。最強のリビング環境のできあがりじゃん。

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本体上部。質感が美しく、ボタンのデザインもシンプルでうっとり。

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背面の端子部分。これだけ良い音だと、テレビ以外にも色んなソースで鳴らしたい。スマホ音源やストリーミングサービスもAMBEOモードで鳴らしたい。

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AMBEOモードをオンにすると、本体右下のロゴ部分が明滅します。3Dオーディオってずっと聞いてると今がオンかオフかわからなくなりがちなんですけど、これで視覚的にわかる。まぁAMBEOモードの場合は聞いただけでわかるくらい違うんですけどね。

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アプリの様子。キャリブレーションのやり直しや、さらにスイートスポットに集音するモードなどがあります。リモコンにも用意されてるナイトモードは、低音がやや抑えめになるという、地味にありがたいやつ。

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音響設定は5つのモードが用意されていて、それぞれにイコライザーがかけられます。これもリモコンで簡単に切替可能。

歴史的なオーディオプロダクト

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ゼンハイザーにおいても、サウンドバー界においても、そして立体音響テクノロジーにおいても、偉大なプロダクトが生まれてしまいました。立体音響はスピーカーから音を聞く行為そのものを再構築する可能性があり、各メーカーもリスニング体験を一新させることでユーザーを驚かせようと切磋琢磨しています。そして、「AMBEO Soundbar」は、僕の耳に魔法をかけることに成功しました。

導入ハードルは非常に高いです、価格もサイズも。ですが、例えばリビングに5.1.4chのサラウンド環境を、しかも部屋の反響や壁の材質などにもこだわった至高の音場環境を構築しようとしたら…まぁ、良いお値段するはず。そこと比較すれば、ある意味お買い得でもある。32万円でお買い得か…。

きっとこのサウンドバーは、リビングに設置するスピーカーの終着点になるはず。そして新たに、立体音響で楽しむエンタメ三昧の日々が始まるはず。音に深みを、人生に深みを。

Photo: ヤマダユウス型

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