米ロサンゼルス上空に人の形をした物体、FBIが捜査 「風船かも」

画像提供, LAPD
米ロサンゼルスの上空で人の形をした謎の物体が相次いで目撃され、「ジェットパックマン」と呼ばれて話題になった。捜査に乗り出していた連邦捜査局(FBI)は、風船だったのではないかとの結論に達した。
ロサンゼルスでは昨年から今年夏にかけて、ロサンゼルス国際空港の上空3000フィート(約915メートル)で「ジェットパックを着けた人」を目撃したとの報告がパイロットから相次いだ。ジェットパックは背負って使う噴射式の飛行器具のこと。
FBIは捜査を進め、このほど、風船だった可能性があるとの結論に至った。
警察のヘリコプターは、ハロウィーンの装飾物が外れ、空へと上昇していく様子を撮影していた。
その映像には、映画「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(1993年、ティム・バートン監督)に登場するジャック・スケリントンの等身大の風船人形らしきものが映っている。
パイロットらの目撃報告
人の形をした物体の目撃報告は昨年、民間航空機のパイロット3人から寄せられていた。
うち1人は昨年8月、「今ちょうど、ジェットパックを着けた人の横を通り過ぎた」と航空管制官に連絡。
「それは珍しい!」と管制官は応じ、「ロサンゼルスならではだ」と述べた。また、パイロットに気をつけるよう伝えた。
昨年10月には、ロサンゼルス国際空港の北西約11キロの上空6000フィート付近で「ジェットパックマン」を見たとの報告が、別の航空関係者からあった。
今年7月にも、3件目となる目撃報告がボーイング747型機のパイロットからあった。ロサンゼルス上空5000フィート付近で見たとされた。
当局が調査
連邦航空局(FAA)は1年かけて調査を実施。3件以外の目撃報告は得られなかったとした。
FAAの広報担当者は、「FBIと協力してジェットパックの目撃報告をすべて調べてきた」、「これまでのところ、いずれも確認できていない」と述べた。
そして、「1つの仮説だが、パイロットらは風船を見たのかもしれない」とした。
米NBCニュースは今週、ビヴァリーヒルズ上空を浮遊する物体の映像を放送した。警察のヘリコプターが昨年11月に撮影したもので、「ジェットパックマン」の2件目の目撃報告があってから2週間ほど後のハロウィーンの時期のことだった。
ジェットパックの製造会社は、実際にジェットパックだった可能性は低いとしている。
多くのジェットパックは数分以上飛ぶだけの燃料を積んでいないとし、上空高くまで飛ぶのは難しいというのがその理由だ。
危険を招く恐れも
アメリカン航空元機長のマーク・ワイスさんは、航空機の進路に風船が入り込むことはほとんどないものの、実際にそうした事態に直面したパイロットは「かなりびっくりする」だろうとBBCに話した。
「それがこっちに向かってくるのが見えたら、急激な飛行操作が必要になって、乗客を危険な状況に置く場合もある」
また、風船は一般的に航空機にとっては無害だが、金属パーツが付いている場合には、「エンジンの破壊につながる恐れもある」と述べた。