失いたくないものですね。熱帯雨林も信用も。
ブラジルが森林破壊やめます宣言
11月13日に閉幕したCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)で100カ国以上が署名した、2030年までに森林破壊を止めて回復に向かわせるという目標に名を連ねたブラジル。
それとは別に、全体の94%ともいわれるアマゾン熱帯雨林の違法伐採を2028年までになくすとCOP26でブラジル環境相が宣言するなど、ボルソナロ政権になってから積み上げられてきた悪いイメージを振り払うためにアピールしまくりでした。
ブラジルアマゾンの熱帯雨林消失面積は過去15年で最悪
ところが、COP26閉幕後の18日に、ブラジル国立宇宙研究所(INPE)がブラジルアマゾンの熱帯雨林伐採面積が過去15年で最大に達し、前回の調査期間よりも22%拡大したと発表しました。
報告書によると、2020年8月から21年7月までの伐採面積は1万3235平方キロで、2006年以来最悪だったのだとか。日本の都道府県だと、長野県や福島県に匹敵し、東京都6個分の熱帯雨林が1年で消えたことになります。宣言と行動が伴ってなくて、悪いイメージがちょこっと復活。
データ公表をCOP26閉幕後まで遅らせた疑惑が浮上
貧すれば鈍するもので、INPEの報告書がCOP26開幕前の10月27日付だったことに注目が集まって、「COP26が終わるまで隠してたんじゃね?」という疑惑が浮上。COP26でのイメージ戦略がピンチに。
悪いことは続きます。AP通信が匿名を前提に閣僚3人とINPEのコーディネーターから得た証言によると、COP26初日(10月31日)の6日前に大統領官邸でボルソナロ大統領も同席して行なわれたミーティングで、環境問題に対する世界からの信頼を回復するために、COP26が閉幕するまでデータ公表を控えることが決められたそうです。このミーティングには、証言した閣僚3人のうち2人が出席していたとのこと。
COP26開幕前に報告書を公表して、「だからこそ最大限に努力して世界をリードする。これからのブラジルを見てくれ」と訴える方がイメージを回復できたと思うのだけど…。
この内容に関するAP通信からの質問に対して、ボルソナロ大統領と環境相からの回答はなかったようです。
生態系と気候の安定に欠かすことのできない、数百万種の動植物と100万人の先住民が暮らすアマゾンの熱帯雨林の破壊を止めるのは、世界全体にとって急務です。