イーロン・マスクが仕事に膨大な時間を費やしていることはよく知られています。
週に120時間以上働いていることは有名で、創業者は週に80時間以上働く必要があるという意見をシェアしていたことも。
この天文学的な数字を見て、多くの人が、「どうやって寝る時間を確保しているんだろう」と疑問に思ったり、こんなに働いていると思っただけでげっそりしています。
複数の会社の創業者であり、7児の父親でもある彼は、他の人よりも1日の時間が長いように見えます。もちろん、そうではありませんが、イーロン・マスクには他の人にはないものがあります。
毎週、毎週、多くの時間を費やしている人たちは、他の人には無いものがあります。それは、不眠不休の超人的な能力でもなければ、優れた時間管理能力でもなく、圧倒的なモチベーションに支えられているわけでもありません。
彼らが仕事を楽しんでいることです。
創業者が毎週、毎月、信じられないぐらい長時間働き続けるには、働くことを楽しむしかありません。心理学がそれを証明しています。
感情の状態によってストレスは変わる
誰でも、1日24時間、1分60秒なのは同じですが、だからといって、誰もがその24時間や60秒で同じ経験をしているわけではありません。心理学的には、感情の状態によって時間の流れ方は大きく異なります。実際、ストレスを感じると、時間の流れが遅く感じます。
短いスピーチやプレゼンテーションをしていると数秒が数分に感じられるのに、素敵な人と一緒の夕食では数時間が数分に感じられるのはそのためです。
また、ボクシングの世界チャンピオンが、信じられないほどの素早い反応をすることで知られているのもそのせいです。観客には非常に速く見えるので、ボクサーはまるで相手の次の動きを先読みしているように見えます。
実際には、相手の次の動きがわかるのではなくて、相手がすでにしていることを見ているのです。しかし、ボクサーはストレス下にあるので、時間の流れをスローモーションでとらえており、他の人には見えないものが見えているのです。
楽しい時間を過ごしている創業者は、時間の感じ方が違うので、一般的に長時間労働に伴う肉体的・精神的な影響を受けることなく、より多くの仕事をこなすことができます。
楽しい時間を過ごしているときは、ストレスや不満を感じる条件下にあるときのように精神状態が悪化することはありません。
週120時間労働でメンタルが良好になる人もいる
140億ドル規模のスーパーマーケットの帝国である「Whole Foods」を一から築き上げたJohn Mackeyは、「仕事ではなく、遊びだった」と語っています。
創業当初は週に80時間働いていたこの創業者は、億万長者になった後も、70歳を過ぎた今でも、大いに働いています。お金も年齢も、楽しいことをする障害にはならず、むしろエネルギーが湧いてきます。
つまり、週に80時間、あるいは120時間も働くという考えは、多くの人にとっては消耗することですが、楽しんでいる人にとっては気分爽快になることなのです。
創業者には多大な情熱と意欲が求められますが、スタートアップを成功させる過程で、創業者が楽しい時間を過ごしているとは必ずしも思われていません。
膨大な時間を費やし、睡眠時間を削り、サッカーの試合も見られないからです。しかし、創業者はスタートアップに多大なエネルギーを注ぎ込む能力を高めるために楽しむ必要があります。
他のほとんどの分野では、仕事が多いことは楽しみが多いことと同義ではありません。しかし、起業家精神において、ハードワークは楽しい仕事です。
イーロン・マスクのように成功して起業するには、大変なことを楽しんでする必要があります。なぜなら、大変なことを楽しんでいる人たちは、スタートアップを成功させるという最も大変なことをしている人たちだからです。
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